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誕生日絵の話2022

今年もやってまいりました九月末。ということで1Pちゃん(と1Pちゃんじゃない人)の誕生日絵の話でも。

まず1Pちゃんってなんぞやという点に関しては去年の日記を↓

合わせて、誕生日絵ってなんぞやというのがこちら↓

で、今年の誕生日絵がこちら。

一応pixivリンクもつけときますが特に高解像度版があるわけではないです。ただnoteはどうにも画像の劣化が激しいっぽいので、pixivにある画像の方がサイズは一緒でもより綺麗だと思います。


さて今年の誕生日絵、制作期間が過去イチ短かった。メンタル不調から何も思いつかずついに猶予二週間……からの、ほぼ完成と言える状態に持ち込むまで四日程度という超スピード(当社比)。去年は下書きに一ヶ月くらいかけてたのに……出来る時と出来ない時が極端すぎる。

去年の誕生日絵を通して(生きていた場合の)1Pちゃんの現在像を考えやすくなったのと、今年はテーマワードが明確だったのもあってか描き始めてから驚くほどサクサク進んだ。ラフ兼下書きを進めながら同時に全体の構図をぼんやりと浮かべていくみたいなライブ感作業ではあるものの、やっぱりリアル情景として想像出来るようになるとぼんやり状態のイメージをはっきりと掴むまでが速くなるっぽい?

絵のタイトルにあるように今年はテーマが「青」で、衣装を青にしようという点も事前に決めていた。あとリボンを取り入れようということも決まっていた。逆に言えば事前に決まっていたのはそれだけで、後は全部描きながら要素を出していった。得意意識のある色ではないが出たとこ勝負でも1Pちゃんなら上手いこと着こなしてくれるでしょという信頼。

モチーフ元のビジュアルが衣装衣装したちゃんとしてる装いだったのでどうしようかと思ったが、その人ではないし変に寄せすぎてもね、ということで自然体(私服?)風衣装的な方向で考えることになった。それで1Pちゃんと一緒にチョイスしたのがオフショルダーニット。可愛い感じのブラウスだと涼しげすぎるし(あと大学生~OLの感が溢れすぎる)、雰囲気調整のためにとレイヤーの多い感じになっても色をまとめるのが大変だよねというようなことを考えていた気がする。

今年は背中や腰をチラ見えさせるような服がやや流行りした印象があって、そういうテイストを取り入れてみたら面白いかな~と思ったものの、完成形は正面カットなので二の腕あたりにスリットが入ったものを選んだ。

衣装の方向性が決まったあたりではスリットがあることだしそこに絡めてリボンを仕込もうかと考えていたものの、トリミング次第では見えなくなる可能性があることや、ちょっとガーリーすぎないかという1Pちゃんからの意見があったので見送り。分かりやすくリボンがついてるタイプのワンピースを使わなかったのもこれが原因。1Pちゃん的に、私34歳ですの体裁で撮るのにゴテゴテリボンはちょっと……というのがあったらしい(ガーリーで合わないというのは方便で、ガキっぽくて嫌だと思っていたんじゃないか)。

どうしようか悩みながら色々服のデザインを見ていたところで、肩周りの折り返しみたいな部分に結び目をつけて大きいリボンに見せてるタイプのニットを見つけて「これだ!」となった。即採用。

ちなみにこの部分は折り返しをアレンジしてるわけではなく完全別パーツ。生地(編み込み加減?)も胸から下とは違っているので、仕上げではテクスチャを分けて表現してる。衣装のテクスチャ貼りつけは何気に初めてトライした気がする(結構楽しかった)。

下書きを進めながら、ここまでの衣装設定に加えてロケーション設定も固める。ガラス張りで海が見える場所というイメージが明確だったので特に悩む点はなかった。今回「描く」ではなく「撮影してる」つもりで考えていたのも、場所のイメージが固まっていたからだと思う。絵としての完成図を考えるのはもちろんだが、1Pちゃんが実際に存在してるつもりで、仕事で写真を撮影→編集・デザインするという現実的な流れで想像していたわけだ。


この辺で「Azure Links」というタイトルも決まっていた。Azure は青を意味する単語としてこちらから指定、Link(s) は「結ぶ」的なニュアンスのワードを1Pちゃんに出してもらった。分かる人には思いっきり再翻訳的な作業であることが伝わると思う。何とは言わないが。このワードで訳すと「みんな青空で繋がってる」的な意味合いになるんだろうか。1Pちゃんらしい綺麗事風ワードだ……。

