出合った物件には小さな畑がありました

 購入したのはいわゆる農地付き物件というやつでして、それゆえに契約までに時間を有し、働き口の話が白紙になってしまったのですが、その畑は私にとってまさに理想というに相応しいものだと思っています。

 大きすぎず小さすぎずのその畑で、今は堆肥作りに励んでいます。
 生ごみコンポストとか雑草堆肥なんかを想像していただけるとそれにあてはまります。

 今目の前にあるものを使わせていただいて生きる。

 契約とか修繕工事、ライフラインの手続きなんかを無我夢中でやってきた中で、フワッと沸き上がった言葉です。
 このお家はそこそこの残置物(私は残されたもの達と呼んでいます)がありましたが、使えるものは積極的に使わせてもらいます。もちろん処分するものもありますが。同時に自分がこれまでに手にした様々な物質的な一つ一つを無駄なく使いこむこと、利用することでやっていけるのではないか…という漠然とした思いが生まれたから出てきた言葉のようです。

 畑の使い方も、最初思ってのは農家さんがされるように綺麗な畝をいくつも作ってお野菜を農薬無しで育てよう! くらいの感じでした。
 今はちょっと違います。

 10年程放置されていた畑なのですが、どうやら様々な植物が生息しているようで、それらを観察してから畝を作るのも悪くないと思うようになりました。お金がないなら野菜は自分で作ろうという考えが、地球が用意してくれた物を先ずは利用してみようという考え方に進化したのです。

 その進化にはカラスノエンドウの存在が大きく関わっています。
 野草図鑑を手に、畑に群生しているカラスノエンドウを恐る恐る食した感想は

「なにこれ!豆苗じゃん!」

でした。
 水洗い、からのよく水に晒したカラスノエンドウを少し長めに茹でたそれは、さすが同じマメ科です。豆苗のような味がしました。
 細かめに刻んで、ちくわとからしマヨネーズと和えるのが特に好きです。

 豆苗のような味がするカラスノエンドウが自分の畑に山盛りあるのですから豆苗を買う必要はなくなりました。
 他にも栄養豊富で美味しい野草があるようです。これはもう野草達のことを勉強せずにはいられません。


今目の前にある地球が用意してくれている物を使わせていただいて生きる

浮かぶようになった言葉がまた少し変化しました。



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