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25倍の帽子

先日ダイソーで200円のキャップを買った。安いからつばが取れるとか、雨に濡れると溶けるとか、卑猥なマークが描かれていて恥ずかしいとかそんなことはない。ごく普通に帽子としての機能は充分に兼ね備えたキャップだ。なのにどうして、我々は5000円もするようなキャップを買うのだろう。

もちろん5000円のキャップには5000円なりの良さがある。通気性に優れているだとか、いい生地を使っていて丈夫だとか、デザインがかっこいとか、縫製がしっかりしているとか、まあそんな所だろう。200円のキャップはなんだか頭が蒸れる感じがあるし、深緑の単色でダサいし、既に端々で糸がほつれている。とは言えたとえ5000円のキャップが10年長持ちするとしても、200円のキャップを25個リレーした方が長持ちするに決まっている。25倍の価値のあるものが25倍優れているかというとそうではない。それでも我々はそこに25倍の対価を支払う価値を見出している。とても不思議なことだなぁと思う。

1本2500円の水を売りつけられたら「詐欺だ!」「ぼったくりだ!」と騒ぎ立てる人が出てくるだろう。しかし5000円のキャップを詐欺だと騒ぐ人はいない。機能性と値段で一番ギャップがあるのは腕時計かもしれない。1000円の時計でも時間は分かるのに、200万円の時計を買う人が世の中にはいる。200万円の時計が1000円の時計の2000倍優れているなんてことはどう考えてもないだろうに。人が何にお金を払う価値を感じるのか、どこに対して対価を支払うのか。200円のキャップで蒸れた頭でそんなことを考えた朝でありました。

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うえぽん
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