櫻坂46、SAY-LA、Peel the Apple……アイドルディスクレビュー#15(10/11〜10/17)

1週間でリリースされたアイドルによる楽曲のうち、個人的に気になった楽曲をピックアップしてレビューをしていく連載の第15回。今回は「櫻坂46」「SAY-LA」「Peel the Apple」の3組を取り上げます。

・櫻坂46『流れ弾』(10月13日リリース)

新たに2期生の田村保乃をセンターに迎えリリースされた『流れ弾』は、前作のギターを中心としたカラッとしたサウンドメイクから一転して、ホーンやトランペットを中心とした壮大なサウンドが鳴り響く、改名から1年を迎え、まだまだ挑戦することを厭わない櫻坂46の現在地が反映された楽曲だ。一瞬の静寂から放たれる〈Wait a sec〉のフレーズを経て、大サビの盛り上がりはまさに絶品で本楽曲のハイライトとも言える箇所。真っ赤な世界で狂ったように激しいダンスを繰り広げるメンバーの活き活きとした表情も見逃せない。田村がセンターに立つことによって大人っぽさが魅力として加わり、グループとして新境地を切り開くことに成功している。そのほか、森田ひかるのセンターを務め、ホーンが鳴り響く攻撃的な楽曲「Dead end」や本作で初のセンター抜擢となった渡邉理佐のセンター曲で、表題曲とは打って変わてマイルドな曲調の「無言の宇宙」を始め、小林由依・遠藤光莉・藤吉夏鈴によるピアノロック調の「ジャマイカビール」と井上梨名・松田里奈の弾けるポップナンバーの「On my way」などユニット曲も総じてクオリティが高い。

・SAY-LA『水色ラフレシア』(10月12日リリース)

SAY-LAが前作から約1年ぶりとなる6枚目シングルをリリース。2021年にはBABY TO KISSから小椋妃奈乃、ももちももの2名を新たなにメンバーとして迎え7人で再スタートを切った。 READY TO KISSや放課後プリンセスの楽曲も数多く手掛ける石谷光が作詞を務める「水色ラフレシア」は、タイトル通り「世界最大の花」としても知られるラフレシアをテーマに、SAY-LAらしい水色が散りばめられた爽やかな楽曲に仕上がっている。白と水色で統一されたきらびやかで洗練された衣装も統一感があっていい。〈ラフレシア〜〉のユニゾンに始まる躍動感のあるサビは違和感なくすんなりと耳に残る心地いいメロディで強い印象を残している。カップリングとして収録されている「純愛ペスカトーレ」は夏の爽やかな記憶を思い出させ、「かけがえないLove & Peace」はSNSの匿名の凶器に触れつつ世界平和への願いを身近に歌い、「約束の三年目 〜今ここから描き出す物語〜」ではグループのこれまでとこれからを高らかに歌い上げる。誰もが夢見る武道館での単独公演を目標に掲げているSAY-LAは一歩ずつ確実に夢に向かって進んでいるのだと本作を聴いて感じた。

・Peel the Apple『勇敢JUMP! 』(10月13日リリース)

「26時のマスカレイド」の新メンバーオーディションの落選メンバーが集まり結成されたPeel the Apple。小田垣有咲の加入と堤もねの卒業とグループに変化を経験した2021年ではあったが、昨年末の「NEXT IDOL GRADPRIX 2020」でグランプリを獲得した勢いそのままに一気にアイドルシーンの階段を駆け上ってきた。いま最も注目のアイドルグループだ。初のフィジカル盤としてリリースされた1stミニアルバム『勇敢 JUMP!』は、メンバー別ソロジャケット8形態となっており、セールス1位を獲得したメンバーが次作でセンターを担うことが発表されている。表題曲の「勇敢 JUMP!」は『オードリーさん、ぜひ会ってほしい人がいるんです。』の10月エンディングテーマにも抜擢。作詞・作曲をハロー!プロジェクトの楽曲を数多く手掛ける星部ショウが手掛け、王道J-POPのキャッチーなメロディラインと一緒に前を向いて困難を乗り越えようというポジティブな歌詞が一歩踏み出す勇気をもらえる。2曲目の「はじまりのはじまり」はSILENT SIRENのサウンドプロデュースも務めるクボナオキによる楽曲で、彼女たちのライブでもお馴染みのナンバー。メンバーの歩みと決意をミディアムな曲調に乗せて情感たっぷりに歌い上げる。「リンゴの皮をむくな!〜Don’t Peel the Apple〜」もアルバム表題曲と同様に星部ショウが作詞・作曲を担当。最初期の楽曲でまさに彼女たちを象徴する代表的な楽曲となっており、ファンタジー調のメロディやと「PtA」の掛け声、疾走感のあるサビがグループのコンセプトを表している。その他にもサビのキャッチーで疾走感のあるメロディが心地いいライブに欠かせないパワーソング「Va!Vamos!」、まさに太陽のような晴れやかなアップテンポなナンバー「サニーガール」、何度も出てくる〈さんきゅー!〉のフレーズが印象的なファンへの感謝を歌った「さんきゅー!」と、グループの"今”がぎゅっと凝縮された記念すべき1作目として相応しい作品になっている。個人的に一番期待しているアイドルグループなので、本作をきっかけに多くのリスナーに彼女たちの存在が知られていくことに期待したい。

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