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お城のトビラ

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日本各地のお城を収録。現存天守から復元・復興天守に大名庭園といろいろ。
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#歴史

島津四兄弟 末弟の居城 佐土原歴史資料館と天昌寺跡 宮崎県宮崎市

超有名な観光地でもなく、SNS映えする写真スポットという訳でもないと言えばやや失礼かもしれません。田舎へ行くと「人がやさしい」というフレーズがフツーに使われますが、それは旅行者に対してであって住んでみると地域独特のルール等ややこしいコトもあります。 一方、相手で区別しない子供とのやり取りや、きれいに掃除された路地や公共スペースから受ける印象は、その地域をそのまま表現しています。 小さな城下町の良いトコロは、ヨソモノがその濃さや気風に気が付きやすい点でしょう。 島津家は九州最大

キリシタンの島のお城と磁器 富岡城・高浜焼:上田家庄屋屋敷 熊本県苓北町・天草市

バスや鉄道の路線廃止や減便がニュースとなってきているここ数年。理由は人口減少や利用頻度の減少等、そうだよねーとごもっともなハナシ。 一方、交通の便があまりよろしくないトコロにもノコノコ出かけていく自分(スケジュールの自由度優先からほぼ自走)。好んでそういう場所を選んでいる訳ではありませんが、見たいモノやコトがあればスルー出来ません。 そして「こんなトコロもう来ないだろうな」と思った場所に限って、意外と再び訪れるという妙な法則があるような、ないような。 今回は九州の大きな島にあ

龍造寺から鍋島35万石へ 佐賀城 高伝寺 徴古館 佐賀県佐賀市

江戸時代の九州には国主クラスの大名が数家ありましたが、九州の地生えは薩摩島津と肥前鍋島の2家。どちらも明治維新の主要キャストです。共通するのは交易を通して海外の知見をいち早く取り入れていた点。現代では福岡あたりがアジアの玄関口をアピール(博多は古くからの大陸系の窓口)。 またキリスト教伝来は九州が起点ですが、受け入れた大名家たち(豊後大友や肥前大村や有馬)とは違って、島津と鍋島(龍造寺)はキリスト教には消極的だった点も同じです。 今回は主家から権力移譲され大名化した珍しい成り

ソフトパワーで城主の座についたさんじゅーろー 備中松山城 頼久寺 岡山県高梁市

日本の各地にある多くのお城。なかでも現存天守と呼ばれる江戸期以前に建てられた天守を擁するお城は全国に12城、いずれも国宝か重要文化財指定です。お城好きが最初に目指すべき分かりやすい目標。 国宝の姫路、松本、松江、彦根、犬山の5城(市の人口数順)は知名度も充分でしょう。そして重要文化財は松山、高知、弘前、丸亀、丸岡、宇和島、備中松山の7城。丸岡と備中松山は、城名と所在地の市名が違うので知名度にはややキビシイかもしれません(ドコそれ的な)。ちなみに丸岡城は福井県坂井市にあるお仙泣

伊達から上杉へ 米沢城跡と上杉神社【伊東忠太1】 山形県米沢市

長いこと西日本をベースにしていた自分にとって、文字通り未開の地だった東北。ちょっと昔の話になりますが、初めてその地に踏み入ったのが山形県の米沢。翌日は福島まで戻って仙台へ。戦国時代に興味を持つ人にとっては、避けて通るコトのできない鉄板エリア(多分)。 あちこちでよく分からない呪文のような言葉をかけられ、お土産屋に貼られた方言番付で呪文「おしょうしな」の意味を知った米沢。鉄道車両はボタンを押してドアの開閉をするコトを知ったのも米沢(雪国では常識?)。 おしょうしな米沢。 以降

