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RIZIN28 戦慄1本負け 朝倉未来が評価を落とさない理由

【スペシャルワンの流儀  死闘、衝撃を振り返る】

いまだに余韻から抜け切れず、軽くもやっとした状態が終了3日たった今でも続いている。
この感情の揺さぶられ方は堀口VS海1終了後に似ている。
ほかのナンバリング大会がそうでないというわけではなくてこの2大会が特別だ。
朝倉未来がまさかの三角締めに屈し、東京ドームにどよめきが起こった。
未来信者らしき女性からはすすり泣きが聞こえ、となりの未来信者ご一行はその瞬間席をたった。
割とフラットに観戦するスタイルではある筆者も、とりわけ終了後はクレベルコイケの勝利に興奮しそれを称える時間を過ごしていたが、1夜開けて以降未来がこの3年RIZINをひっぱりブームの立役者になり歴史的な東京ドーム大会のメインに挑んだその勇気を鑑みて沈痛ムードに身をゆだね続けている。

もはや信者、アンチというくくりなどどうでもよくなるほどに朝倉未来を応援し続けたいと思った人は筆者だけではないだろう。負けたのにも関わらずである。
何がそうさせているのか。ふりかえりたい。

最強朝倉未来から人間朝倉未来へ


これまで路上の伝説として、「最強朝倉未来」というブランドを掲げて連勝をひた走ってきた。
斎藤とのタイトルマッチでの敗戦はあったものの、内容も僅差であることからそこまで負けた感を踏襲していない。
そして今回の試合に向けて多くのファンがこの俺たちの未来、やったれ未来の考えをもとにメジャーマジョリティを形成していた。

またトップYOUTUBERという、価値の不確実性が高いともいわれる肩書を所有していることにも起因して、この神々しい輝きと傾向はライト層やアンチにとって「どうなんだよ」という批判や考えも存在していた。
(→ちなみに筆者はこの「最強朝倉未来」ブームにはフラットな立ち位置で、特別な肩入れがあったわけではなかった。ただこのブームが勝敗や実力といった絶対的価値とは全く別物として評価はされるべきだと思っていた。)

誰もが望んだ神のKO勝利。高まる会場の熱気。
このメインの試合の会場の空気異様、最高潮に達していた。
しかし結果としてRIZINという団体、榊原信行CEOが我々ファンそして視聴者に示したのは「絶望」「不安」「恐怖」といった理想に対してあまりにも痛すぎる、生々しい現実であった。朝倉未来失神1本負け。
繰り返されるハイライト。ゆっくりと決まっていき落ちた姿は未来KO勝利という期待とのGAPで一番大きいものであり残酷そのものであった。

神話が崩壊した瞬間であった。
「朝倉未来は終わった」「フェザー級GPどうするだろ」「萩原、平本らに頑張ってもらうしかないね」という考えが帰り道によぎった。
ただファンはこのことを今となっては謝らなければならないであろう。

その後の会見で潔く負けを認め、実力に失望し引退も考えると淡々と今をさらけだすその姿に心を動かされた人は筆者だけではないだろう。
壮絶な負けを世間にさらし、ありのままに評価し話す姿はまさに人間朝倉未来であった。
翌日のYOUTUBEの更新では負けが怖くてよく眠れなかったとも告白している。

自身の価値基準もわからず、過大評価をして素直になれない、負けを認めない、謝らない、挑戦しないということがいかにださくくだらないことであるかを一人の男が体現し我々に示し気づかせてくれたのである。
その冷静な自己分析能力の高さが引退も考慮して、というマインドにつながっていたはずだ。翌日現役続行を表明しているが、諦めて引退するということ、何かをあきらめるという決断ほど難しいことはないだろうとも思う。そしてその決断も尊いことではある。
それをあの壮絶な負けの後に淡々と発せられるのだからそもそものポテンシャルと頭脳は凄すぎるという形容では足りない。

「最強・人間朝倉未来」へ


翌日、朝倉未来は最強でなくてはならない、とSNSでファンに呼びかけている。
まだまだ信じ続けてくれているファンへのメッセージだ。
人によっては未来に対して感じることもあったこの類のメッセージのくささはもはや微塵も感じられない。
一定のアンチは居続けるだろうが、今回の敗戦でみんなが応援したくなっているからだ。
人間朝倉未来として最強を目指して復活していくストーリーほどのれるものはない。
もともとの神々しさは折り紙つき、そんな神に人間くささという華が垣間見えたものなのだから、評価を落としたとは決していえずむしろ上げたといっていいだろう。

失うものがなにもなくなったのだから、プロ指導格闘家からの指導もあるように、新しい指導者などのもとでさらに強くなってほしい。

ますます朝倉未来から目が離せなくなった。
いつの日か戴冠のかかった試合が下記であるのなら、これほどテンションがあがることもない。やり返してほしい。

フェザー級タイトルマッチ
王者クレベル・コイケVS挑戦者朝倉未来


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