真夜中のキョーフ たまに読む児童書って楽しめるなぁ

真夜中のキョーフ
日本児童文学者協会 2020年4月3日 刊行予定

NetGalley様よりゲラを頂き、読了いたしました。

児童書を読むのは久しぶりです。
児童書って、子供さんでも楽しんで読めるように、わかりやすく丁寧に、それでいてまわりくどくない文章で構成されていることが多いので、実は読書が苦手だったり、久々に読書をしたいと思っている大人の方にもおすすめだったりします。
この作品も、内容紹介には怖い話のように紹介が書かれていましたが、大人が読むような本格的な怖い話ではありません。むしろ、不思議で少しだけ怖い話が多いように感じました。作者の方々も、それを意識しているからなのか、「恐怖」ではなくカタカナ表記の「キョーフ」となっています。若干、怖い感じが薄れますよね。

今回読ませていただいたこの作品には、5つの短編が収録されています。
どの短編も読みやすく、内容もわかりやすいので、大人の方でしたらオチもわかってしまうかもしれません。ですが、子供さんが読むのであれば、日常によくある場面が多いこともあり、怖い!と感じてしまう子供さんも多いのではないでしょうか。
5つの作品の中でも、「あけてはいけない」という夜中にお留守番をしなけれはならなくなった双子の女の子が主人公の話が私は好きですね。
怖い話にはよく出てくるワード、夜中、子供だけのお留守番、普段よりも帰宅が遅い父親、二階からの物音、というなかなかベタな内容が盛りだくさんです。もちろん、設定に負けずオチもまた期待を裏切らない展開です。
とはいえ、ベタだからこそのキョーフというものもあるわけで、想像しやすい、または体験しそうなことが書かれているだけに、読んでいるときは平気でも、ふとした日常で同じような体験をしたときにキョーフ感は増すのでしょうね。

最近のお子さんは、夜に一人でお留守番をしても平気だったりするのですかね?私が子供の頃は、一人でお留守番をするとなると、カーテンの隙間だったり、居間においてある人形が怖かったり。それはそれは、一人でなんかいられない恐怖を味わったものです。
この作品の怖さというのは、そのような怖さと似ている気がします。何気ない日常の中に潜んでいる、普段は気にしもしない事。それでもタイミングが合うと、ものすごく怖く感じたりしますよね。

今はSNSやネットから多くの情報を仕入れることができるかもしれません。私が子供だったころのように、不思議が不思議のまま身の回りに存在していることは少ないのかもしれません。
願わくば、この作品を手に取り、世の中にはまだ不思議でちょっとだけ怖いこともあるんだな、という認識をしてもらえると、大人になったときにその体験が素敵な思い出に変わったりするのではないかな、と私は思います。

サポートを頂けるような記事ではありませんが、もし、仮に、頂けるのであれば、新しい本を購入し、全力で感想文を書くので、よろしければ…