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初体験

初体験の話。

といっても、リハビリの話だ。
人生ではじめてのリハビリ。
脱臼するのも初めてなら靭帯断裂もはじめてで
リハビリもはじめて、すべて初体験である。

脱臼、靭帯断裂から安静にすること1週間。
まずは主治医の診察からはじまったのですが、
第一声は「マジで!?」だった。
と、いうのもこの怪我だと通常、腕を肩より上にあげるのに2週間以上は要するのだそう。
稀に早い方もいるそうだが、それでも痛みを伴うらしい。なのにも関わらず、俺はいとも簡単に腕を肩より上にあげてみせた。それを見た第一声である。

もちろん、突っ張った感じや違和感が無いと言えば嘘になる。
が、それほどの痛みはない。もちろんその状態から捻ったり、
早く動かしたりすると当然痛むのだが、とりあえず上にあげるだけであれば特段の問題はない。

これなら8月の後楽園での復帰は大丈夫だと思う、ただしプロレスで受ける技や打撃の強度がどれぐらいなのかがわからないので断言はできないが。との注意書き付の8月復帰予定のお墨付きをもらった。

しばし、真っ白な人間水族館の水槽に放流された後、ついにリハビリに。
理学療法士さん、いわゆるリハビリの先生も同じく1週間での回復力に驚いていた。

容疑者に尋問をするかのような発生原因の聞き取りを終え、はじまったリハビリは帯状のチューブを使って肩に負荷をかけていくリハビリで、これが想像以上にツラいのである。よくドラマなので怪我した主人公が汗だくでリハビリに励む描写があるが、まさにそれで、ゆっくり、じんわりと負荷をかけていくのだが、汗が吹き出し、痛みとダルさのなんとも言えない鈍痛のハーモニーで体力がジワジワと削られていく。

長髪で髭面、腕に入れ墨の筋骨隆々男が汗だくで唸りながらリハビリをこなす姿はなかなか目立つもので気付けばそのリハビリフロアにいる患者さんや理学療法士さん全員が奇異の目で俺を見ている。
そうするとまたムクムクと俺のサービス精神が沸き上がり、「ぐぅぅぅぅぅぅぅぅんんんんん、むふぅぅぅぅぅぅぅぅっっ!」などと必要以上に唸り声を出して注目を一身に浴びる小一時間、、、か、い、か、ん。

終えた額の汗はダイヤモンド、信頼と実績の輝き。
うっすらと残る痛みはまるで初体験、青い影、A Whiter Shade Of Pale。

ありがと!!