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ヨット大航海 水平線のあっち側 その2

境港を出発するもトラブルで足止め、船を修理していよいよ再出発。
そんな前回からの続きになります。

7月6日の昼間に船を修理したそのままに出発しました。

宇和島を出発

エンジンの調子を見ながらゆっくり豊後水道を南に進みます。
8時間くらい走るといよいよ太平洋です!
この時で0時くらいの深夜だったと思います。
ここまでで色々とありましが僕たちにとってはここがスタート地点になります。

ここから一直線で小笠原諸島を目指します。
距離にして約600マイル。
なので、
600×1.852=1111.2km になります。

約1100kmの大海原に漕ぎ出します。
その間は取り付く島もなく、四国からのダイレクトルートは一般的な航路を大きく外れる事になるので助けてくれる人や船もいません。
トラブルスタートしてますが、ここから先はこれ以上のトラブルが起きない事を祈るしかありません笑

今回は小笠原諸島の父島を目指しますが、その手前の孀婦岩を目指します。
この岩は太平洋のど真ん中に突如突き上げる岩でこの岩を見に行く様な遊覧船などは存在しないので、自力で見に行くしか見る方法がないのでヨットマンにとっては憧れの一つになっています。

太平洋に出たらいきなりウネリが大きくなりました。
ここは予想はできていたのですが、
話しに聞いていた太平洋の大きく波長が長いウネリではなく、色々なウネリが混ざりあってチャプチャプしてる感じでした。
船酔いに強くない僕はこれが厳しくて酔いを我慢しながらのスタートになりました。

四国沖を出るといきなり黒潮に乗ります。
初めての黒潮ですが強い所で3〜4ノットで流れいます。
5〜7kmというと早歩きくらいのスピードなので黒潮っていうのは驚くほどに潮が流れているんだと思いました。
更に風が良く斜め後ろからの風(ヨット用語ではクウォーターリーと言います)でヨットの理論上では最も速く走れる風に押されます。
まさに追い風のコンディションに恵まれて7〜10ノットのスピードで進み続けました。
僕の船酔いの調子とは相反してヨットは気持ち良く進みます(苦笑い)

太平洋の夕暮れ月が小さく

太平洋はずっと同じ風が吹き続けました。
風がずっと変わらないのも不思議な体験でした。

水平線・太陽・空
これ以外は何もない世界。

そして、夜は満天の星空が水平線のギリギリまで見えます。(何度も船の光じゃないかと間違えました。)
どこにも人工的な光どころか自然の光もない世界。
揺れる船の上からでは写真に撮れないのが残念ですが、おそらくこの地球上で最も綺麗な星空だと思いました。
とにかく天の川がすごい。
そして何気に七夕だなーと言いながら走っていました。
大昔の人も同じ様に空を見ていたのでしょう。

星は撮れませんが完全な闇と完璧な星空

少しずつ揺れに体が慣れつつも全く同じ様な毎日が続きます。

水平線スイカ
トビウオが船に飛び込んできたり


四国沖から一直線の小笠原諸島狙いはかなり珍しいパターンで行ってる人がかなり少ない様です。
一緒に行った仲間が海図のアプリを使っていましたが、その地図すら存在しない空白地帯を走りました。
詳しい人いわくこのアプリを持ってこの地帯に行った人はまだ誰もいないんじゃないか?
という話らしく日本の中のマジで秘境だったと思います。
まあそんな事を言ったって実際には海しかないんですけどね。

海図アプリの空白地帯
夕日を背に

今回は毎日いい天気でいい風に恵まれました。
経験者から言わせるとこんな事ないというくらいの最高のコンディションだった様です。

そしていよいよ!
宇和島を出て4日目の7月9日の朝に
孀婦岩の到達に成功しました!

遠目から少しずつ

水平線の彼方に少しずつ大きくなる巨岩。
いよいよここに来たんだという気持ちが湧き上がります。

すげー!

ただこれが突然と太平洋に突き上げています。
太平洋の親指に親指を立てておきました。
一周して記念撮影して大満足。

更に翌日に父島と思うと元気が出てきます。

小笠原が近づくと鳥がいっぱい出てきます

島が近づくと鳥が増えます。
アホウドリやカツオドリ等色々いるみたいです。

そして孀婦岩から更に1日半くらい走っていよいよ。7月10日15時頃に父島に到着しました。

遠くに島影が

遠くに見える島影が少しずつ大きくなっていきます。

いよいよ入港
無事到着しました。

島の人が出迎えてくれて近くにいた人がロープを取ってくれました。
滞在中も含めて本当に暖かい人が多いと感じました。

4泊5日
孀婦岩の寄り道を含めると1200km近い長い旅になりました。
出だしの2日は船酔いでキツかったですが、終わってみれば潮と風に恵まれて信じられないくらいに快適な航海となりました。

オーナーの熱い気持ちと航海への情熱がなければ実現しなかったと思います。

「成せば成る」

本当にこの一言に尽きる様な体験でした。

帰路は次回の記事に書こうと思います。

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