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#10 調剤事務の人に知ってほしい医薬品(内用薬)の剤形と種類

▼以下の文章は動画内容を文字おこししたものです。

////////////////////////以下、動画内容/////////////////////////////////////////////

こんにちは、チャンネル運営者のSATOUです。

突然ですが、問題です。

問1)
トローチ剤は内用薬?外用薬?

問2)
次のa.b.cのうち外用薬はどれ?
a.リニメント剤 b.エリキシル剤 c.リモナーデ剤

問3)
口腔内の唾液で速やかに溶解、又は崩壊させて服用する製剤のことをチュアブル錠という。〇か✖か?

正解はそれぞれご覧の通りです。

問1)外用薬 問2)a.リニメント剤 問3)✖(口腔内崩壊錠、OD錠)

これから調剤事務の勉強をはじめようとしている方にとっては難しく感じた方もいるかもしれませんし、既に薬局に勤務されている方でも突然問題を出されるとビックリして即答できなかったかもしれません。

医薬品は主に内用薬・外用薬・注射薬に分類することができますが、
それぞれにおいて様々な「剤形」があります。

「剤形」とは?
医薬品をその目的や用途に応じて適切に加工した薬の形のこと。です。

今回の動画では調剤事務の方にも知って欲しい医薬品の剤形と種類についてお話しようと思います。
それで一度に全部をお話するととても長い動画になりますので今回は内用薬に絞ってお話していきます。

現在、勉強中の方はなかなか文章だけだと感覚的にわかりにくいかと思いますので実際の写真や絵を用いてそれぞれの剤形について説明していきます。

まずは一度、動画全体を通して見て頂いて覚えにくい箇所があれば何度か見直してもらえればと思います。
各動画の概要欄に目次がありますので、もし必要な方はぜひご活用下さい。

先ほど医薬品には内用薬・外用薬・注射薬があるとお話しましたが、それぞれの定義の部分にも是非注目して見てください!

例えば冒頭の問題1のようにトローチ剤は何故内用薬ではないのか?と言ったことも内用薬の定義をしれば理解できるかと思います。

それでは、早速いってみましょう!

①内用薬とは?
内用薬とは、「口からのみ込み、胃や小腸で溶けて吸収される薬のこと」です。先ほどの例に出てきたトローチ剤は口の中でゆっくり溶かして、溶け出た成分を口の中や喉に広げるもので錠剤ではありますが胃や小腸で吸収させる内用薬とは異なります。

また、内用薬のことを「のみ薬」、「経口薬」「内服薬」などとも呼ぶことがあります。今回のテーマである剤形(薬の形)で分類すると、粉薬、カプセル剤、錠剤、液剤といった種類が皆さんにとっても馴染みのあるものかと思いますが、例えば錠剤にしてももう少し細かく分類されていますのでそれぞれ見ていきましょう!

内用薬の剤形とその種類

・散剤(Powders)
散剤とは薬の有効成分に賦形剤などの添加剤を加えて粉末または微粒状にしたもの。です。粒の細かい粉薬と言うとイメージしやすいかもしれません。
それで、賦形剤というのはメインとなる薬の量が少ない時に薬の量をカサ増しするために加える粉のことで基本的に賦形剤には薬の効果(薬効)はありません。

それで、写真を見ていただきたいのですが、医薬品の商品名のここの部分に「散剤」の散という字が記載されています。

(動画)実際の散剤をみてみますと、、、ご覧のように粉がきめ細かいのがわかるかと思います。次に紹介する顆粒剤に比べると粒子がとても小さいと言うことができます。

・顆粒剤(Granules)
続いては「顆粒剤」です。
顆粒剤は薬の有効成分に賦形剤などを加えて粒子の揃った粒状(つぶじょう)の形にしたものです。
この写真の場合ですと商品名のここの部分に「顆粒」という字が記載されています。

(動画)こちらが顆粒剤の映像になります。動画だとわかりずらいかもしれませんが、先ほどの散剤に比べると粒子の粒の大きさが大きいのが特徴です。

・丸剤(Pills)
丸剤(がんざい)は薬の有効成分に賦形剤などを加えて球状にしたものです。

この写真の場合ですと商品名のここの部分に「丸剤」の丸という字が記載されています。こちらは医療用医薬品ですが一般用医薬品ですと正露丸が有名かと思います。

(動画)こちらが丸剤の映像です。漢字の通り真ん丸な形をしています。

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続いては「錠剤」です。錠剤にはいくつか種類があるのですが、まずは錠剤の定義について確認しておきます。

錠剤(Tablets)
錠剤とは?口から投与する一定の形をした固形の製剤のことを言います。
今回は錠剤の種類を9種類ほどご紹介します。

①素錠(裸錠)
一つ目は素錠(そじょう)または裸錠(らじょう)と呼ばれるもので読んで字のごとく素の錠剤、裸の錠剤で特に表面に加工がされていない錠剤です。

有効成分と添加剤を圧縮して製造します。比較的簡単に製造できる反面、苦味や臭いがある薬物には適さないと言えます。

②糖衣錠
二つ目が糖衣錠です。先ほどお話した素錠(そじょう)の表面を白糖などでコーティングした錠剤のことを言います。コーティングすることで味や臭いが矯正され、さらに表面に光沢があるため服用しやすいメリットがあります。

