fishbowl、放課後プリンセス、ゆるめるモ!……アイドルディスクレビュー#11(9/13〜9/19)

1週間でリリースされたアイドルによる楽曲のうち、個人的に気になった楽曲をピックアップしてレビューをしていく連載の第11回。今回は「fishbowl」「放課後プリンセス」「ゆるめるモ!」の3組を取り上げます。

・fishbowl『踊子/朱夏』(9月17日リリース)

静岡県を拠点に活動するアイドルグループfishbowlが9月17日に2ndシングル『踊子/朱夏』をリリースした。まだ結成されてから1年にも満たない新しいアイドルにも関わらず、前作では稀代のシンガーソングライター諭吉佳作/menとのコラボが実現するなど話題となっているアイドルグループだ。前作もインディーズアイドルとしては高いクオリティの楽曲に驚かされたが、本作も前作を超える2曲を届けてくれた。両A面シングルの1曲目となる「踊子」はメロディアスなサウンドを基調とした大人っぽいナンバーで、声のトーンや表情も心なしか大人びて聴こえる。楽曲としては前作を踏襲していて、fishbowlらしいサウンドといえばこちらがそうなのだろう。「朱夏」は夏のギラギラとした陽気をまとったポップチューンに仕上がっており、聴いているだけで懐かしい夏の思い出が蘇ってくるようだ。静岡県で撮影されたというMVはスイカを食べたり、シャボン玉で遊んだり、花火が打ち上げられたりと、夏のいろんな風景が映し出されていてこれもまたいい。地方のアイドルとは決して思えないクオリティとなっているので、ぜひアイドルファンには自信をもっておすすめしたいですね。

・放課後プリンセス『サイリウムの証明』(9月15日リリース)

2021年8月で結成10周年を迎えた放課後プリンセスから新シングル『サイリウムの証明』が到着した。「通常版」と「初回限定版」のほかに、「10TH Anniversary盤」もありファンならば必見のラインナップだ(全て収録曲は同一)。まず本シングルをもって関根ささら、道重佐保、小日向ななせ、澤田桃佳、西宮愛理という正規メンバー5人が卒業することを発表しており、現体制最後の楽曲ということで感慨深いものがある。過去に「秘密のティアラとジェラート」や「さよならデュアリーナ」などの作詞を手掛けてきた藤原優樹が同曲でも作詞を務めており、アイドルとして生きてきたこれまでと未来への決意に満ちた歌詞は5人の卒業を踏まえるとより一層心に響く。卒業の時期は2022年春とアナウンスされている。5人がプリンセスとしてファンの前に姿を現す時間は限られているので、残りの時間を噛み締めて過ごしていきたい。

・ゆるめるモ!『DELIVERY LIFESAVERS~ゆるめるモ!を止めないで~』(9月15日リリース)

7人新体制となったゆるめるモ!として初のリリースとなったミニアルバム『DELIVERY LIFESAVERS~ゆるめるモ!を止めないで~』には玉屋2060%(Wienners)、小林愛、M87、安原兵衛といったクリエイターが参加。毎度お馴染みとなっているジャケットはクラフトワークの『ツール・ド・フランス』をオマージュしたものということらしい。今回収録された6曲(全12曲のうち6曲はインスト)を聴いてみると、コロナ禍で人と人、アイドルとファンとの距離が離れてしまっている状況を踏まえた楽曲で構成されていることに気づく。今回のアルバムはそうした鬱屈した思いを抱えながら身を削って生きている現代人に寄り添うということがテーマとしてあるのだろう。聴いていると今にも溶け出しそうな感覚に陥るエレクトロなサウンドが印象的な「洗うんだワールド」に始まり、コロナ禍でも歩み続ける決意を描いた「DELIVERY LIFESAVERS〜ゆるめるモ!を止めないで〜」、歌詞で47都道府県を巡るニューウェーブチューン「極東47の街」など、ニューウェーブからEDM、エレクトロなど多彩なジャンルを取り込んだゆるめるモ!らしいサウンドがぎっしりと詰め込まれている。沈んだ日本中に元気を届けてくれるアルバムだ。ゆるめるモ!の楽曲はいつ聴いても元気になれる楽曲ばかりだな〜。

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