#ババババンビ、泡恋、PARADISES……アイドルディスクレビュー:Vol.4(7/26〜8/1)

1週間でリリースされたアイドルによる楽曲のうち、個人的に気になった楽曲をピックアップしてレビューをしていく連載の第4回。今週取り上げるのは「#ババババンビ」「泡恋」「PARADISES」3組のアイドルグループです。

・#ババババンビ『強く儚い大馬鹿者たち』(7月27日リリース)

2020年を賑わしてくれるアイドルグループとして大いに期待されていた#ババババンビだが、新型コロナウイルスの影響で昨年3月のデビューライブが無情にも中止となってしまった。7月からは定期的に新曲のリリースを始め、初のライブも披露し、制限された状況のなかでも自分たちにできることを地道に行ってきたこともあり、新メンバーを迎え今年3月27日には念願となるデビューライブを開催。ようやく本格的なスタートを切った彼女たちの本領発揮はここからだろう。そんな#ババババンビから初のアルバム『強く儚い大馬鹿者たち』がリリースされた。彼女たちのテーマソングとも言える「ばばばばんびずむ~!」に始まり、きらびやかなミディアムバラード「アイノハナ」、夏の淡い恋心を力強く歌った「ハナビガタリ」、ヨハン・パッヘルベルのメロディを引用したハイテンポなナンバー「カノン」など、これまでの#ババババンビの集大成を反映するバラエティに富んだ楽曲が並ぶ。通して聴いてみると2020年1月の結成以来、未曾有の出来事にも関わらず彼女たちはしっかりと前に進んできたのだとしみじみ感じられる。“顔面偏差値最強”と謳われてはいるが、楽曲のクオリティやライブパフォーマンス、それぞれの個性と、新人アイドルとしては計り知れないポテンシャルを秘めている存在だ。

・泡恋『恋色September』(7月28日リリース)

「あの日、あの綺麗な雲の下で僕等は出会った みんなと楽しそうに話すきみが 僕には少し儚げに見えたのはなぜだろう 目を離すと消えてしまいそうな きみは泡に似ている この気持ちが恋だと僕はきっと ずっと前から気づいていた 」略して“泡恋”。かつてこんなにも長いアーティスト名があっただろうか。元HKT48の冨吉明日香がプロデュースした泡恋は昨年夏に結成され、今年で1年を迎える。彼女たちにとっては『恋色September』が念願の初シングルリリース。楽曲としては爽やかで青春を鮮やかに描き出した甘酸っぱい王道アイドルソングという仕上がりで、振り付けのダンスもかなりキュートだ。王道アイドル路線で進む難しさはあるが、これからダンスや歌声が研ぎ澄まされていけば、泡恋の魅力が多くのアイドルファンに届いていくだろう。

・PARADISES『大事な歌』(7月28日リリース)

7月9日にウタウウタが突如脱退を発表したPARADISES。1stシングルとしてリリースした『大事な歌』は6人体制として最後のシングルとなっている。前作は今のグループの方向性を決定づけるチャレンジングなEPとなっていたが、本作は「約束したことも共に歩いた思い出も一瞬で消え去るってことを知った」とグループの現在の心境を歌っているかのようでいて、前へ進もうとううポジティブなメッセージも孕んだポップソング。月ノウサギが歌詞を手掛けたという「Season Song」は切ないメロディに乗せて、季節をテーマに出会いと別れが歌われた楽曲。手紙を呼んでいるかのような語り口もあって、PARADISESからファンへのメッセージのように思える。メンバーの加入と脱退と激動の時を過ごしているPARADISESだが、新体制への強い決心が感じられる力強い作品だ。

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