日本人より日本の魂を持ったミャンマーのサムライ
その人に直視されるだけで自分の気持が変わる人、というのが存在する。
そういう人の前に出ると、決して取り繕うことは許されないと思う。
自分を大きく見せることも、小さく見せることもできず、ただ、ありのままで自分をさらけ出すことしかできない。
そんなとき、私は、その相手にサムライを見る。
例え海外の人であったとしても、サムライはサムライだ。
畏怖の念、斬られる恐怖、純粋な尊敬、それらの気持ちが、ないまぜになって、自分の真剣さが引き出される。
先週、お会いした方は、私にとってまさに、そういう人だった。
先週、日本でミャンマーの大尊敬する先輩経営者、イエ社長にお会いした。
(写真左の一番手前の方です)
イエさんは、ミャンマーのスー・チー大統領が、先日来日したときも直々に指名されて同行されていた大物財界人だ。
私たちが、お会いさせていただいた日は、日本の大臣のアポを断って時間を作ってくださった。
私は、お会いするのは2回目だけれど、深く話をするのは初めて。
小物の私は、そういうとき、震えてしまう。
イエさんは、ビジネスをやりながら、国と国民の事だけを考えている。
だから、サムライなのだ。
例えば、、
ミャンマーの野菜は農薬に汚染されているので、ミャンマー人の健康状況は悪くなる一方だという。
だから、汚染されていない野菜をミャンマーの人に食べてもらうために、3つの州の野菜を自分で買い取って生産している。
もっと凄いのは、麻薬をつくっている地域で、麻薬ではなく野菜をつくるように説得していることだ。
麻薬農家相手なので、武器を持っている。銃を突きつけられることもしょっちゅうだそうだ。
そして、
「野菜をつくって儲からなかったらお前を殺すぞ」と脅されるという。
それでも、イエさんは「損がでたらおれが自腹で補填する」と説得し、文字通り命がけで麻薬農家に野菜を作らせようとしている。
国のため、ミャンマー人の将来のために。
頭の固い農家さんたちをどのように説得しているのか聞いたら、農家の人に
「あなたが作った麻薬は高く売れるけど人を殺す、
農薬を使って作物を作ったら楽につくれるけど、それを食べて病気になる人がいる、
自分は儲かるけれど、不幸になる人をつくっているわけだ。
だけど、私のやり方は違う。
私の言う通りに野菜をつくれば、人を元気にして幸せにすることができる。
あなたは、どっちの道を生きたいか?」
と粘り強く交渉しているそう。
本来、国がやることをひとりでやっていると感じた。
規模感は、日本の農協をひとりで起ち上げているような規模と言える。
他にも工場で働く人たち2000名をどのように育てているかなど、たくさんの話を聞きました。
・・・・・・
そんなイエさんですが、実は日本に留学をして、NHKスペシャルで松下幸之助さんを知り、それで起業家になり貧しいミャンマーのために生きようと思ったそうだ。
もともとは、富山の大学に留学していて(決して裕福ではなく必死でなんとか日本に来た)皿洗いのアルバイトをしながら、借金を返したり、家族に仕送りをしていた。
本当は、このまま長く日本にいようと思っていたそう。
でも、松下幸之助さんを知り、これではいけないと一念発起したのだ。
だから、イエさんは、日本人を本当に尊敬している。
なので、日本語を従業員に学ばせたり、日本人の考え方を伝えることで人材教育をしている。
日本人より日本の魂をもったイエさん。
・・・・・・・・
そんなイエさんに、自分たちがやっていることをプレゼンするのが今回の目的だ。
やはりこういうときは、純粋に自分の思いを正直に伝えるのが一番。
ということで、インターネット・イニシアティブ・フォー・ミャンマー(IMIM)をやっている気持ちをそのまま伝えた。
自分が、日本では社会の最下層のニートだったこと。
でも、WEBマーケティングに出会うことで、人生が変わったこと。
そのおかげで自由を手に入れて世界中で仕事ができるようになったこと。
だから、WEBマーケティングの世界が大好きで素晴らしいと思っていること。
でも、この手に入れた自由が、この人生のゴールなのかとあるときから、疑問を持ったこと。自分の人生はそんなものなのか、、、と。