字面的にこじつけ好きなオタクの考えた匂わせ二次創作同人誌タイトルみたいになってしまったと後から気づいたが、意図したわけでもないし気にする義理もないしまあ別にいいか……と思ってスルー。


ある程度内容が固まったので、下書きを詰めてペン入れ→仕上げ。ここまでで二日しか経ってない。いくら時間があるとはいえ去年のわたしが見たらびっくりするような速さだが、多分キャラデザの考え方を変えてからの一年で、キャラを描くにあたって理屈で考える割合が無意識的に増えてたんだと思う。

色が乗った状態になるが去年の誕生日絵との比較。去年と比べて今年が作業時間半分未満だとは思えない。衣装でシルエットが膨れてるのもあって今年の方がかなり大柄に見える。髪型のイメージは一年でそれほど変わらなかったらしいことが伺える。まあ短くなることはあっても伸ばしてはいないだろうしなあ……。

キャラ仕上げ工程。作業中こまめにスクショを撮ってたので繋げて投げてみるなど。

去年と比べてより資料への踏み込みが深くなったことや、リアル寄りのデフォルメに目が慣れて気にならなくなったのもあってか、モデルのリアル資料から拾う成分が少し増えた。笑った時の口の形の非対称性とか、露出する歯の見え方とか。アップ用に解像度を落としているので伝わりづらい(わざわざ高解像度のそこだけトリミングして晒すのは1Pちゃんが嫌がりそうなのでやらない)が、上の歯の大雑把な形を拾うだけでなく、口の形が非対称なことで左側(向かって右側)からだけちょーーーーーっと下の歯が見えるようにこだわって描き込んでいる。

明確にモデルがいると、こういう描き手側の好みとかが介入出来ないそいつの本当の姿みたいなのが勝手に決まるのでありがたいし、そこを拾って個人としての特徴が深まっていくのが楽しい。ナマモノ感も一緒に深まって負い目があるのはまあそうなんですけれども……(こうなってくると背が縮んで体格的にモデルと離れて行って良かったと思う)。


そんなこんなしつつ背景を合わせる。設定上は撮影写真に光や色の編集を加えているという形だが、イメージ上のロケ地に相当する場所が近くに都合よくあるわけがないので、窓枠(柱?)と海面はそれぞれ別の写真をベースに合成、空やエフェクト類は手描きで処理。

二日で大体の仕上げが済んで時間が浮いたのと、背景がかなり写真ベースだった=使い回しが利くこともあって、まさかまさかのもう一枚描き始めたぞこいつ(25日用と27日用でパターン違いを用意する、というのは偶然ではあるが去年の没案だったり)。

それがこちら。撮影してるつもりで想像していたことから生まれたオフショット風落書き。

インスタにアップした画面のスクショ。インスタのUIがついてくるだけでオフショット感が増す。万能。

なんとなくデート感が出たが、1Pちゃんの嫌そうな顔が見えたためそういうキャプションを入れるのは避けた(1Pちゃん34歳は彼氏持ち通り越して既婚者であり、外からそういう弄りをするのはよくない)。

イメージ元のロケ地がだだっ広い海が広がる空間ではなく、あくまで港の傍に建てられてガラス張りなので付随的に海が見えますという場所だったので、編集後の完成ビジュアル=イラスト上では分かりやすく海を強調するために消し飛ばしているだけで、実際には背景オブジェクトが映り込んでる(映り込まないアングルからは撮れない)という設定を踏まえて作った。背景やるの面倒なので最小限だが。特撮好きってこういうことしたがるとこある。

ちなみに背景用の海の写真は本当に港で撮ったもの(たまたまあった)。佐世保駅の近くだったっけ。なので設定と同じように、完成ビジュアルの方では海面だけ残していらない背景を消し飛ばす編集を実際に加えている。


そんな感じで同時進行しつつ割と余裕をもって完成。同時進行でもなお時間が浮いたので、落書きの方もちゃんとペン入れ清書してから仕上げればよかったと思った。

せっかくなので再度完成版のリンクを。あまり細かいところまで練ってはいないが、アーティストが仕事で撮影となればCDジャケットかな? と思ったので右半分と左半分に分けてスクエアで切れるようにしてたりする。

去年は年齢ガーベラチャレンジだったが、今年は裏テーマ的に過去を振り返って並べて楽しんでるような感じではなく、もっと前向き(未来向き)な感じにしたいよねと思っていたのでそういうのはなし(左側に描き込んだ白キラキラエフェクトの数を15に合わせる形で一応数字ネタを絡めてはいる)。

