かなしばり
今日は休日だった。結局いつも通りの時間に起床してしまって、そうだ今日は可燃ゴミの日だったとゴミを捨てに行って、せっかくの休日なのだからもう少し眠ろうとベッドに横になって暫くして、僕はかなしばりにあってしまった。
いしきはちゃんとしているのに、からだがかたまってしまってぜんぜんうごかない。うごけうごけとねんじてもまるでじぶんのからだがじぶんのからだじゃあないみたいにまったくうごいてくれない。くちをあけてこえをだそうとしても、あぁ、あぁと、けもののようなうめきこごえがほそくでるばかりだった。つめたいあぶらあせでせなかがじんわりとつめたくなってゆくのがわかる。そこでようやく、めだけは、がんきゅうだけはうごかせることにきがついた。がんきゅうをくるくるとまわしてへやのなかをみまわすと、しかいのはしっこ、きっちんのほうになにかわからないしろいもやのようなものがたっているのがみえた。だれかいる!さっきごみをすてにいつたときにへやのかぎをしめわすれてしまったのかもしれない。どうしよう。しろいもやがゆっくりとこちらにむかってくるのがわかる。やめろ。くるな。だれかたすけてくれ!!ぼくはかたまったぜんしんのちからをふりしぼってあうあうあとこえにもならないさけびごえをあげた。
……と、そこでやっとかなしばりが解けた。慌てて半身を起こして部屋を見回したが、僕が白い靄だと認識した何かは壁に掛けていたシャツで、冷房の風にユラユラと揺れていただけだった。安堵した僕はホッとひと息を吐く。やっぱりかなしばりはつらい。思ったこと考えたことを自由にかんじられる有り難さを噛み締めながら、僕は大きくひとつ伸びをしたのだった。
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