デザイナーが個人開発をしてわかったこと
こんにちは、デザイナーをしているりゅーです。
Twitterなどで「デザインエンジニアになりたい」などと発信するくらい、デザインとエンジニアリングの両方をやっていきたいと考えていた中で、
ついに「企画からデザイン、実装、告知まで一貫してやった」経験をできたので、そのプロセスをまとめたいと思います。
作ったのは、「つぶやき読書」という読書メモアプリです。
この記事で書いていること
・デザイナーが企画から実装まで行ってリリースするまでの大枠プロセス
・仕様が決まっていないプロダクトを、作りながら磨き込んでいくプロセス
・開発全体を通して得た気づきと学び
なぜやろうと思ったの?
そもそも、なんでデザイナーの僕が読書メモアプリを作ろうと思ったのか。
それは、「自分の積ん読を解消したかった」のと、「デザインエンジニアとしてアプリをリリースしたかった」からです。
そもそも「読んだ内容をつぶやく体験」は、僕が思いついたのではなく、友達のブライアンがやっていたのに乗っかったのがきっかけでした。
この体験が思った以上に良さそうだったので、「アプリにして効率的にできるようにしてみたい」という発想が生まれます。
最初からアプリを作らず、一番早く作れる方法でやってみる
とはいえ、発案当時はアプリを作る技術がなかったし、そもそもどんなアプリがいいのかも曖昧だったので、
思いついた一番簡単な方法で作ってみました。
Glide: スプレッドシートをデータベースとして、10分でWebアプリを作れる
→アプリにメモを入力すると、スプレッドシートに保存されるように
IFTTT: 簡単にサービス間の連携ができる
→スプレッドシートに追加されたメモを、そのままツイートするように
Glide × IFTTT:
→Webアプリにメモを入力すると、(スプレッドシートを経由して)ツイートされるように
→やりたかった体験が実現!
結果として、こんなアプリができました。
制作時間30分くらい?(うろ覚え)
しばらく使ってみます。
期間にして1ヶ月くらい、本読むときに使ってました。
そして、だんだん価値を実感し始めて、ようやく決意を固めます。
初めてのアプリの原型作成
初めて触るFirebaseを、参考記事コピペなどで組み合わせながら、
「一つのアカウントで、読書メモの保存だけできるアプリ」ができます。
作って使ってみて気づくことが多過ぎてびっくりする
原型段階では、自分で使っていてもモヤモヤするくらいでした。
しかし、使って調整して...を繰り返しているうちに、進むべき方向性が見えてきました。
ユーザーがTwitterにつぶやくので、「これ、体験フロー自体が広告になってるのでは」と気づいたり
主要ボタンの改善をするだけで、劇的に体験が良くなる衝撃を受けたりして
ようやく、このアプリによって解決したかった「積ん読」が解決されている実感を得ます。
普通に使うのではなく「お風呂に入りながら」という文脈が揃うことで効果があることを、試行錯誤の中で見つけました。
検証環境が整い、βテストの開始。そしてリリースへ
いきなりリリースするのは、バグや気づいてない致命的な欠陥などが怖かったので、βテストをすることにしました。
思った以上に反応をいただけて、需要があったことに驚きました。
スタートアップではないですが、「最小限の機能」に対しても需要があることの確認になりました。
βテストでいただいたご意見を反映して、ストアの本申請も通ったことで...
2021年3月21日、ようやく人生初の「個人開発アプリのリリース」を達成します。
ありがたいことに、多くの方にシェアやいいねをいただき、自分の作ったモノの方向性が一定正しかったことに嬉しさを感じ続けています...
リリース後3日間で、ダウンロード数は200を超えました。
自分が作ったアプリを、200人以上の方に触っていただけている感動...
(そして初速を過ぎるとグラフが急降下する現実も知る)
現在も、毎日数人がこのアプリを使ってくれたり、改善要望を送っていただける方もいたりして、ヘビーユーザーとの協働の大切さも感じています。(本当にありがとうございます!)
個人デザイナーが個人開発をしてわかったこと
作って、使って、磨いて...を繰り返すと、進むべき方向がわかってくる
takramさんの本にも書いてあった「高速なプロトタイピングによる仮設検証で、プロジェクトに一定の方向感覚を生み出す」の意味を、経験として理解できました。
どんなに頭や机でこねくり回しても、作ってみないとわからないことがたくさんあります。
逆に、仮説が浮かんだらとりあえず作って試してみると、その先が見えてくることがほとんどでした。
作って、考えて、壊して、また作って...を繰り返すことで、正しい姿が見えてきます。
「そもそも価値あるの?」段階では、デザインツールを使わなくたっていい
このプロジェクトにおいて、初期リリースまでのUIデザインにおいて、一切デザインツールを使いませんでした。(アイコンや紹介用画像の制作のみ)
つまり、「そもそもプロダクトの価値あるの?」段階では、デザインツールを開くよりも早く検証できる方法があれば、それで十分だなと。
今まではデザイナーという役割から、まずデザインツールを開くことから始めていましたが、その時点で方法に縛られてしまっていたな、と痛感しました...
エンジニアの方々の偉大さ
必要最小限の機能である「アカウントごとに読書メモができる」を実現するだけでも、
・アカウントを作成できる
・アカウントにログインできる
・本を作成できる
・作成した本を表示できる
・後から追加した本は再読み込みして表示できる
・本の詳細に遷移できる
・メモを作成できる
・作成したメモを表示できる
・後から追加したメモは再読み込みして表示できる
...と、実に9個の機能実装が必要になってきます。
しかも、この中にはまだ「作ったUIデザインを反映させる」という実装は入ってません。
つまり、これらができていないと、Figmaでどれだけいいデザインを作っても、「つぶやき読書」は何の価値も生めません。
プロダクトを作るためには、デザインに着手する前に、これだけのことを実現しなければならない。ユーザー体験の実現にあたって、その土台となる機能を作ってくださってるエンジニアの方々の偉大さを思い知りました。
自分の課題を解決するものなら、モチベーションが続く
友達とこのアプリの話をしていると、「なんでそんなに続けられたのか」という話になりました。
考えてみると、「これが完成すれば、積ん読が解消できるのでは」という期待が大きかったです。
「本、積んじゃってるな〜」というモヤモヤは、1年を通してたびたび感じているので、そのモヤモヤが「はよアプリ作るぞ!」につながりました。
まず作るなら、自分の課題を解決してくれそうなアプリ、おすすめです。
おわりに
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
皆さんも一度は「こんなアプリあったらいいな」「こういうの欲しいな」と考えたことがあるのではないでしょうか。
自分が欲しいと思ったことを自分で作り、磨き上げていく。
個人開発は思っていた以上に楽しくて、得られるものも大きいです。
最初は必ずしも実装する必要はありません。
プロトタイピングツールはたくさんあるので、まずは必要最小限の機能だけを作ってみてもいいです。
この記事が、「作ってみたいもの」がある方々の背中を押せたり、作りはじめるモチベーション向上につながると嬉しいです。
読んでいただき、ありがとうございました。
「つぶやき読書」、ぜひ使ってみていただけると嬉しいです!
使ってみての感想や改善要望をいただけると、さらに喜びます!
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