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住宅ローンを利用して不動産を購入するときには、建物以外に掛かる諸費用まで含めた全体的な資金計画と、毎月の支払に無理がないのかといった返済計画の2つの資金計画を立てることになりますが、売る側から提案される返済計画のほとんどは返済期間35年。

これは、返済期間を長く設定することで毎月の返済額が低く見せられることから、家賃並みの支払いでマイホームが買えるなら買ったほうがトクですよとか、家賃はドブに捨てるようなものですよ、といったかなり短絡的な考え方のセールストークにお客さんが意外とカンタンに引っ掛かってしまうためこういった説明が行われています。

ちなみに、私が不動産業界で働き始めた1992年当時、住宅金融公庫(現在の住宅金融支援機構)の返済期間は木造で最長25年。

当時はこの返済期間最長の25年でも「そんなに長い間、返済を続けられるだろうか」と心配されている方がほとんでしたが、土地価格は上昇、給料も毎年上昇、景気も右肩あがりと、何もかもが右肩上がりの状況でしたからまったく問題もなかったわけです。

ところが最近はどうでしょう。

土地価格はほとんどの地域で下降、給料もここ数年まったく上がらない、そもそも会社がどうなるかも分からない、景気もまったくよくならないと、何もかもが右肩が上がらない状況にもかかわらずなぜか返済期間は35年と、誰でもカンタンに気がつきそうな矛盾を売る側も買う側もまったく意識することはありません。

このように、たったいまお金がなくても夢のマイホームが購入できる住宅ローンはすべてが右肩上がりの時代には適した商品でしたが、すべてが右肩下がりになりそうなこれからの時代には、まったくニーズにあっていない商品になってしまう可能性もあるわけですから、マイホーム購入は無理ぜず身の丈にあった草食系男子のような考え方がとっても重要です。

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