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みかん配り隊


最近の父の心配事は、
年末の挨拶でお友だちにみかんを配ること。

先々週あたりから気にしていたので
年末にはまだ早いけど
今日注文しに行くことに。

まずは
手渡したい人のリストを
黄色い付箋に書き出す。

父はひとりひとりの顔を思い出しては
名前を書いて番号をふっていく。

いつもはなかなか会えない人にも
今年は届けたいらしく数が多くなりそう。

父なりにみかんを手渡しながら
母のこと、そのお礼を伝えたいようだ。

全部で15個になった。

ちょっと多すぎだな、と思いながらも

今年はいろんなことがあったから

やっぱり、
みんなに届けるか。

まるで、
みかんお届け隊だね。

日程も細かく決めていく。

19日にテニスの集まりで
高校の同級生に会う予定があるので
その日に大抵は配ってしまおう。

なので
みかんは前日に取りに行って、

いや、、
前日だとバタバタするから
2日前の17日には取りに行くことにしよう。 

ひと袋の大きさは
手にぶら下げて帰れるぐらいの
2キロぐらいがいいかな。

リビングの小さなテーブルを挟みながら
顔を見合わせ綿密に打ち合わせをする。

いよいよみかん配り隊の
第一次ミッション。

『注文』

近所に住む親戚のみかん農家さんへ。

父は黄色のふせんを片手に握りしめ
車に乗り込む。

5分ほどで到着し
そのまま納屋へ向かう。

大きな大きな扉をガラガラガラッと開けると 

そこには、懐かしいおばさんの顔と
収穫したてのみかん達がひしめきあっていた。

色艶やかに、出荷されるのを
待っているみかんたち。

あら久しぶり、と言うおばちゃんに
父は挨拶もそこそこに任務を決行。

黄色のふせんを見せながら
数の確認と受取日の確認をする。

私はすこし後ろからそれを見ている。

それにしてもみかん達は
まるでひとつひとつが生きているみたいだ。

果物として生きてる、のもそうだけど
もっともっと何かが溢れてる感じがする。

旬ってこういうことなんだな。

そうこうしてるうちに
父は無事に注文し終わり

「よろしくね、ありがとう」とおばさんに手を振り
車に乗り込む。

そして一言。

「よかったな」と。

「うんうん、
無事に注文できて安心したね。」

「17日午前には
お兄ちゃんたちが来る日だから
一緒に取りに行ってね。

ふせんをカレンダーにはっておくから!」

「19日は私が車を出すので

みかんを一緒に配ろう。」

まだまだはじまったばかりの
みかんお届け隊。

無事にみなさまに
お届けできますように。

お父さん隊長
がんばりましょう!



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