【第５１話】如月の惣領姫

　傾斜した床に客席のように並んだ席に着く面々を見やって洋子は内心でこっそりとため息を吐いた。壇上の隅に洋子は陵と並んで座らされている。陵は最初は緊張した面持ちをしていたものの、段々と飽きてきたのか今では少し俯いて肩まで伸びた髪で顔が隠れている。……たぶん、寝ている。そんなことを思いながら洋子はちらりと席に着いた理事の面々に目をやった。

　空き席が目立つのは菖の言った通り、忙しいために出席出来ない理事が多いからだろう。そして、何故か出席できた例外のうちの一人、菖の父親がさっきから延々と罪状よろしく洋子の生活態度について暴露中だ。もっともその多くが洋子には全く心当たりのないでたらめなことだった。

　無事だといいけど……。