テーマカラーに合わせたコーディネートに対して、手持ちのガーベラは今まで採用がなかった気がする。花言葉は挑戦とかそんな感じらしい。

当初は外からの自然光だけで作っていたが、暮れ時を想定したお日様の配置をすると青がテーマな割に青くならないな……となったので、屋内から青のライトを灯けている形にして青みを加えるなどした。


その他舞台裏的な話で言えば、1Pちゃんは小柄なので、床にそのまま立つとパースで床ががっつり映り込んでしまって欲しい構図にならないため、まあまあの高さの台座に立ってもらって撮影してるという設定があったりなかったり。小柄な演者の撮影だとあるあるな話なんだろうな……と思った。




そんな感じで一通り工程を振り返ってみた。被写体である1Pちゃんと対話しながら作ったかのような書き方を連発していたが、当然1Pちゃんは実在しないので、そういう体裁で全部わたし一人で考えて描いているという話になる。十数年付き合ってると「あいつだったらどう考えるだろうか?」と思考するより「お前ならどうする(どう思う)?」と投げかけるように思考した方が、考えてることは一緒でも浮かぶ反応がより自然になるように感じて、どうにもそういう考え方になってしまう。イタい。

ちなみに、リボンを描きたいとしつつあまり描けなかった分のリボン欲は完成後のさらに浮いた時間でアイコンちゃんを描くことで発散した。

イヤリング・指輪・カーディガン・手で隠れてるがチョーカーとブラウス・多分足元にも……とリボンモチーフを盛り盛り。見えてる分だけだとコンプリートフォームにも及ばないので令和の今てんこ盛りと呼ぶには足りてないなという感だが、楽しかった。1Pちゃんのキャラクター造形が固まった(なんでもやらせられるキャラではなくなった)ことで、自由度の高さという面でアイコンちゃんが差別化出来てていい感じ。




さて今年の絵で思ったのは、意外に物事を考えながら描いてんじゃんということだった。

100%模倣であり理屈である模型と比べると、絵は昔から感情的に描いてるという自認が強くて(実際感情的に揺らいでる時に手がよく動くので特定状況でのストレス発散手段的な意味もあったと思う)、どう描いたか的な言語化に苦手意識があったりなかったりだったのが、案外そうでもないじゃん、と。

テーマをこう使おうとかあの要素をこうアレンジしようとか、このキャラならこうするああするみたいな話も含めて自分なりに考えてるっぽいし、感情的に描くにしてもそれをどう表現すれば悪いトーンにならないかとか考えて出力してるんだろうし、なるほどそういう思考が出て行った結果、外部から「愛がある」と受け取られることがなくもないんだなあ、という気づきがあった。

まあ作品を発表するにあたって愛を根拠にすること自体は相変わらず嫌いなのだが(愛を根拠にキャラの人格やセクシャリティを捻じ曲げたりレイプしたりする二次創作を発表してる人だっているし、こんなの言ったもん勝ち概念すぎるので)。仕事じゃないならやりたくてやってるだけ、でいいし、仕事なら仕事だから、でいい。愛があるとかないとか、自分で分かることではないと思う。

わたしはよく「愛は理屈で再現出来る」みたいなことを言うが、実際作品に込めた特定の何かに対する愛情を愛情として伝わる表現にするのなら、それなりの理屈(思考)が必要なんだと思う。その場に適した表現方法とか言語チョイスとか、それらを考えられる社会性があるかないかとか色々。やっぱり、考えなしのヘタクソが愛愛と言ってよく分からんもん出すより、特別な思いがなくても上手くて頭の良い人が合理的にサービス要素を散りばめた作品を出した方が、断然感情的な評価も高くなるものだと思う。その上でさらに愛情ブーストがかかっていたらやっぱり伝わるもんだよね、くらいの話。

感情的な愛情どうこうより、被写体や扱うテーマの尊厳に傷がつかない表現にするために、観察・読み込み・俯瞰する視点を持つことなどをなるべく頑張るとかそういうことの方が大事で、模型を通してその辺のスキルが少し身についてきたことで絵にもフィードバックがあったのかな~と思うなどした。フィードバックっていうか、元々無意識的にやってたことを意識的に言語化出来るようになったと言った方が正しいか。




まあ何はともあれ、お誕生日(とアニバーサリー)おめでとうございます。今日に限らず、これからもなるべくの無病息災とイベント無事開催無事終了等を願うばかりです。

あと1Pちゃんお誕生日おめでとう~~。

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