歯医者に行く

今から歯医者に行く。

この歯科に登録したのは十年と少し前。
最後の診察は十年前で止まっている。
予約の時間までの時間をこれを書きながら待っているのだが、時間が迫るほど不安になって来たので目についたサイトを登録し、今打ち込んでいる。

歯医者自体嫌な思い出はないが、良い思い出もあるわけではない。なんせ十年前というと小学校上がりたてのピカピカのキッズである。怖いものなんて何も無かったはずだ。

口内にはなんとなく自信があったので歯医者に行かなければならないという事実は重かった。小学生ならまだ許容範囲にしても、高校にあがって虫歯ができてしまったことは自己管理能力のなさを表しているようで心底屈辱的だった。すぐ行けばいいもののかなり放置してしまったのはその後ろめたさももちろんあったと思う。

行こうと決意したきっかけは大好物の冷やし中華にある。キンキンに冷やした野菜に濃厚なゴマダレをかけていただいてこその夏だと思う。

…痛い。

めちゃくちゃ痛い。キンキンのトマトがしみる。きゅうりが噛めない。麺はうまい。今度は醤油でいこうかな。何これ?思わず水を流し込む。

激痛。

思わず叫んでしまった。そんないきなり来る?じわりじわりと痛いんじゃないの??虫歯をなめていた。これは一秒でも早く治療すべき。高校生にもなってメソメソしながら電話をかけた。「ごめんなさい、少し聞き取りづらくて^^;」という受付のお姉さんの言葉が更に刺さる。もうお嫁に行けない。飯も食えない。麺だけはうまい。

といった形で今に至る。みんなも歯医者にはすぐ行こう。その決断で、あなたの冷やし中華人生が変わる。予約が四時半なのでさよなら。

脇役人生を謳歌する