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12月9日ABCラジオ浦川泰幸の健康道場プラス 隆祥館書店店主 二村知子の今週の一冊は、元ラグビー日本代表だった平尾剛さんが書かれた「スポーツ3.0」です。

この本を読んで、とても共感するところが沢山あり今回ご紹介したいと思いました。

この本では、経済効果を得るためだけに、そして政治的に都合よく利用されて、勝利至上主義がはびこるいまのスポ-ツは、もはやスポ-ツのていをなしていない。と書かれていました。

 2021年のコロナ禍での東京オリンピックの時に、国民の命や、健康を守ることよりも商業イベントの開催を優先するこの国に違和感を感じていたのですが、平尾さんも狂気を感じた。と書かれていました。

コカ・コーラの宣伝カーの後ろを、聖火ランナーが表れて、なんだか商業主義のパレ-ドのようで違和感を感じながら見ていました。


「競争主義」と「勝利至上主義」とはちがう。

平尾さんは、もとラグビ-の日本代表だった方です。
改めて選手時代を振り返ると勝敗や優劣を競い合う環境がいまの私に大きな影響を及ぼしていると、書かれていました。勝ったら自信をつけて、負けたらその屈辱感をバネにするこのサイクルが、大学教員になられた今もスポ-ツほどには勝敗を競い合わない環境でありながら、このサイクルを自ら作り出して研究にいそしんでいると。

本屋経営をしている自分自身も、感動した本を読むとお客様にお薦めしたくなるのですが、ふと気がつくと、なぜか選手時代のように、結果を出すことを考えている。まったく同じように感じたのでした。

本書で、スポ-ツ選手は、「勝利至上主義」と「競争主義」を隔てるラインを常にまたいでいる。いつの時も「勝利至上主義」の領域に片足を突っ込んでおり、彼岸に渡ってしまわぬよう絶妙に身のこなしでバランスを保っている。ときにチ-ムメイトを敵視しながらも最後の最後では好敵手として見ようと、身をよじりながら踏ん張っているのがまぎれもない現実だ。というところ、言葉にしたくても、できない感情を、上手く言語化されていることに感動しました。

対戦する両選手と、審判が試合前に片膝をついて、人種差別への抗議を示した、女子サッカ-の日本対イギリス戦、この膝つき行為は、2020年にアメリカで起きた白人警官による黒人男性の暴行死を機に広がった「ブラック・ライブズ・マタ-」への共感を示すポーズでした。
オリンピック憲章第50条に違反する恐れのある行為だが、それをいとわず意思を表明した選手たちの勇気にしびれたと書かれていた。リアルタイムで見ていて、私も感動したのでした。



『過去に1968年、メキシコで、開催されたオリンピックで、陸上選手で、金メダルをとったトミースミスも、銅メダルをとったジョンカーロスも、表彰台で、人種差別を訴える行為をしたために、競技資格をはく奪され陸上界から追放された歴史がある。「ブラックパワー・サリュート」と呼ばれる。
当時は、アメリカで、黒人の人種差別運動が燃え盛っていた。公民権運動の父、キング牧師が暗殺された後だった。
この時、銀メダルを獲得したオ-ストラリアのピ-タ-・ノーマンは、白人ですが、育った環境から、先住民アボリジニや、移民に対する差別に反対していた。人権意識が高く、二人と共に、「人権五輪プロジェクト」のバッジをつけたために、黒人側に立ったことをバッシングされ、陸上界に戻ることなく追放された。

1972年ミュンヘンオリンピックに向けて、猛練習し、オーストラリアで一位になるが、
オリンピックには、出させてもらえなかった。
2006年、10月4日、ピーター・ノーマンは、64歳で、この世を去った。
2012年、オーストラリア政府が、ピーター・ノーマンの名誉を回復するための動議を採択した。議会は、ピーターの母セルマさん91歳を招き不当な扱いがあったことを認め謝罪した。』


最後に、私の思いですが、チュニジアの女子テニス選手が、勝利後のインタビューで、「勝ったのは嬉しいですが、ガザの子どもたちや赤ちゃんが毎日死んでいくのを見るのはとてもつらいことです。心が痛む、賞金の一部をパレスチナ人を助けるために寄付する」と誓約(せいやく)しました。

政治的なことをするといけないといいますが、オリンピック憲章には、人種差別をしてはいけないとも書かれています。スポーツ選手も、ひとりの人間です。スポーツの力で平和を願う、これこそ、スポ-ツのなせることだと感動しました。

スポーツ3.0隆祥館書店にて、絶賛発売中です!
ぜひ読んでいただきたい一冊です。
隆祥館書店  0667681023
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