アルテミスの翼、≠ME……アイドルディスクレビュー:Vol.2(7/12〜7/18)
1週間でリリースされたアイドルによる楽曲のうち、個人的に気になった楽曲をピックアップしてレビューをしていく連載の第2回。今週取り上げるのは「アルテミスの翼」「≠ME」の2組のアイドルグループです。
・アルテミスの翼『Lock On !!!/サイノーカイカー!』(7月13日リリース)
「100年に一度の混沌とした世界に、“愛と勇気と友達”を与えるためにギリシャ神話の世界から人間界に降り立った7柱」というギリシア神話をモチーフとしたコンセプチュアルなアイドルグループとしてじわじわと国内外で人気を集めているアルテミスの翼。今年4月には新メンバーにスーパーゼウス・カレン、フェニックス・リサ、オリオン・ハヅキ、ヴィーナス・アイリを加え新体制としてスタートした彼女たちから、2ndシングル『Lock On !!!/サイノーカイカー!』がリリースされた。表題曲の「Lock On !!!」はデビュー以来ライブなどでは披露されていた楽曲で、ファンからの人気も根強い。待望の音源化といったところだろう。アルテミスの翼らしい激しいビートに基づいたアグレッシブな楽曲ではあるが、2番のAメロにはジャパニーズテイストも加えられ、二転三転する展開も面白い。MVの楽曲と衣装のミスマッチ感が醸し出すギャップもたまらない要素だろう。「サイノーカイカー!」はとにかくライブで聴きたい楽曲なだけにこのご時世で声を出せないのが残念極まりない。アルテミスの翼の持ち曲はコンセプトに基づいたかっこいいサウンドのものが多かったが、「サイノーカイカー!」はグループに足りなかったライブ感を演出する貴重な楽曲になるだろう。夏フェスに向けて準備は万全だ。
・≠ME『君はこの夏、恋をする』(7月14日リリース)
≠MEがデビューミニアルバム『超特急 ≠ME行き』から3ヶ月というペースでリリースしたシングル『君はこの夏、恋をする』。作曲・編曲を担当したのはバグベアで、これまでにも「≠ME」「「君の音だったんだ」」「「君と僕の歌」」と≠MEの代表曲をいくつも手掛けてきたクリエイター。欅坂46のファンにはもはやお馴染みかもしれない。メロディラインには≠MEの青春がパーッと弾けるようなさわやかさを残しつつ、歌詞やMVには夏の恋模様が共感性高く鮮やかに描き出されていて、今回も指原Pの作詞センスが光る。≠MEの世界観を作り上げていっているのは指原莉乃が書く歌詞とバグベアが手掛けるサウンドといっても過言ではない。カップリングは計3曲収録されているが、とりわけ注目したいのは冨田菜々風、蟹沢萌子、櫻井ももによるユニット曲「薄明光線」。グループの歌姫3人組による楽曲ということもあり聴く前からかなり期待していたのだが、その予想を大きく裏切ってくれた。冨田の力強いボーカル、蟹沢の繊細で透き通った歌声、櫻井の安定感抜群の歌唱スキルと3人の良さが発揮されたソロと掛け合いは聴いていて心地いい。王道アイドルとして≠MEの明るい未来が提示された作品。
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