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星野源 - 創造

溢れんほどの音楽の才能。ガラパゴスではなく世界にも目配せ。メインストリームのポップスとして機能しまくると思えば、根っこはアンダーグラウンドでパンク。俳優としても優秀で、新垣結衣の旦那さんから硬派な機動捜査員も演じるし、時代劇もいける。ドラえもんみたいな国民的アニメキャラともそりゃあもうナチュラルにタッグを組める。・・・と思いきや国営放送で天衣無縫な音楽番組をやり、松重豊とJacob Collierについて語る。大衆文化に組み込まれながらも決して毒を忘れない。表層をさらうだけでも親しめるし、深層を覗きこむと驚くほどの深みにはまってしまう。顔は薄い。決して王道のイケメンではないが、そりゃまあモテるだろ。

星野源という人は、彼と同年代・・・40代前後(いわゆるアラフォー)の男性にとって間違いなく嫉妬の対象である。特に音楽・映画・アートなどに親しく触れてきた者にとっては。


そんな星野源の新曲「創造」がリリースされたんだけど、頭抱えるほどかっこいい。スーパーマリオ35周年のテーマソングとしてCMでさんざん流れてた曲だけど、フルで聴くとまるっきり印象が違う。実はCMだとそこまで耳に残らなかったんだけど、MV見て一発でぶっ刺さりエンドレスリピでした。ゲームフリークとして知られる星野源の、任天堂とスーパーマリオへのリスペクトと愛を目いっぱい詰め込んだ歌詞、ゲームの起動音なんかの仕掛けも楽しいし、ギターではなくアナログシンセを並べて、8bitの世界をイメージしながら作られたという「創造」は、「今までにない新しい星野源」でありながらも、ものの数秒でするっと馴染んでしまう。毎回言ってる気がするけど、ポップスとしての強靭さが半端ない。


と、いうわけで嫉妬と称賛のはざまをループしながら、今回もまた「参りました」と言わざるを得んのである。くそっ、星野源、このやろう、くそっ。


さりげなくファンならわかるこんなフレーズも紛れさせる憎さ。

死の淵から帰った 生かされたこの意味は 命と共に遊ぶためにある



インタビュー。



CMはこれだ。



俳優もやっているということもあり、専業ミュージシャンみたいに曲を出しまくるわけではないのだけど、星野源はとにかく「リリースした曲の爪痕残す率」が高い。毎回渾身の一撃を食らわせてくるんだよ。飄々としてるくせに。なんなんだよ。星野源の戦略会議とか覗きたいよ。


「うちで踊ろう」も然り。巻き込み力に感銘を受けた。紅白Version最高。


「折り合い」も良かったし。去年はあんな状況だったもんで、とりわけ優しい曲を出していたね。


全英語詞&Superoraganismとのコラボで海外展開を睨んだ「Same Thing」も然り。「Same Thing」のときに書いたこの記事はブレイクに至るまでの道程を詳しめにレビューしてるんだけど、

星野源の真髄はこれだと思ってる。彼は、金太郎飴にならない!!なりそうでならない!!

人気アーティストとなった星野源。ここからが肝心なのだけど、ブレイクすると変化を嫌い、いわゆる「金太郎飴状態」になるバンドやアーティストがいる。星野源で言えば「恋」や「SUN」みたいな耳馴染みの良いポップでキャッチー(死語)な曲を連発するような状態に陥ることだ。ブレイクした時の路線でずっとやっていく。それも策だろう。冒険しない。安全だし。それで満足してくれるファンも大勢いる。間違いではないかもしれない。でも、彼はそれを良しとしないことは明白だった。


「ドラえもん」も「恋」も、とにかく一撃のインパクトがデカい。


もう、「創造」も2021年を代表する曲のひとつになってしまったのではないか。今年の紅白、ぜったいこれじゃないか?



・・・・そろそろアルバムでそう。




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