【浄土真宗の言葉】#51　成仏よりこのかた、おほよそ十劫を歴たまへり。その仏国土は、自然の七宝、金・銀・瑠璃・珊瑚・琥珀・シャコ・碼碯合成して地とせり。恢廓曠蕩にして限極すべからず

成仏よりこのかた、おほよそ十劫を歴たまへり。その仏国土は、自然の七宝、金・銀・瑠璃・珊瑚・琥珀・シャコ・碼碯合成して地とせり。恢廓曠蕩にして限極すべからず
　
　
　
【解説】
　
今回は「法蔵が阿弥陀仏となられて十劫もの時が経過している。その極楽浄土は無上に美しく限りなく広い」という内容です。
　
この文の後は、
　
「ことごとくあひ雑廁し、うたたあひ入間せり。光赫焜耀にして微妙奇麗なり。清浄に荘厳して十方一切の世界に超踰せり。
（中略）
また地獄・餓鬼・畜生、諸難の趣なし。また四時の春・秋・冬・夏なし。寒からず、熱からず。つねに和らかにして調適なり」
　
となっています。
　
　
その仏国土に存在する宝は、混じり合って美しく輝く。その様子はどのような世界をも超越している。
（中略）
また地獄・餓鬼・畜生などの苦界は存在せず、春・秋・冬・夏もない。寒くもなく暑くもなく、いつも快適なのである・・・。
　
　
法蔵菩薩さまがご苦労してくださって完成されたのが極楽浄土であり、それは十劫もの昔のことです。
　
ところで十劫といえば、十劫安心という異安心があります。これは「十劫の昔、法蔵菩薩が阿弥陀仏と成られた。そこで衆生の極楽往生が決定されており、そのことを忘れないのが信心だ」と主張するものです。
　
他力信心の定義は「仏願の生起本末を聞きて疑心あることなし」ですから、大きく違う解釈であることが分かると思います。
　
また他にも似たものとして、帰還命根説（きげんみょうこんせつ）があります。
　
命というのは、実は私個人の命というだけでなく、より大きく高次の根本的な命である。それが阿弥陀如来であり、その命に目覚めるのが帰命なのだ。自分の命は十劫の昔に成仏している無量寿の命だと目覚めることだ・・・という説です。
　
現在の浄土真宗界でも「本当のいのちに目覚める」など、自分と阿弥陀如来を同一視するような表現が見られます。
　
そして「己身の弥陀」という説もあり、これは自己の本来の心は阿弥陀仏である、といったものです。
　
ですが浄土真宗はこのようなことは説きません。帰還命根説は浄土宗西山派、己身の弥陀は禅宗や天台宗が説くところなんですね。
　
浄土真宗ではあくまでも、阿弥陀仏の仰せを聞かせていただく教え。
　
煩悩まみれで六道輪廻を抜けられない凡夫を見られて、哀れな者よと立ち上がり、極楽浄土を完成してくださった阿弥陀仏。
　
その阿弥陀仏の「念仏となえる者を極楽浄土に生まれさせて仏に成らせる」という誓願を聞いて疑い無い・・・これが他力信心です。
　
けっして十劫安心や帰還命根説のようなものではないんですね。
　
たしかに獲信者は、最終的には阿弥陀仏と同じ仏に成らせていただきますが、それはあくまでも死んだ後のこと。
　
生きている間に阿弥陀仏になったり、自己と法蔵菩薩を同一視したりはしないのです。
　
聞法しておられる方は、その点を誤解しないように気をつけていただければと思います。
　
　
　
　
原文
http://labo.wikidharma.org/index.php/仏説_無量寿経_(巻上)#no10
　
　
　
帰還命根説についてはこちらが詳しいです。
　
帰命　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/帰命
　
　
　
参考としてこちらもご覧ください。
　
十劫安心　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/十劫安心
　
　
己身の弥陀　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/己身の弥陀唯心の浄土
　
　　
成仏　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/成仏
　
　
十劫　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/十劫
　
　
仏刹　仏国土　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/仏刹
　
　
七宝　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/七宝
　
　
瑠璃　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/瑠璃
　
　
碼碯　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/瑪碯
　
　
恢廓曠蕩　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/恢廓曠蕩
　
　
限極なき　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/限極なき
　
　
法蔵　法蔵菩薩　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/法蔵菩薩
　
　
あみだぶつ　阿弥陀仏　弥陀　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/あみだぶつ
　
　
極楽　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/極楽
　
　
浄土　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/浄土
　
　
雑廁　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/雑廁
　
　
入間　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/入間
　
　
光赫焜耀　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/光赫焜耀
　
　
微妙　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/微妙
　
　
荘厳　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/荘厳
　
　
