イソップの思うツボ

『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督が、他の二人の監督と共同で、三人で監督した映画『イソップの思うツボ』。評価は結構極端に賛否が分かれているようだが、私はおもしろかった。

とにかくやはり、普通じゃ済まさない、なんか面白いことやってやろうという心意気が感じられて、少なくとも、印象に残らない、見たことすら忘れてしまうような映画ではない。

ただ、大きな映画館での上映は2週間くらい、私の行きつけのところは1週間で終わってしまうようだ。もともとどのくらいの見込みだったのかは知らないが、ちょっと短いように感じる。

もちろん、『カメ止め』と比較しても始まらない。あれは前代未聞の奇跡の大成功だし、内容的にも、『イソップ(勝手に省略)』は、老若男女、万人が楽しめるように作ってはいないと思う。

また、『カメ止め』の上映は、決して大きいとは言えない2館から始まって、徐々に爆発的な拡大を見せたのだ。たぶん誰も、まさかあんなことになるとは予想していなかったと思う。でも今回は初めからたくさんの大きな映画館で上映したのだから、これは想定内のことなのかもしれない。

私が思うに、普通に映画としてヒットを飛ばしたいのなら、やはり常套手段としては相当有名な役者を使う必要があるんだと思う。もちろん、『イソップ』だって、それなりに経験と実力のある役者を使ったのだろうが、大多数の国民に認知され、その人を出せば、映画が多少つまらなくても客は呼べるくらいの俳優をどこかには使わないと、興行的には難しいのかもしれない。

その代わり、誰でも知っているような有名な役者を使えば、新鮮味はない。その意味でも、無名の役者ばかりを使ってあれほどの大ヒットを収めた『カメ止め』はほんとにすごくて、映画界の奇跡として語り継がれるだろう。

個人的には『イソップ』には顔は出ないがエキストラで出してもらったし、結構何度も映っていたので、その意味でも今後も応援していきたい映画である。

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