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「今、ひとりの書店主として、伝えたいこと」を、勇気を振り絞って書いてから、 雨にも負けず、嵐にも負けず、雪にも負けないと踏ん張っていたが。。。一難去って、また一難、コミックが、、、

昨年末の12月27日、常連のお客様である青木さんが、ずっと読んでくださっているコミック「あさドラ!8巻 浦沢直樹/著」小学館発刊が、発売日にも関わらず入って来なかった。
配本は、最初は、2冊だったが、1冊になり、青木さんの分だけになっていた。それが、いきなり、配本「0」にされたのだ。

年始、すぐにトーハン(取次)に連絡して、「ずっと、買って下さっていて、揃えて下さっているお客様がいるのに配本を突然切るなんて酷いじゃないですか ! こんなことやめて下さいよ」とお願いした。
けれども、1月9日、またもや、青木さんの買って下さっている「アルスラーン戦記 20巻 講談社コミックス」も、いきなり配本を切られ、「0」冊にされた。

流石に、青木さんには、申し訳が立たず、「実は、取次さんが、突然配本を切ってきたので、楽しみにして下さっているところ申し訳ありませんが、少しだけ待っていただけないでしょうか」とお願いした。「そんなことあるのん?」と驚かれていたが、度重なる理不尽な配本「0冊」の仕打ちに、本当のことをお伝えするしかなかった。

悲しかったのはそれだけではない。
1月5日発売の「WORST外伝グリコ25巻」は、お寺の和尚さんと、ちょっと、やんちや風なあんちゃんが買って下さっている。これも普段なら配本2冊だったがまたも「0」配本へ

 同じ発売日の「WORST外伝サブロクサンタ 名もなきカラスたち 6巻」も、このお二人が読んで下さっているのに 配本2冊から「1冊」に減数、「WORST外伝ゼットン先生 11巻」も配本2冊から「1冊」へと減らされた。

このままでは、どちらか一人に渡せない、気が気ではなかった。和尚が先に来られた。やんちゃ風な、あんちゃんの分が無くなった。仕方なく定価の7%を取られてしまうブックライナ-を使った。

配本「0」のため、お客様の定期の一冊を、1/5に発注

「桃源暗鬼 18巻 漆原侑来/著」は、山下君が読んでくれている。
最近は、和尚にもお薦めし、購入して下さることになった。

これも、1月5日発売で、配本1冊から「0」冊へ 和尚と、山下君の分がない。けれども和尚も山下君も、すぐには来られないお客様なので通常発注した。


1月23日「刷ったもんだ!11巻 染谷みのる/著」の発売日だった。

このコミックは、忘れもしない、昨年4月、印刷会社で働かれている武田わか子さんからご注文いただき、その時発刊されていた最新刊の9巻まで揃えさせていただいた。

その際、3巻が切れていて、何とかならないか?講談社の東京本社まで電話したので、よく覚えている。印刷会社の日常や、窮状が、リアルに描かれた漫画ということで、ご注文いただいたのだが、私の母方の祖母が、昔、カンベ印刷という印刷会社をしていたこともあり、話が弾んだ。そんなお客様が、購入してくださっているコミックだ。

それを、いきなり「0」配本にされた。(抗議したら2日後に取次さんが自ら持って来てくれたが、毎日ハラハラしている)

23日、「ボールパークでつかまえて」は、某版元のNさんが、隆祥館書店で、毎巻購入して下さっている。お忙しいので、発売日すぐに来られない時もあるが、必ず購入して下さるお客様だ。それなのに、このコミックも配本1冊から「0冊」にされた。



トーハンには、トーネットVという自店で、何冊売れているか、売れ部数のデーターを吸い上げるシステムが構築されている。そのシステムに、毎月10,500円払っている。

トーネットVを、薦められる時に言われた言葉が、何が売れているのかわかるので、そのデーターを配本に活かせるということだった。だから、そのデーターを見れば、毎巻、一冊売れているという実績は、分かるはずなのである。

にもかかわらず、計17タイトル(1/4〜1/23時点) のコミックスの配本を「0」にされた。
20日という期間の中での、17冊の0配本は、厳しい。
色々なことが、頭をよぎった。昨年、トーハンの理不尽な仕組みを訴えたからだろうか?
精神的に、こたえた。店を潰す気なのかと思った。

