KLX、阿蘇に行く

今日はイライラしている。昨日行きつけの100円銭湯でインキャジジイに小言を言われたからだ。朝日と共に6時に目覚めたが、苛立ちは治らない。
こんなときどうしていたっけ、と考えたら、実家にいたころは永遠と車を運転していたことを思い出した。
クルマはないが、バイクならある。

行くか、阿蘇。
名前は聞いたことあるし、大分の飲み屋でライダーのオッサンとお姉さん(誇大表現)に
「バイク持ってるんなら阿蘇は絶対行け(標準語訳)」と言われて、ずっと気になっていた。今日から大学がしばらく休みだ。なんにも気にすることなんてない。
僕はとりあえず近所のセブンイレブンに向かって、腹ごしらえをした。帰り道でルートを検索。巣に帰り着いて、ティンバーランドのジャケットにディッキーズ874、アディダススーパースターを装備し、ヘルメットをかぶって愛車のKLX230Sに乗り込んだ。
まずはガソリン。3リッター入った。原付に乗っていたころから思っていたことなのだが、ガソリンを入れた後は加速がいいような気がする。たぶん関係ないと思う。
湯布院方面に向かった。「やまなみハイウェイ」を目指す。
この辺で休憩。写真を撮った。

一服入れて先に進む。書き忘れていたがナビにGoogleマップを使用し、電源はバッグから長めのLightningケーブルを出す形で取った。このバイクで初めて遠出したが、このシートかなりケツが痛くなる。1時間走ったら休憩を入れないとケツの割れ目が増えそうだ。
だんだん景色がよくなってきた。基本的に山道を走ったのだが、マニュアル車のほうがスピードコントロールはラクである。ギアを落としてエンジンブレーキを効かせばいいだけだからね。
やまなみハイウェイに入った。率直に感想を述べさせてもらうと、死ぬほど見た青森のクソ田舎の景色と大して変わらなかった。たまに開けたところがあると確かに景色は良かったけど。
ここでも休憩。

これがカルデラか。盛岡の盆地に似てんな。なんか「君の名は。」を思い出した。
ボケーと走っていたらしまなみハイウェイを抜けてしまった。とりあえず阿蘇市に目的地を設定して向かう。

阿蘇市に着いたので、その辺をウロウロしていたら、神社があった。車は駐車料金を取られるけど、バイクは取られないみたいだ。スズキのジェベル(オフ車)とホンダのカブが停まっていたので、ジェベルの隣に停めた。
なんだか再建中らしかった。でも一部はもう工事が終わっていて、新しいものを観られた。

このハリボテの神社、結構好きである。
お参りして100円入れて、神に「今 私の 願い事が 叶うならば 彼女が欲しい(二礼二拍手一礼)」と煩悩をぶつけ、ムナしさを感じながら「縁結びの松」の周りを2回回って駐輪場に戻った。
戻ってヘルメットをかぶろうとしたら、隣から「KLX…」とつぶやく声がした。振り向いたらジェベルのオッサンがこっちを見ていたので、すかさず
「ジェベル渋いっすねェ~!」と言ったら完全にオッサンは堕ちた。
それからおすすめのスポットを教えてもらった。
「大観峰に行きたい(適当に調べたら出てきた景色がいいところ)んですけど…」と伝えたら、宮崎弁で「草千里展望台から行くといいよ。有料駐車場のちょっと上にタダで停めれるとこある」と教えてくれた。しばらくお互いのバイクを褒め合った後、僕は草千里に向かった。
草千里展望台は山の上にある。山道を登っていくと、牛が放牧されていて、嗅ぎなれた牧場の匂い(配慮した表現)が漂う。途中停めて写真を撮った。ベストショットだと思う。

きれいな景色の中山道を走ると、展望台についた。正直大したことなかったが、ここでも出会いがあった。
教えてもらった駐車場が結構混雑していたので、バイクだからこそ許される端っこ駐車をやった。ミラーを見ると、後ろにホンダのCRF(これもオフ車)が見えたので、後ろに余裕を持って前に詰めて駐車した。
ヘルメットを脱いで後ろを見ると、CRFのオッサンも降りてきていた。
話しかけてみた。フェリーで広島から来たらしい。ぼくの友人の510君もフェリーを使って(なんとマグナ50で8時間かけて!)広島の実家に帰ると言っていたので、同じフェリーに乗ったのかなァなんて思った。
タバコを吸いに行って、帰ってきたら今度はCRFのオッサンから話しかけてきた。
「それ(ぼくのバイク)最近出たばっかの奴!?」
「2021年モデルっスよ。でも僕もお金あったらCRF欲しかったです」(CRFはKLXより30万円くらい高い)
「お兄さん八戸ナンバーだけど自衛隊さん?」
「学生です」
なんて会話をした。大観峰へのおすすめの道を教えてもらったけど、僕が思いっきり道を間違えたので通れなかった。CRFのオッサンは紙のマップを使っていたため、ルートを共有できなかったことも要因の一つと思われた。
山を下りてガソリンを入れて、たんぼに挟まれた道を走って大観峰に向かう。
着いた。こっちのほうが混んでいた。ノロノロ走るヘタクソなレンタカーが多かったので登るのに時間がかかった。


景色はこんな感じである。ああカルデラ。もっと上から見たいので、阿蘇山に登ることを決意した。

行きたいところは見終わった。腹が減ったのでどこかで食べようと調べたが、観光地価格でクソ高かったのでコンビニで済ませることにした。僕は観光地価格が大っ嫌いである。同じ理由で京都も嫌い。

そういうわけで、帰路についた。Googleマップに頼って走ったら、よくわからん山道を走らされたので、やまなみハイウェイを走れなかった。まあ別にどうでもいいことである。

途中でセブンイレブンを見つけたので昼食を摂っていたら、カローラフィールダーの助手席からマダム(配慮した表現)が
「お兄さん青森から来たの!」と身を乗り出して話しかけてきた。
「そうです」と答えたら、クルマから降りてきてウィダーinみたいなソルティライチをくれた。そのあとなぜか
「お兄さんアトピーだね!」と言われ、なぜかトマトをもらった。

「日本一周中なの?」と聞かれた。この質問はきつい。向こうは「わざわざ青森から地元まで来た旅人」を期待しているので、「別府に住んでる学生です」で済ませるのは心が痛む。でも正直に答えた。
「ああそう」と返事したマダムは運転席の旦那に
「学生さんだって!」
と言って走り去っていった。
そのあとワークマンを見つけたのでグローブを買った。980円の安物だが、ないよりはマシだろう。秋冬用のグローブしか持っていないので、買えてよかった。20分くらい走ったら家に着いた。
バイクを停めてマンションの玄関に向かったら、同じマンションに住んでいるサッカー部員二人と鉢合わせたので、もらったトマトをお裾分けした。喜んでもらえたのでうれしかった。
巣に帰り着いて、寝ていたら夕方になっていた。せっかく小旅行をしたので記録するか、と思ってPCに向かっている。
この小旅行でわかったことは、オフ車乗りはオフ車乗りを同志と認識し、すぐ話しかけてくることや、八戸ナンバーのバイクに乗っていると結構いいことがある。という二つである。楽しかったのでまた行きたい。





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