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『人魚と過ごした夏』光文社 発刊記念イベント著者の蓮見恭子さんによるリアル&リモートトークイベント報告レポ-ト


福岡で、まさに、世界水泳2023ア-ティスティックスイミングの競技が行われていた直後の開催となりテンションが上がりました。

冒頭で、まず、日本のチ-ム、そして乾選手の大蛇(おろち)を演じるソロ、アメリカチ-ムのマイケル・ジャクソンの音楽に合わせての振り付け等、少しずつ競技の動画を見ていただきました。
アクロバティックな演技は、引き付けられるものがあり目を離せないほどの見応えがあります。一方で、大幅なル-ル改正で、難度を重視するあまり、芸術性が、残念ながら以前のように感じられないというご意見もありました。

その後、蓮見恭子さんが書かれた本格的ア-ティスティックスイミングの青春小説『人魚と過ごした夏』について、作者として、伝えたかったこと、また、心がけられたことなどお尋ねしていきました。

アーテステイックスイミング、私が現役でしていたころは、シンクロナイズドスイミングととよばれていました。

主人公はオリンピックを目指す高校生で、ナショナルチームを目指すぐらいの選手なのでかなり高度なテクニックも出てきます。

実は、蓮見さんは、昨年の今ごろ、隆祥館書店に、シンクロの小説を書きたいと思っていると仰ってこられたのです。そして、私が、マスターズシンクロの指導をしていることを、お伝えすると、すぐに取材のために体験入水に来られることになったのです。(決断が早い)
ところが、一回だけの予定が、一回だけではなく、何と、1年間習って下さり、今年2月には、マスターズシンクロの大会にも出られたのです。その熱心さは、すごいものでした。

かなり難度の高いフイギュアがでてくるので、これは、どのようにして知られたのか?お聞きすると日本選手権アーティスティックスイミングのYouTube動画を見たり、
また、専門的なシンクロに関する用語 テクニカルルーティンのデユエットの規定要素であるベントニーコンバインドなども、webの「アーティスティックスイミング競技規則(2018)」日本水泳連盟が編集したものや、水泳用語辞典などで、調べておられました。

そして、蓮見さんがおっしゃていたのは、「がっつり競技について書くのではなく、あくまで女子高生達の青春小説にしようと考えていた。大会をめざして頑張る王道のスポ根ではなく、女子高生が自主的に競技に目覚める話にする為に、競技に詳しくない子を絡めたかった……が、結果的に競技の場面が増えてしまった。」とのこと

それもそのはず、イベントで、プロットを見せていただきましたら、ア-ティスティックスイミングの試合の年間スケジュールが、綿密に書かれていて、どれだけ一生懸命に取り組まれていたのかがわかるほどでした。ご本人曰く、競技のことを調べていくうちにその場面をどんどん書きたくなったとのことでした。

☆高校生のアスリートの方々や、フィギュアスケート、アーテステイックスイミングの好きな方々にも読んでいただきたい本です。
☆ア-ティスティックスイミングというスポーツの普及のためにも関心を持っていただきたいと思っています。

第二部 テ-マ「競争に勝つことだけがスポーツなのでしょうか?」

たとえば、今回の小説のように、オリンピックを目指していた選手がケガをしたり、何らかの理由で、引退しなければならなくなった時に、セカンドキャリアは、どうなるのか?

蓮見さんの今回のイベントのためのメッセ-ジは、下記のものでした。

「以前、ある選手と話す機会に恵まれた。彼女はトラック競技でオリンピックに出場した後、国内のマラソン大会で日本人トップの結果を出した超エリート選手である。が、取材時には調子を落としていて、顔色が冴えなかった。チャンスは何度もなく、ただでさえ少ない時間が怪我や体調不良で削られてゆく。選手の焦りやモチベーションの低下は、競技経験のない人間には理解できないし、部外者に簡単に理解されたくないだろう。そう考えただけで、言葉は指の間からすり抜けて行った。その後、彼女は一度も走る事なく引退してしまう。もしかしたら、彼女にかける言葉を探す為に、私はこの小説を書きたかったのかもしれない。」

今、その彼女は、保育士の学校に行かれているとのことでした。
心配で堪らなかったけれどもほっとしたと仰っていました。

蓮見さんは、お子さんに空手を習わせておられたそうで、空手の試合で起こった少し怖い反則の話もお聞きしましたが、その空手道場では、アスリ-トを目指すグル-プと、思い出作りのために練習するグル-プとに分かれているそうです。このように二つに目的を分けるという選択もありだと思います。

「競争に勝つことだけがスポーツなのでしょうか?」というテ-マで、議論し、その通りだと思いつつも、井村先生に教えを受けた自分にとっては、メダルという結果を出さなければならない代表選手は、やはり目的がはっきりしていないと結果は出せないと思うのでした。皆が生き生きと楽しみながら、スポ-ツをするためには、どうすれば良いのか?
これからも議論していきたいテ-マだと思いました。

今回のイベントの最後に、蓮見さんが仰っていた言葉が印象的でした。
一生懸命に、取り組んできたことは、決して無駄にはならない。他の道を選ぶことになっても、きっと活かせる。その通りだと思いました。

蓮見恭子さん ありがとうございました。
ご参加下さった皆様、ありがとうございました。

ア-カイブ動画は、イベント終了後も受け付けております。この機会にぜひ!!


ホ-ムペ-ジ
https://ryushokanbook.com


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