家康の猛き者たち 三方ヶ原合戦録 戦国武将の生き様が凄い・・・
家康の猛き者たち 三方ヶ原合戦録
角川春樹事務所 2020年4月15日 刊行予定
佐々木功(ささき こう)
NetGalley様よりゲラを頂き、読了いたしました。
日本の戦国時代において印象に残るであろう覇者、織田信長、豊臣秀吉、そして徳川家康の三人。
好き嫌いはあったとしても、この三人が戦国時代に与えた影響が大きいというのは、間違いないことだと思います。個人としても魅力的な三人だし、この三人が意識はなくとも信長、秀吉、家康とバトンが繋がれていたのも歴史の不思議さを感じることができます。
この作品は、タイトルからもわかるように徳川家康を取り上げているのですが、家康本人について書かれたわけではなく、家康の下に集った者たちについて書かれたものです。
覇者と呼ばれる程の人間ですので、本人にも強烈なカリスマ性や能力が備わっていたとは思いますが、それだけで戦国時代を生き抜けるわけでもなく、支えてくれる多くの部下がいてこそ。
物語としては、家康がまだ家康として覚醒する前に徳川家を文字通り命を投げ出して支えた男たちのエピソードが書かれています。
それこそ作品紹介に本多忠勝の名前が書かれているので、若かりし頃の無双ぶりを書いていそうなもんですが、そんなこともない。もちろん。忠勝の強さを見せつけるようなシーンは書かれていますが、それよりも忠勝の一途な熱気に当てられた多くの武将達の生き様が素晴らしい。もっと書けば、圧倒的な強さを持つ武田の軍勢がかっこいいのです。家康の敵として書かれてはいますが、どっちの話なんだ?と感じるくらいに、武田の軍勢の一枚岩な感じが非常に魅せるのです。
そんな戦国時代の覇者となりえる能力と部下を持っていた武田信玄の侵略に対し、圧倒的不利な状況から立ち向かうことを決意し、負け戦となることを理解したうえで、どのようにして徳川家康という武将は一歩も引かずに武田と渡り合えることを天下に理解させるか。
この合戦での徳川勢の働きぶりは、鬼気迫るという表現でしか言い表せないほど。
せつなく、魅力的で、美しく、哀しい。
読み応えがありました。
戦国時代を舞台にしているのに、歴史小説という感じはせず、ひたすらに男たちの苦悩と信念がつづられています。
歴史好きでも、そうでなくても、お勧めできます。
サポートを頂けるような記事ではありませんが、もし、仮に、頂けるのであれば、新しい本を購入し、全力で感想文を書くので、よろしければ…