西の伊達 宇和島城・伊達博物館・天赦園【伊達家のトビラ2】 愛媛県宇和島市

土佐山内家・高知編で、古来土佐へのアクセスの難易度に触れました。加えて四国の西側もまたアクセスがあまり良いとは言えない地域(ネガティブな話ではありません)。ですが愛媛から高知を繋ぐ国道56号線沿いには大洲、宇和島、宿毛、四万十と雰囲気の良い町がズラリと並びます。いずれも長い歴史を実感できるトコロです。 その中で伊予の国(愛媛県)、宇和島のかつてのお殿様は伊達家。「伊達家って東北・仙台じゃないの?」と思う人は少なくないでしょう(色々あったんです)。おまけに天守閣がなかった本家・

蒲生氏郷と千利休そして龍造寺 茶室麟閣・興徳寺 福島県会津若松市

東北は冬だと自走派には行きにくい場所。天気が良ければ可能かもしれませんが、防寒フル装備の長距離はいろいろ疲れます。雨ならそれほど問題にしませんが(気分は多少下がる)。 東北にはかつて大藩が幾つかあり、幕末まで存続した地域には独自の文化が根付いています。今回の会津編ではあまりメジャーとは言えない人物を中心に。(ただし夏の話)   福島県の旧国名は陸奥。ざっくりしすぎか広すぎたのか、現在は青森、岩手、宮城、福島の4県に分かれています。そして福島は浜通り・中通り・会津と3つの地方

山内家土佐入り 前章 【掛川城・油山寺】 静岡県掛川市・袋井市

日本各地に残るお城。地域のおすすめ観光地として各メディアで取り上げられています。江戸時代(以前のモノもあり)に築かれた現存天守のあるお城は12城。お城好きにとっては別格扱いのお城で、国宝か重要文化財指定されています。だいたいハシゴのような階段を上るコトになります。 明治以降に多くの天守が取り壊されますが、太平洋戦争で焼失してしまった残念なお城(名古屋、和歌山、岡山、広島等)もあります。 そして戦後に地域のシンボルを再び的なカンジでコンクリート造りのお城が量産されました(資料館

土佐山内家巡礼 高知城・県立歴史博物館・山内家宝物資料館 高知県高知市

「遠流の地 土佐」。佐渡や隠岐といった離島と同じく、重罪の流刑地のことです。京都から遠く離れた地へといういわゆる島流し。死罪に次ぐ重い刑です。知ったのは高知県立歴史民俗資料館での特別展(現地には行けなかったので後日図録を入手)。ちなみに律令制では東日本の常陸、安房、伊豆(現在の茨城、千葉、静岡)も遠流の対象地域でした(源頼朝の配流地といえば伊豆)。過去にはそんなネガティブな土地だった高知。 一般道を使って高知を目指すと、どのルートも気持ちいいワインディングが続き楽しめます。た

石州瓦の100年ミュージアム? その2 越智松平家 浜田城資料館 島根県浜田市

前回の益田市・れきしーなに続き、同じ石見地方の浜田市にあるミュージアムの記録です。こちらも100年を超える築年数。島根でぶらぶら見て回っている時に、どこかでパンフレット手に入れたのがきっかけ。そもそも「浜田ってどこ?」という人は少なくないと思われますが、関西から九州へ自走するなら山陽道や中国道パターンだけでなく、広島あたりから北西に日本海側を抜けて行く選択も楽しい(時間に余裕がある人向け)。寄り道にはだいたい面白い発見があります。 浜田市は石見地方の中心で人口49,500人

徳川将軍家の鷹狩 諏訪流 浜離宮恩賜庭園 東京都中央区

お城や大名庭園でよく見られる鳥といえば雀に鳩や鴉でしょうか。より自然が豊かな所であれば鳶に鷺、お堀や池の定番は鴨や白鳥。 東京にはご存じ旧江戸城(皇居)、そしていくつかの旧大名庭園が残っています。江戸時代に徳川将軍家の別邸だった浜離宮の恒例行事でお正月に舞うのは? 御殿から離宮、そして庭園 東京都中央区浜離宮庭園1-1 浜離宮の歴史は徳川将軍家の鷹狩場から始まります。甲府徳川家の別邸を経て将軍家のものとなり浜御殿と呼ばれました。明治維新後は皇室所有の浜離宮となり、太平洋