十方　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/十方
　
　
地獄餓鬼畜生　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/地獄餓鬼畜生
　
　
諸難　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/諸難
　
　
調適　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/調適
　
　
衆生　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/衆生
　
　
おうじょう　往生　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/おうじょう
　
　
他力　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/他力
　
　
信心　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/信心
　
　
仏願の生起本末　Wikiarc
http://labo.wikidharma.org/index.php/仏願の生起本末
　
　
疑情　疑心　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/疑情
　
　
無量寿仏　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/無量寿仏
　
　
浄土真宗　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/浄土真宗
　
　
浄土宗　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/浄土宗
　
　
西山　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/西山
　
　
禅宗　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/禅宗
　
　
天台宗　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/天台宗
　
　
煩悩　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/煩悩
　
　
六道　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/六道
　
　
輪廻　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/輪廻
　
　
凡夫　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/凡夫
　
　
念仏　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/念仏
　
　
仏　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/仏
　
　
誓願　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/誓願
　
　
獲得　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/獲得
　
　
浄土真宗聖典目次　WikiArc
http://labo.wikidharma.org/index.php/WikiArc:浄土真宗聖典目次
　
　
　
【今回の読み仮名】
　
成仏‐じょうぶつ
十劫‐じっこう
歴たまへり‐へたまへり
仏国土‐ぶっこくど
自然の七宝‐じねんのしっぽう
瑠璃・珊瑚・琥珀‐るり・さんご・こはく
碼碯‐めのう
合成して地とせり‐ごうじょうしてじとせり
恢廓曠蕩‐かいかくこうとう
限極‐げんごく
法蔵‐ほうぞう
阿弥陀仏‐あみだぶつ
極楽浄土‐ごくらくじょうど
雑廁‐ざっし
入間‐にゅうけん
光赫焜耀‐こうかくこんよう
微妙奇麗‐みみょうきらい
清浄‐しょうじょう
荘厳‐しょうごん
十方‐じっぽう
超踰‐ちょうゆ
地獄・餓鬼・畜生‐じごく・がき・ちくしょう
諸難の趣‐しょなんのしゅ
調適‐じょうちゃく
法蔵菩薩‐ほうぞうぼさつ
極楽浄土‐ごくらくじょうど
十劫‐じっこう
衆生‐しゅじょう
往生‐おうじょう
他力‐たりき
信心‐しんじん
仏願の生起本末‐ぶつがんのしょうきほんまつ
疑心‐ぎしん
帰還命根説‐きげんみょうこんせつ
無量寿‐むりょうじゅ
浄土真宗‐じょうどしんしゅう
西山‐せいざん
禅宗‐ぜんしゅう
天台宗‐てんだいしゅう
煩悩‐ぼんのう
六道輪廻‐ろくどうりんね
凡夫‐ぼんぶ
念仏‐ねんぶつ
仏‐ほとけ、ぶつ
誓願‐せいがん
獲信者‐ぎゃくしんしゃ
　
　
　
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【聞法している方へ、ご案内】
　
・『ゼロからわかる浄土真宗』
浄土真宗が基礎からわかるホームページです。
http://amidabuddha18.com/
　
　
・note『死ぬのが怖い人へ』
私の聞法の記録です。
https://note.com/ryuun18/m/mdef818dfed16
　
　
・「南無阿弥陀仏」の文字が入ったスマホ用壁紙を作りました。
縦横比は以下の２種類。
・２対１ (iPhone11/11Pro/11Pro Max, iPhone XS/XS MAXなど)
・１６対９ (iPhone5/6/7/8, Androidなど)
色はウェブサイトでよく使われる１２種類。
こちらでダウンロードできます。
http://amidabuddha18.com/kabegami/
　
　
・安心論題の話
http://labo.wikidharma.org/index.php/安心論題の話
　
　
・光雲な毎日（立読みページ）
http://koun18book1.blogspot.com/
　
　
・note『信心獲得したい方へ（浄土真宗の救い）』
信心に悩んでいる方は、こちらのページがおすすめです。
https://note.com/koun18/n/ndbc737a85fa4
　
　
　
南無阿弥陀仏