集中講義一日目メモ
1コマ目。太陽風と磁気圏。
自己紹介のかわりにオーロラ3D→4D→Xの話をして、学生たちにも簡単に研究内容を聞いて、30分。電磁気教室の月の研究者が多い。白板に早い者順でマクスウェルと流体の保存則を書いてもらう。
E+vxB=0と、P=nkTを追加。
磁気圏の構造やプラズマの特徴。マッハ10のバウショック。磁気圏境界の位置はnPaの動圧と磁気圧力で決まる。チャップマン・フェラーロのシールド電流。静止軌道6.6 Reまで小さくなることもある。
ダイポール中のミラーとドリフトでトラップされるプラズマ。基本、温度が高いので、水素がバラバラの電離度の高いプラズマ。
DungeyとAxford。南向きで活発になるオーロラ活動はDungeyでないと。フローズンインした磁場のストローでかき混ぜる。速度が速いと2セルパターンということはAxfordか、だとかは60年代の話。オーロラの粒子はプラズマシートの磁力線マッピングか。
ポーラーキャップにオーロラが出ないのはなぜ?あるいは、なぜ暗い?教科書でも、北向磁場のときの話は、実は、あまりされていない。
2コマ目。磁気圏の式。
磁気圏プラズマは、8つの基本量の時間発展とすると閉じる。8つとは?これが理想MHD。電場はv(プラズマの系に乗れば電場ゼロ)、電流jはBシアと考えてしまう。
jxBフォースのjを消してスプリットしておくと便利。ベクトル微分公式。磁気圧と磁気張力が出る。
垂直電流は、運動量保存にBを外積して、反磁性電流と慣性電流にスプリットできる。ベクトル三重積。
慣性電流は、急始などで顕著だが、定常状態では反磁性電流。リングカレントは等方的な圧力ではなくなる。このあたり総説宇宙天気、塩川。オリジナルのパーカーは反磁性のをミクロに突っ込まず、流体で式を書いている?ここは、小口本に解説あり。磁気嵐では3.5 Re付近に圧力ピーク。
垂直電流の発散が平行電流として書くと、渦度の時間変化などが原因。
電離圏に給電するからj//は大事。Strangewayの図からされを読み解く。磁気圏のプラズマがダイナモとして動く場合のクロージャー。
あとコラム的扱い→好きなプラズマ波動?なぜ周波数とパワーに巾乗則?火星ではハーフジャイロ見えない?これは、どこか違うところで紹介するのがいいかも。
プラズマに乗った系で電場なしE'=E +vxB=0世界を論じていて、回転系のプラズマ圏の話は、あとにとっておく。電場は、系で値が変わるので慎重に。
3コマ目。電離圏と式。
大気の構造もごく簡単に。オーバーラップする熱圏(温度で決める)と電離圏(電離・電子密度で決める)。成層圏はオゾンが紫外線を吸収して暖まる。熱圏は極端紫外線で電離される。電離度は低い。光電離、組み換え衝突、解離再結合などで決まる。150 kmまでは分子イオン、それより高いとO+。
式としては、中性風がuで、電場がEで与えられる二流体を考えるのがクラシック。このあたりは、総説宇宙天気の重十先生の式。磁気圏が無衝突プラズマなのに対して、平均自由行程の小さい衝突のある流体を考える。
イオンも電子もジャイロが衝突よりも速いときはExBドリフト。ジャイロ中にぶつかるときは電場方向の動きと中性風の動きのミックスになる。イオンがそうなるのは170 km、電子がそうなるのは80 km程度。
イオン速度から電子速度を引けば、電流と電場の関係式が得られ、これをオームの式と言う。式を整理すると、ペダーソンとホール電導度が出る。ホール電流の向きは、ExBと逆向きである。
ちなみに、中性風uを無視しない場合は、衝突でu方向に動く分の電流が加わり、j=σ(E+uxB)となる。これはSq電流系として知られ、観測データにはuの作る磁場変動が必ずあり、差し引いてデータ公開されている。
パーカーは、中性風の式も考えて三流体と言っていたか?
ホール電流は、地上から磁場で見える成分だが、ペダーソンとj//の地上に作る磁場はキャンセルされる(福島の定理)。これを利用して、磁力計ネットワークから出した電流系を等価電流、と呼ぶ。
朝夕電場、等価電流、対流、j//には、ポアソン式のつながりがある。磁気圏からj//が給電されて、電離圏の電場(あるいはプラズマのドリフト)を決めている、というシミュレーション結果は、観測と良く合う。このペアのj//分布は、region1, 2と呼ばれる。
ここでdiv v freeの非圧縮流体の流線関数のアナロジーも紹介したが、今は、しなくて良い気がする。