ラストアイドル、愛乙女☆DOLL、ザ・コインロッカーズ……アイドルディスクレビュー#23(12/6〜12/12)

1週間でリリースされたアイドルによる楽曲のうち、個人的に気になった楽曲をピックアップしてレビューをしていく連載の第23回。今回は「ラストアイドル」「愛乙女☆DOLL」「ザ・コインロッカーズ」の3組を取り上げます。

・ラストアイドル『Break a leg!』(12月8日リリース)

ラストアイドルの新シングル『Break a leg!』は、14日間にも渡る激闘を繰り広げた『17LIVE Presents 496試合を勝ち残れ。ラスアイサバイブ ~ワタシは、ワタシたちで勝つ。~』において表題曲を歌うメンバーが決定。その結果、センターには9thシングル『何人(なんびと)も』以来となる阿部菜々実が選ばれた。

「成功を祈る」という意味がある表題曲は、小気味よいリズム、英語詞を織り交ぜながら、応援歌のように畳み掛ける歌詞とこれまでになかった楽曲構成となっていて、またひとつグループの幅が広がったという印象。メンバーが感謝を伝えたい人として親や姉妹が登場し直接感謝を伝えているMVはなんともドラマティックな映像になっているのでぜひ見てほしい。

個人的には表題曲よりもカップリングとして収録されている「独り言の存在証明」がとても良かったので、紹介させていただきたい。選抜外メンバーによって構成された同曲は、表題曲の晴れやかな雰囲気から一転して、爽快なロックサウンドを通して自分が心の中に抱える葛藤が表現されている。メンバーの身体全体を使った激しいダンスは圧巻で、選抜外メンバーの底力がひしひしと感じられる楽曲だ。選抜組と非選抜組の差はどこにあるのか、と思わずにはいられないクオリティの2曲。

・愛乙女☆DOLL『Passion for Life』(12月7日リリース)

前作から約1年3ヶ月ぶりにリリースとなった愛乙女☆DOLLの新シングル『Passion for Life』は、2022年1月に卒業が発表されているリーダーの佐野友里子が参加する最後の作品となっており、現体制におけるひとつの集大成と言える。

夢に向かってひたむきに駆け抜けてきたグループ自身をなぞらえたかのような表題曲は、メンバーの力強いボーカルを感じられるソロパート、サビの息のあったユニゾンとグループの良さがこれでもかと詰め込まれた楽曲に。「全力で」と繰り返されるサビの力のこもった歌唱は、メンバー一人ひとりがまさに全力で歩んできたという思いが感じられる。K-POPライクサウンドを取り込んだ「Diary」、グループがこれからも進んでいく未来を希望的に歌った「夢のつづき」、7年以上も歌われてきた佐野のソロ曲「ソレイユの魔法」がカップリングとして収録。

・ザ・コインロッカーズ『ステージ』(12月8日リリース)

12月22日にラストライブ『3周年!夢は弾いてかなえる!』を開催し、3周年を迎える23日に解散することを発表しているザ・コインロッカーズから最後の作品となるミニアルバム『ステージ』が届けられた。収録曲はインストを含めた8曲とボーナストラックとしてTikTokアルバムとして配信された楽曲を集めた「群青ミラージュ」の全23曲。

表題曲「ステージ」は、ザ・コインロッカーズとしてメンバーが集結し、夢に向かって歩んできたグループの歴史とこの先も進むべきステージを明るく照らしてくれるエモーショナルなナンバー。バンドとしては珍しいポエトリーリーディングが組み込まれているのが新しいし、これによってメンバーの思いがよりダイレクトに伝わってくる。

また、7月30日にデジタルシングルとしてすでにリリースされた「アイスちょうだい」は、軽快なメロディーとメンバーの掛け合いがフレッシュで、季節外れではあるが弾けるような"夏”を感じさせる一曲。その他、ガールズバンドアイドルらしくギターサウンドが強調されたアッパーチューン「君推し!」も良いが、メンバーの歌声がじんわりと染み渡るZONEのカバー「secret base 〜君がくれたもの〜」はアルバムの終着点として感慨深い。またどこかで彼女たちの奏でる音楽を聴くことができたならこの上ない幸せだ。ぜひ実現することを祈りたい。


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