台風10号

台風10号が過ぎていった。

テレビやSNSでかなり大きく強い台風だと言われていたので構えていたが、過ぎてみると、はるや周りには大きな被害もなくホッとした。

佐賀は台風が来やすいところなので、はるでもこれまで何度も台風への備えをやってきた。

台風が近づくとまず判断しないといけないのが通所系サービス(生活介護やB型)を開所するか閉所するかだ。

天気予報は前に比べたら格段に正確だが、台風は以外と予想が外れることも多い。
台風が来るからと閉所にしていたら進路がずれてカラッと晴れたり、思ったより影響が小さくて普段の雨天時と同じぐらいということもよくあること。

そんなことが続いたので、開所や閉所の判断は当日7時に行うと決めてやっていたこともある。
しかし、自閉症の利用者の方が予定が気になって不安になったり、ご家族やスタッフから見通しが持てず対策ができないという声もあり、今はできるだけ前日に決定することにしている。

今回の台風10号は進路が直撃に近く、台風として大きく強いという情報から閉所や短時間開所はやむを得ないだろうと思っていたが、速度が非常に遅かったのでいつから閉所にするか判断が難しかった。

決めたのは、台風が近づく29日は昼まで開所、一番近づく予定の30日は閉所。

しかし、29日の早朝にはかなり強い風が吹き、開所すると危険だと判断して急きょ朝から閉所にすることになった。

通所系サービスは閉所するかの判断となるが、一方でグループホームでは入居者の皆さんが通所できなかったときの対応を考えることになる。

スタッフの配置を変更したり、通所先が休みということを入居者の皆さん伝える手立てを考えたり。

重度の障害のある方たちに変更を伝えて受け入れてもらうことは難しいことも多いが、はるのホームではスタッフが変更を伝える工夫をやってきたので、今回も通所先が休みなってホームにいるということをスムーズに伝えることができた。

変更を伝えられたお一人が、しばらくして変更を伝える時に使った机をベッドの下に隠し、椅子を窓から外にポイっとしていたことはあったが…。
「変更はもういらん」
そんな気持ちだったのかも。

軽度の方たちが暮らしているグループホームでも対応を迫られた。
建物の老朽化が進んでいて(移転の準備をしている)、今の建物では台風が直撃したときに入居者の皆さんもスタッフも不安が大きい。
そこで、台風が通り過ぎるまで本部の建物に避難することにした。

台風で本部に避難するのは今回が2回目だが、入居者の受け入れ準備や送迎、布団の搬送など部署を越えて協力しながら実施することができた。

個人的に、すごくヒヤヒヤしてホッとしたこともあった。

避難当日の早朝に夜勤スタッフから「駐輪場の床板が飛ばされそう」と連絡が入って駆け付けたら、横板も屋根も強風に飛ばされそう。
隣の住人の方も心配そうに家から出て来られていた。

これで吹き飛んで近隣に迷惑をかけたら…ここにいられなくなるかもしれない。
そんな考えも浮かんで、横板を強引に引っ張って何とか引っ剥がしたが、屋根は自分ではどうしようもない。

グラグラ大きく上下に揺れる屋根を見ながらどうしようか考えていたら、はるのヘルパーNさんのご主人が大工さんで、前にホームの補修をやってもらったことを思い出した。

早朝にも関わらずグラグラ屋根が揺れる駐輪場の動画をNさんに送って「これって大丈夫でしょうか…?」と聞くと、ご主人が確認してくれ「これは危ない」とのこと。
そして、「後で道具を持って行きます」と言ってもらった。

この時どれだけホッとしたことか。

しばらくして、Nさんのご主人がコンクリートの重りとロープを持って補強に来てくれた。
強い雨が降りしきる中で作業をしてもらう姿が本当にありがたかった。

台風が通り過ぎてみると、29日の午前中が一番激しく、それ以降は拍子抜けするほど雨も風も強くなかった。

それでも、利用者の皆さんやスタッフのみんなに何もなかったことが一番。

今回も台風に向けて判断したり、いつもの予定を変更したり、法人内で協力して対応したり。
利用者の皆さんにとっても、スタッフにとっても、法人としても、ひとつ経験が積み重なったと思うし。

みんな、おつかれさま!

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