コミックは、売れている商品は別として、巻数が増すたびに、刷り部数を減らす。読まれる方が減るからだ。
大型店も、配本30冊から20冊に。20冊の配本は、15冊に減数されたそうだ。

けれども、隆祥館書店の1冊は、たった1冊でも、お客様の定期の1冊なのだ。
1冊を、0冊にされてしまうと、もう渡せない。
一人、一人のお客様の顔が見える、信頼して下さっているかけがえのない一冊なのだ。
取次に抗議し、2~3日後に、マンパワーで、毎回入れてくれるが、発売日に渡せないということについては、これからもお客様に待ってもらえるとは限らない。

これがシステムとしたら、当店のようなことが、日本中の小さな書店で起こっていることになる。当店のように、一冊、一冊、抗議して訴える書店ばかりではないだろう。気がつけば、入荷部数が減り、お客様が、離れてしまっていたということにもなりかねない。この取次の行為は、さらに書店を廃業に追い込むことになるだろう。

今回は、この状況が続くとさすがに潰されると本気で心配になり、20年前に、助けて下さった小学館の黒木重昭さんの顔が浮かんだ。

「名探偵コナン」が、75冊売れるのに、25冊しか入れてもらえない、コミックがよく売れていた時代ではあったが、取次からの配本が極端に少なかったのだ。当時、雑誌の部長だった黒木さんは、懇意にされていた当時のトーハンの社長金田さんに会いに行って下さり、同時に、コミック部長だった小島さんにも、当店のことを訴えて下さった。その後、小島さんからデータが届き、少しずつ改善されたのだった。

そこからは、コミックスにおいては、実績配本に近い形で配本されるようになっていた。少なくとも売れているのに部数が、来ないという理不尽なことは無くなっていった。当時は、そういうことができる取次だったのだ。その時に初めて、出版社にも規模の大小に関わらず書店に公平に対応して下さる方がおられることを知った。
黒木さんは、現在、80歳で、すでに引退されている、

今回は、居てもたってもいられず、コミックの配本「0」にされたアイテム数の一番多かった講談社の営業担当に電話した。
最初の一声で、「酷いな~!僕、トーハンの本社のコミック担当に言いますよ」と言って下さったのだ。

1/9配本「0」で、1/10に、取次さんに発注し、1/17に入荷 

私は、いったい何と闘っているのだろう。ベストセラーを何十冊も欲しいと言っているわけではない。コミックを定期的に求めてこられたお客様に、お渡しできないような仕組みって、何なんだろう。出版不況と闘っているのではない。

予告も無しにいきなりお客様に渡せなくなる、システムと、常に闘っているのだ。ただ小さい本屋であるために。
泣けてきた。自分の置かれた環境に、
けれども、そんな私の店で購入しようとして下さっているお客様のためにも、何とかしなければ申し訳ない。考えるんだ。

トーハン担当者から、翌日電話があり、「今後、1冊配本を、「0冊」にはしないようにします。」とは言ってくれたもののスタッフに伝えると、「これだけ17タイトルも連続で0冊が続いて、もう信用できない」と不安を隠しきれない顔で答えた。

次の配本は、30日、本当に配本があるのだろうか?

配本を「0」にされた計17タイトル(1/4〜1/23時点) のコミックス。

「講談社」8タイトル
「蒼く染めろ」「アルスラーン戦記」「菌と鉄」「刷ったもんだ!」「だんドーン」「ちいかわ」

「バトルスタディーズ」「ボールパークでつかまえて」

「集英社」3タイトル
「アスミカケル」「キルアオ」「幼稚園wars」

「秋田書店」4タイトル
「worst外伝グリコ」 2冊→0冊 「サブロクサンタ」 2冊→1冊
「ゼットン先生」2冊→1冊「桃源暗鬼」1冊→0冊

「小学館」2タイトル
「あさドラ」「望郷太郎」

秋田書店の2冊は減数、
その他は、すべて1冊以上売れてるにも関わらず入荷「0冊」

隆祥館書店
https://ryushokanbook.com


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