そして、WEBマーケティングの可能性の限界はこんなものじゃないと思いだしたこと。
日本人が自由になるより、貧困国の人たちが自立できるのが、国境を超えるWEBマーケティングの最大の可能性だと思ったこと。
そして日本ではWEBマーケティングで稼いでいる人は尊敬されないこと。
バブリーな成金だと思われていて、実際そういう人が多いから尊敬されないのは当たり前だということ。
個人的に、尊敬されない業界が悔しくて、WEBマーケティングは世界を変える可能性があると見せたかったこと。
だから最初はミャンマーでなくても良かったこと。
でも、縁をいただきこうしてプロジェクトをすすめるなかで、今はミャンマーの人が事が大好きで尊敬していること。
本気でミャンマーのためにと思っていること。
それをプロジェクトメンバーと共に伝えました。その結果…
「伊勢さんたちは、ひとつの国ではなく人類のためになることをしているのですね。」
「分かりました。何か出来ることがあれば、私は、全力でやるので言って下さい」
「来月も再来月も来る予定があるし、日本に来るときは、あたなたちに会うために時間をとるし、あなたたちが、ミャンマーに来たときも必ず時間をつくります」
と言ってくださった。
イエさんにとっては、時間こそが命で、本当に忙しい人なので、「あなたちのために時間をとる」と言ってくれるのは、とても重い言葉だ。
責任を感じた。
そして、男に二言はないイエさんが「協力する」という言葉を言ったときの表情が今も忘れられない。
なぜ、そう思うかというと、今回人探しを頼まれたのですが(こちらが勝手に探すといったのですが)
昔、お世話になっていた社長が倒産して連絡がとれなくなってしまったので探したいと言われた。
その社長には、2000万円の売掛があるそうで、だから、色々な人に連絡をしてもお金を回収しようとしていると思われてしまって足取りがつかめないそうだ。
イエさんは、回収じゃないと言った。
「昔、お世話になったから、今できることをして、恩返ししたいだけなんだ」
と。
本当にぶれない人だ。
・・・・・・・
他にも「イエさんのために何かしたいけど、私たちはそれを言うのもおこがましいレベル」という話になったら
「私のためにではなく、ミャンマーの貧しい人たちのためがいい」と言われていた。私利私欲では、動かないということだ。
さらに、、
ぼくが「日本には、社会のためにという経営者が少ないですが、
ミャンマーではイエさんもアーターさんもキャプテンもそういう純粋でぼくが尊敬できる経営者の方が多いです。なぜでしょうか?」
と聞いたら
「日本の経営者は何だかんだ言ってもそこそこ豊かなところからビジネスを始めているけれど、私たちは貧乏なところからスタートして今がある。
だから、貧しい人の”立場”に立てるし、その現実を知っているし、そういう人にも幸せになって欲しいと心から思うからかもしれませんね。
大切なのは、相手を思いやれるかどうか?だと思っています」
とおっしゃっていた。
・・・・・・・・
イエさんは、サムライだ。
日本には、もういなくなってしまったかもしれないサムライ。
足元にも及ばない自分だけれど、ハートだけはイエさんのように、強い思いをもって生きていこうと思わされた。
最後、ビジネスを一緒にしようというところまで、いけたのは、利ではなく志でつながれたからだと思う。
最後に、、、
今回の成果は、以前ノートで紹介したカッチン、それから村田さんというリーダーが大人の交渉術を駆使してアポを実現してくれたこと、
また、ぼくはその日、ビジネス講座の懇親会があって遅れて合流したのですが、その間、プロジェクトメンバーがとても良い最高の空気をつくってくれたことが成果がでた9割で、ぼくの力ではないことも伝えておきたい。
人に恵まれて、本当に幸せだ。
だからこそ、これからも純粋な気持ちでプロジェクトに取り組んでいきたい、
そう思った夜でした。
そして、そういう気持ちをもった人ともっと仲間になりたいです。
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