夢が見たいなら希望になるよ



同じような日々を繰り返す中に、突然彼女は現れた。

「夢が見たいなら希望になるよ」

PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS の練習生として。

丁寧なダンス、歌詞に合わせて少しだけ変わる表情、可愛く整った顔、長い脚と手。
物凄い勢いの紙吹雪の中一生懸命パフォーマンスをする彼女、曲が終わった後、見てるよサインをしてくれた彼女。

友達に紹介された子の映像を見た後、おすすめ欄に出てきた彼女に、私は釘付けになってしまった、この子のことを知りたいと思ってしまった。

思っていたより高い身長、運動が好き、三重県出身、もしかして天然?少しずつ公開される彼女について知ることが、気づけば私の楽しみになっていた。

まるで初めてのお遊戯会に出ている子を見守る母のような目で見ていた私は、正直なことを言うと番組序盤は彼女にアイドルとしてデビューして欲しいと言うより、このオーディションを全力で楽しんで欲しいという思いの方が強かった。

しかし、ポジションバトルでFirstLoveを披露した後、彼女が初めて番組中に涙を見せた。その理由に「みんなと歌い切る事ができてよかった」と話した。

なんて素敵で、綺麗で、真っ直ぐな子なのだろう。もちろんそれまでに泣いたこともあったかもしれない。けれど私達に見せる初めての涙の理由が、メンバーと歌えたことの安堵からくるものだった。

あまり多くの表情を見せない彼女があまりにも綺麗な理由で大粒の涙を流す姿を見て「この子の夢を応援したい」「アイドルとして沢山の舞台に立つこの子を見たい」そう強く思った。まるで恋に落ちる瞬間のようで、けれど確実に恋ではなくて。とにかく彼女に、"アイドルとして"幸せになって欲しいと思った。

彼女に向けられる言葉にも敏感になってしまったし、オーディション期間中ずっとハッピーだったかと聞かれたらそうではないかもしれない。

けれど彼女は驚くべきスピードで成長するし、いつだってファンの想像を超えてくる女の子だった。

生まれ持った才能、吸収力の高さ、そんなものもあるかもしれない。ただ、それを備えた彼女がアイドルになりたいと思ってくれた事実に、私は心底感謝したい。

笑いますか?と聞かれていた彼女が、ファイナルのステージでとびきりの笑顔を見せてくれたこと。
絶対にデビューして私がみなさんの原動力になりますと言ってくれたこと。
オーディション期間を通して、彼女は私にとって、最高のアイドルになっていた。
どこかで、日プに出てくれた子はみんな誰かにとってのアイドル、という文を目にしたけどその通りだ。

6位で名前が呼ばれた時、番組中見たこともないほど強張っていた顔が一気に緩み、大きな手で顔を覆い涙を流しながらも、前へ歩き出す彼女は本当にかっこよかった。
華奢な背中も、あの日は少し大きく見えた。

終わりと始まりが同時に起こったあの日。
日プ練習生と国民プロデューサーから、アイドルとファンになったあの日。

彼女の夢の続きを見れることを、本当に嬉しく思う。




佐々木心菜さん、あなたに会えて良かった。










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