シンデレラ宣言!、つばきファクトリー、IDOLATER……アイドルディスクレビュー#20(11/15〜11/21)

1週間でリリースされたアイドルによる楽曲のうち、個人的に気になった楽曲をピックアップしてレビューをしていく連載の第20回。今回は「シンデレラ宣言!」「つばきファクトリー」「IDOLATER」の3組を取り上げます。今回は諸事情で大幅に更新遅くなってしまったのといつもより簡易的なレビューとさせていただきます。

・シンデレラ宣言!『シンデレラ宣言!/朝顔シャングリラ/はにかみサンセット』(11月17日リリース)

結成から1年未満でメジャーデビューを果たした7人組アイドルグループ・シンデレラ宣言!。「アイドルの教科書に載っているようなアイドル」をコンセプトに掲げ、混沌極まるアイドルシーンに王道スタイルを貫いている。注目はメンバー全員がSNSで多くのフォロワーを抱えるインフルエンサーということだろう。そんなメンバーが集まったときにどんな化学反応が起こるのか非常に楽しみにしていたグループのひとつ。

さて、デビューシングルはトリプルA面の豪華仕様で、これまでのライブで披露されてきた3曲が収録されている。3曲とも楽曲を手掛けるのは26時のマスカレイドの楽曲でもお馴染みのkoma'n。彼女たちを代表する楽曲となった「シンデレラ宣言!」はTikTokで爆発的に注目を集めているように、「1!2!3!4!はいせーの!」の掛け声や「シンデレラ宣言!」のフレーズの繰り返しなど、キャッチーで馴染みの良いメロディが頭の中をループする。「朝顔シャングリラ」は切ないピアノのインストから始まり、一途でまっすぐな恋心を歌っている。甘酸っぱい夏の思い出を歌った「はにかみサンセット」は、ライブで勢いよくタオルを振り回す光景が目に浮かぶ夏にぴったりのナンバー。ラスサビ前にセリフが挿入されているギミックがいかにも王道アイドルらしくてとてもいい。すでに素地はあるグループなので、楽曲の方向性を今後どう打ち出していくのか注目したい。

・つばきファクトリー『涙のヒロイン降板劇/ガラクタDIAMOND/約束・連絡・記念日』(11月17日リリース)

7月に河西結心、八木栞、福田真琳、豫風瑠乃の4人が新加入し、10月には初の単独武道館公演を成功させた新生つばきファクトリーが送る最新シングルはトリプルA面仕様となっており、「恋」を共通のテーマに3曲を通して、恋人との別れやそこからの決意までの各ステージが描かれている。

妖艶なサウンドで大人っぽいムードを放つ「涙のヒロイン降板劇」は、恋人にフラれた女性を主人公に悲しい嘆きが歌われているのかと思いきや、プライドを取り戻せと力強い女性像を高らかに歌うアグレッシブな楽曲。全体的にR&B調のおしゃれなサウンドでサビのホーンも良いアクセントとして機能している。「ガラクタDIAMOND」は作詞に森由里子、作曲に馬飼野康二 ・鎌田俊哉、編曲に炭竃智弘を迎え、歌謡曲のようなクラシカルなアレンジに。「約束・連絡・記念日」はハロー!プロジェクト関連の楽曲を数多く手掛けてきた児玉雨子(作詞)、星部ショウ(作曲)、大久保薫(編曲)が集結したハロプロらしいサウンドの作りになっている。また、全編通して叙情的で女性的な感性が組み込まれた歌詞に加え、サビ入りの「だ」を何度も重ねる手法は歌詞に登場する女性の恋に揺れる心情を表しているかのようで、児玉雨子の作家性を感じることができる1曲だ。

・IDOLATER『消せない・・・』(11月16日リリース)

ASOBISYSTEM THE AUDITION 2018のファイナリストによって結成されたアイドルグループ・IDOLATER。デビューから5曲をリリースしてきたが、本作が初の全国流通盤となっている。

相手の面影に思いを馳せながら、叶わぬ恋を繊細に綴った歌詞とは対照的に小刻みなギターと陽気な心地のシンセサウンドが特徴的な表題曲「消せない・・・」と開放的なサウンドと自己肯定感が超絶に高い歌詞が気分を高めてくれる、今までになかったようなアップンポなナンバー「Laugh&Live!」の2曲を収録。結成から2年で着実にグループの世界観を作り上げてきた彼女たちの進化が感じられる新曲だ。


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