アニメ「呪術廻戦/懐玉・玉折篇」OP・ED映像解釈

この記事では携わったクリエイターに視点を置き、作品の良さを勝手に解説していきます。すべて個人的な解釈なので、お読みくださる方は参考程度に読んでいただきますようお願い致します。

OP映像

OP映像の絵コンテ・演出は神谷雄貴さん。
神谷さんは「チェンソーマン」のED#8[First Death]が個人的には一番神谷さんっぽいと思っているのですが、シネマチックなレンズフレアの使い方が上手すぎる人、という認識です。直近でOP・EDをやっている演出家は映像に対するマルチ知識が高い人=映像作家が担当していることも多く、映像構成などの質が非常に高い印象です(例として、山下清悟さんや中山直哉さんなど…)。大体そういう方はアニメワークフローでは撮影を担当していることが多く、画としてかっこいいかどうかに対するセンス・知識が周囲よりも頭一つ抜けている印象です。
今回のも、作中の要素とオープニングテーマを書き下ろしたキタニタツヤさんの解釈を取り入れ、対比的な構図と色使いにおいて高度な演出を施していました。サビの戦闘シーンでは夏油→五条のコンテワークを貫き、戦闘力の上下関係を表現し、逆に、最後の方の先走る天内へのリアクションに関しては五条→夏油とし、人間としてまともであるかという上下関係を表現している。
また、今回の「懐玉・玉折篇」は言ってしまえば誰も悪くない物語。最強である伏黒パパも、学生ながら最強の二人である五条も夏油も、等身大を描くことでそれぞれに感情移入しやすくなる意図があると感じる。
色使いに関しては、青をメインに入れ、ただ、現実的な描写(冒頭の五条先生ショットと最後の教室のとこ)は赤ベースの色合いにしている。これは本編の設定もそうであったからという理由もあるが、キャッチコピーの通り、「二度と戻らない青春」をより一層引き立てている。
ちなみに「二度と戻らない青春」とは誰にとっても共感を呼べるテーマであり、ここは芥見下々先生のストーリーテリングが秀逸であるという証拠の一つと言える。
作画に関して、個人的には文句なし。特段有名なアニメーターの名前が見受けられないということは…。小磯沙矢香さんという総作画監督の名を初めて拝見したが、この方のおかげか…。今後も注目したいクリエイターが一人増えました。。。

ED映像

絵コンテ・演出は新井陽次郎さんという方。私は「台風のノルダ」という中編劇場アニメで名前を知りました。この方は絵のタッチが特徴的な方で淡い、やわらかい印象を持っています。
今回に関して個人的に評価の高いポイントはスプリット・スクリーンをうまく使っていることです。スプリット・スクリーンとはその名前の通り画面を意図的に分割して一つの画面に複数の素材を取り込む技法のことです。アニメのEDではクレジットがOPよりも絶対的に多くなるので、基本的に画面に余白を入れます。今回、がっつり余白を入れたのにも関わらず、ノンクレジットで見たらわかる通り、その余白に意図を感じるような映像構成になっている印象を受けます。他のED映像だと無理矢理余白を入れた感が強く、ダサい印象になってしまうものを、背景だけのシーンも切り取ったり、全体的に余白を入れることで余白に違和感を持たせないようにさせているように感じます。
EDでは比喩表現を使っていますね。一番わかりやすいのは魚です。瞳に青色が灯っているのが五条で、灯っていないのが夏油。最初にすれ違いが起きて、サビ前の五条は夏油のことを目で追うのに対し、夏油は五条から目を背ける。お互いのお互いに対する意識が違うことを示しています。
また、影の使い方もうまいですよね。最後の方、3人が別れるシーンで五条と家入は明るく、夏油は暗く。あるいは本当に最後のところでもう一度魚が出てきて、それも五条は明るく、夏油は暗く。
OPは架空の世界線を描いているような印象を持ち、EDは直接的には描くことがないものの、実際の世界線を描いているようにも思える。OPとEDでしっかりとコントラストをつけているのはかっこいいですね。御所園翔太監督や瀬下恵介アニメPらへんの意図ですかね...。
崎山蒼士さん、いいですね。


このシリーズは暇なときに書きまくります。
よかったら見てください。

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