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離れた想い

「玲花ちゃんって冷たいよね。冷花だよそれじゃ」
よくそう言われる。私だって、無邪気に生きたいよ。
水色のワンピースも金色の髪飾りもつけてかわいくなってみたい。
他人から何を言われるかが怖くて純黒のワンピースに小さな髪飾り。
感謝も楽しさも貴方に伝えたい。
くしゃくしゃな笑顔で伝えたい。
どうしてもかっこつけてしまう。かっこよく生きなさいなんて教わってないのに。
私の発言がどう捉えられてるのかが怖くて。
何かを失うのを怯えて。

この1年間とても楽しかった。
私から滲み出る楽しさは内の10分の1にも満たない。
今まですごい楽しかった。
本当にありがとう。
もう会えなくなるのが寂しい。
そんな言葉を心の牢屋から出してあげられない。

全てが終わった次の日。それを強く実感した。
本当はメッセージカードも準備していた。
別れは突然だ。そんな準備、1年記念日の昨日、意味は消失した。
何かを準備するのなんて気恥ずかしくて。
何かを思ったままに発言するのが気恥ずかしくて。

みつけられている言葉を…。
ん……。
なんとか音にしようとする。
ヘリウムガスでも借りたい気分。私の声で言えない気がして。

「本当にありがとう。楽しかった。よく笑ったよ。これから幸せになってね。頑張ってね。こころから応援してます」

涙と共に外の世界へ。燻ってた言の葉は、せっかく外に出てもすぐに消えていった。残ったのは、私の泣き叫ぶ声と彼との思い出だけだった。

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