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志望理由

バンドマン、就活をする。

一部の限られた大学生、高校生、中学生や進学しない人は義務教育を終えると社会の中の何者かになる為に就職活動を開始する。

例に漏れず僕もそうだ。高校の時たまたま組んでいたバンドが上手くいき、「俺って良い波に乗っているのでは?」と調子付き、バンドは解散し、それでも諦めずに大学でコピーバンドの傍らダラダラと新しく結成したバンドをで1、2ヶ月に一回のライブ程度で一端のバンドマンを名乗る僕も遂に何者かになって食い扶持を得る為の活動をしなければいけない時期がやってきた。

音楽は好きだ。骨を埋めても良いくらいには好きだ。リスナーでありたいし、プレイヤーでありたい。

しかし僕は社会的に認められる程のプレイヤースキルは生憎持ち合わせて来なかったし、楽器を心底愛しているかと言うと上には上がいるモノで、それは聴き手側としてもそうだ。
それなりに音楽をディグっている自信はあったが、それもそれで上には上がいる。生業になるレベルに到達する程の興味も結局僕は持ち合わせていなかった。

それでも1年前内定をゲットした僕は、「本当にこれがやりたいことなんだろうか?」と思ったのもあったし、個人的なドタバタもあったことで留年をし、全ての活動を白紙に戻した上で今大学5年目を迎えている。

そんな中就職活動をしていく中で、「志望理由」を書かなくてはいけない事が必ずある。1社毎に。

「〜という貴社の企業理念に共感し、私も〜を通じて社会に貢献したいです。」
なんて一丁前に書いているけど、

そんなワケあるか!!!!!!!!!!

「貴社の扱っている商品やジャンルには興味はありませんが、貴社を通じて安定的な収入を獲得し、バンド活動やプライベートを人生のメインに据え、私が音楽で社会的に認められるようなるまでの踏み台としての環境に最適だと強く感じ、志望しました。」って言いたい。

有名なコピペで、

というのがあるが、マジでコレ。

地元静岡に居たくないから、恋人にすぐ会えるように都内に居たいから、安定した収入を得たいから、バンドする為の資金力を得る為にはコスパが良いから、等々理由を挙げればキリがない。
しかもその邪魔をやりがいという言葉で邪魔されたくない。

何故皆がこの現実を黙って受け入れて就活をしているのかが理解できない。

でも結局一番何者にもなれないのは僕かもしれない。
きっと就職しなかったら、特殊で社会的な地位を得る為に敢えて厳しい道を行く勇気もなく、ダラダラと地味で下手な良くないバンドをヘラヘラと続け、サラリーマンを小馬鹿にし、かと言って何十年売れていないバンドを「あいつらとは違う」とバカにして自尊心を保つんだろうなあと、ありありと想像できる。

きっと最後は、迎合し、消化し、耐えた者勝ちなんだと思う。


我慢。今は。

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