③口腔内崩壊錠(OD錠)
3つめは口腔内崩壊錠(OD錠)とも呼ばれます。口の中でで速やかに溶解、又は崩壊させて服用する錠剤のこと。です。
写真のように製品名の後にOD錠という記載があります。
見た目にはわかりにくいかもしれませんが唾液で溶けるので非常に飲みやすいというメリットがあります。

④チュアブル錠
4つ目はチュアブル錠です。子供が服用しやすいように設計された、噛んで服用出来る錠剤のことで、口の中で噛み砕くと急速に溶けて、クリーム状になります。写真を用意できませんでしたが代表的な医薬品の一つに「シングレアチュアブル錠」という薬があるので興味のある方は画像検索して見て下さい。

⑤舌下錠
5つめが舌下錠です。漢字のとおり舌の下に挿入して、急速に溶かして口腔粘膜から吸収させます。急速に効果がでることが期待できる薬です。

写真の絵のような形で舌の裏側に入れて使います。

⑥バッカル錠
6つめがバッカル錠、こちらは舌下錠と似ていますが、有効成分を口腔粘膜からゆっくり吸収させる錠剤で、くすりを頬(ほっぺた)と歯ぐきの間にはさみ、飲み込んだり、かみ砕いたりせず、だ液で自然に溶かして使用します。

代表的なものとしてイーフェンバッカル錠という製品があります。

⑦発泡錠
7つ目は発泡錠です。こちらは形は錠剤とにていますが、水に入れると発泡する特性のある薬です。飲む直前に水に入れて液体として服用します。

⑧腸溶錠
8つ目は腸溶錠です。一般的な医薬品は胃で溶けることが多いのですが、腸溶錠は特殊なコーティングをすることで薬が腸に到達してから溶け出します。

写真の医薬品の場合、製品名の後に腸溶錠の記載があります。

⑨徐放錠
徐放錠とは、薬の成分がゆっくりと溶け出し、効果が長く続くように加工したものです。例えば昔は1日3回飲んでいた薬が徐放錠にすることで1日1回の服用ですむようになったりしています。

以上、錠剤についてご紹介しました。

・カプセル剤
続いてはカプセル剤です。
カプセル剤は馴染みのある方も多いかもしれません。
医薬品をカプセル容器で包んだものになります。
カプセル剤は硬いカプセル(ハードカプセル)と軟らかいカプセル(ソフトカプセル)がありますが、写真は硬い方のカプセルです。

ここまで、内用薬(内服薬)をご紹介してきましたが、内服薬には内服用固形剤と内服用液剤といった分け方もできます。
今までご紹介してきた粉薬、錠剤、カプセル剤が内服用固形剤になります。

続いて、内服用液剤について代表的なものをお話します。

・シロップ剤
まずはシロップ剤です。
医薬品を白糖や甘味料または単シロップを加えて甘みをつけた液状の製剤です。写真のように製品名の後にシロップと記載されていることが多いです。


・ドライシロップ
続いてドライシロップ、ドライシロップは糖類か甘味料で甘く味付けられた粉薬の一種で、水に溶かしても服用できるタイプのお薬です。甘みがあるので子供用の薬として使われることが多いです。

粉のまま服用することもできますが、水に溶かすと最終的には液体になるので固形剤ではなく液剤に分類されているようです。

・エリキシル剤
エリキシル剤は甘味・芳香のあるエタノールを含む澄明な内用液剤のことです。こちらも写真を用意できなかったのですが、代表的なエリキシル剤としてデカドロンエリキシル0.01%という商品があるので興味のある方はぜひ画像検索して見て下さい。

・懸濁剤
懸濁剤は名前にある通り濁った状態の液剤です。固形の医薬品に懸濁化剤と精製水または油を加えることで懸濁した状態になります。

・リモナーデ剤
リモナーデ剤は甘味と酸味がある澄明な液剤のことです。
こちらは僕も色々調べてみたのですが医療用医薬品として販売されている商品はないかと思います。

試験対策としてはリモナーデ剤は内服用の液剤だよーってことを理解していれば問題ないかと思います。

・浸剤、煎剤
最後に浸剤(しんざい)と煎剤(せんざい)について

こちらは細かく説明すると非常に難しくなるので大雑把に説明しますと
生薬を使って水やお湯に生薬の成分を溶け出させることで生成するものです。

それで生薬とは自然界にある動植物、鉱物などの一部を用いた薬のことです。


以上、内用薬の剤形とその種類についてお話してきました。
次回の動画では外用剤と注射剤の剤形(薬の形)についてお話していきます。

今回は以上となります。
最後までご視聴いただきありがとうございました。

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