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ご褒美ケーキの結末②走れメロス


ハンバーグ屋さんに事情を話し、
車をそのまま放置させてもらい、全力で走る。

携帯をバトンのように握りしめ
走りに走って5分ほどしてようやく遠くに人影がみえた。
よく見ると父とその周りに2人の人がいる。

よかった、、、。

近づくと父は携帯を耳に何度も当てていた。私に連絡を取ろうとしていたのであろう。

「ごめーん、おそくなってー」

父は、私が当然車で来ると思っていたからか
単身走ってきた姿に驚いている。

息を切らせながらも事情を話す。

同級生の方と、そのお嬢さんも納得してくれ
父を車で送ってくれることになった。

お言葉に甘えてお願いすることにした。

父が車に乗る手前で、
大切なことを思い出す。

携帯の電源がないんだった!

ギリギリ気づき、父の携帯を借りる。

走り去る車に手を振り
再びハンバーグ屋の駐車場へ戻り
携帯の検索トップにでてきた車のレスキュー屋に頼むことにした。

40分ほど経ち、レスキュー屋さんが着く。

着いてすぐにボンネットを開け
ものの1分でバッテリーを立ち上げた。

エンジンがかかった瞬間には感動すらおぼえた。
どうやら、ライトの消し忘れのバッテリー落ちのようだった。

弁解しようもない、私の責任だ。

車屋さんはその後の注意として

「バッテリーを十分に充電させるために
1時間は走行してください」とサラッと言った。

「1時間!?」

期待を込めて聞いてみる。

「1時間エンジンを止めないでおけばいいですか!?」

「1時間、走行してください」

しつこいとはわかっていても
もう一度聞いてみた。

「停車でもいいんですか!?」

「走行してください」

ピシャッと言われた。
そして、レスキュー屋さんは帰って行った。

自業自得にしても
1時間の運転とは。

周りも暗くなってきてるし
そんなに遠くにも行く気がしない。

かと言って同じ場所を旋回するのも何か違う。

とりあえず海へと向かってみた。

夜空を眺めほっと一息。

その後海岸線周辺をくまなく走らせ
無事に1時間の任務は終了。

コンビニで夜ご飯のお弁当を2つ買って家路に着く。

「ただいまー、遅くなりましたー」

「おかえりー、ご苦労さーん」

父には正直に伝えた、
ライトつけっぱなしだったみたい、
ごめんなさい、と。

小言を言われると思ったら
父はこう答えた。

「それはいいけど」

「え!?いいの?」

「それはいいけど、
オレの携帯がずっと探してるけどみつからないんだよな」

「え!?そうなの!?」と部屋を見渡す。

いやいや待って。

私の後ろポケットに入ってるじゃん。

「ごめんごめん、さっき借りたんだ、これ。」と差し出す。

「そうだった、そうだった」

携帯が見つかったことで
なんとなく全てが解決した、
そんな雰囲気がでてきた。

ようやくここでホッとする。

今となっては遠い過去の記憶
チーズケーキが懐かしく思い出される。

今はもうダイエットの罪悪感は完全に消えていた。

食べたから乗り越えられたんだ。

やっぱり食べておいてよかったんだ!
よくがんばった、自分!


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