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日本の広範囲でオーロラが出現しました
猛烈な磁気嵐の発達により、インドやハワイでオーロラが観測される様子を見ながら日本の夜間を待ち、東北や北陸でオーロラが出る可能性が高いと考えました。しかし、なんと予想を超えて、東北・北陸よりも南の兵庫や愛知でもオーロラが観測されました。
なぜ、これほど猛烈な磁気嵐になったのか。フレアの強さは極端に強いものではなかったが連発したためにCMEが合体し、このように猛烈な磁気嵐につながったと考えています。まだ宇宙天気災害の情報を集められていませんので喜んでばかりもいられないとはいえ、短い研究者人生で、この磁気嵐に遭遇したことは幸せなことです。昨年12月もそうでしたが、今回もまた、シチズンサイエンスの重要さを体感しました。以下では、磁気嵐ピーク後、主に日本からのオーロラ観測に関連するツイートを抜粋してまとめておきます。
猛烈な磁気嵐(柿岡ΔH=517 nT、歴代9位)により、日本時間2024年5月11日の夜間、北海道、青森、秋田、岩手、山形、宮城、福島、栃木、長野、群馬、新潟、富山、石川、福井、兵庫、愛知から赤いオーロラが確認されました #オーロラシチズン pic.twitter.com/ZwGzOvHdcM
— 片岡龍峰 (@ryuhokataoka) May 11, 2024
日本全国からオーロラ観測に挑戦して教えて頂いた皆さま、本当にありがとうございました。数十年に一度の猛烈な磁気嵐のピーク直後・最終盤でのオーロラの低緯度への異常な広がりが明らかになりました。磁気嵐は、猛烈でないレベルに落ち着きつつあります。 #オーロラシチズン pic.twitter.com/ybDvzq9IyS
— 片岡龍峰 (@ryuhokataoka) May 11, 2024
いったん原因についての考察。フレアはXどまりだったのに、なぜ猛烈な磁気嵐になったか。これはフレアの数が多かった、つまり連発したことで、関連して何度も吹き出したコロナ質量放出が地球に来るまでに合体してしまい、それだけ威力(主に磁場強化)が増してしまったと考えられる #オーロラシチズン
— 片岡龍峰 (@ryuhokataoka) May 11, 2024
磁気嵐は一旦ピークを過ぎましたが、現在の太陽風はさらに高速になり800 km/sにまで到達、磁場も強く南向き20 nTで安定です。このためオーロラジェットが極端に強く、暴れています。まだ数時間は日本各地(特に北海道・東北・北陸)からオーロラ観測の可能性が高い状況にあります #オーロラシチズン pic.twitter.com/foE1IWCoXB
— 片岡龍峰 (@ryuhokataoka) May 11, 2024
日本全国のみなさんも、ぜひご自宅の近くから念のため、北の空にオーロラが出ていないか確認して頂き、撮影できた・見られた場合には教えて頂けないでしょうか、オーロラ観測の南限が、日本のシチズンサイエンスで決められるかもしれません #オーロラシチズン
— 片岡龍峰 (@ryuhokataoka) May 11, 2024
大急ぎで出動準備中です、天文薄明は20時頃かな?念のためとはいえ、まさか東京からオーロラ観測することになるとは pic.twitter.com/gPAxr3ADPu
— 片岡龍峰 (@ryuhokataoka) May 11, 2024
磁気嵐が大荒れのまま、日本はこれから夕方に突入です。北海道や東北・北陸からはオーロラが北の空に見えてくる可能性が高まっています pic.twitter.com/zV1mD0iLnk
— 片岡龍峰 (@ryuhokataoka) May 11, 2024
ΔHが517 nTとのことで、柿岡地磁気観測所の110年の観測史上トップ10を塗り替える歴代9位の磁気嵐になりました。生きてる間に出会えるとは pic.twitter.com/eyDwiZA4Vk
— 片岡龍峰 (@ryuhokataoka) May 11, 2024
古来から日本ではオーロラは「赤気」と呼ばれてきました。江戸時代の明和七年には日本全国でオーロラが見られたこともあります。「赤気」にこだわった研究プロジェクトの軌跡を一冊の本に書きましたので、こちらも良かったらご覧ください。 https://t.co/Pp5wUgyR1Z
— 片岡龍峰 (@ryuhokataoka) May 11, 2024
Burlaga先生の論文を見直してみると、地球に来たSBZや衝撃波が、複数のCMEが伝搬中に作用したせいで、どのCMEにそれぞれ対応するか判別が不能になった形のcomplex ejectaの継続時間は3~4日というところですので、あと2日ほど似たような状況が継続するのではないかと思います https://t.co/wfCmmAWWOA
— 片岡龍峰 (@ryuhokataoka) May 11, 2024
複数のCMEが合体してしまった、まさにcomplex ejectaの様相で、今は磁場が南を向いていないところに地球が位置しています。これで磁気嵐の発達は一旦止まっており回復に向かい始めますが、またいつ南向きになって磁気嵐が暴れ出すのか全くわからない、目の離せない状況が続いています pic.twitter.com/hPWUagJKYQ
— 片岡龍峰 (@ryuhokataoka) May 11, 2024
歴史的な磁気嵐が発生し、宇宙天気災害の心配が高まっていますが、以前に大学の講義資料をもとに、過去の宇宙天気災害事例を多く調べた「宇宙災害」という本を書きました。お役に立つかもしれません。ご利用ください。 https://t.co/58LxqnC0IO
— 片岡龍峰 (@ryuhokataoka) May 11, 2024
磁気嵐のオーロラ写真や映像が赤ばかりな理由ですが、今回のように猛烈に大きな磁気嵐の場合、あまり知られていないほうの「SARアーク」が捉えられている例(図の右のほう)が多々あります。詳しくは、名古屋大学の塩川教授の解説をご覧ください。 https://t.co/nc5zyDeTPy pic.twitter.com/0D5N3sLvkB
— 片岡龍峰 (@ryuhokataoka) May 11, 2024
背の高いオーロラの高い部分だけが見られ、下の緑の部分が地平線で隠れるから、という説明がよくありますが、これほどの磁気嵐では、その単純な説明では矛盾する「真上も真っ赤に染まる」ことも起こります。熱伝導的な仕組みで赤のみが発光する「SARアーク」も今回、世界各地で目撃されています
— 片岡龍峰 (@ryuhokataoka) May 11, 2024
いま慌てて自分の発表資料などを見直していますが、2003年のハロウィンイベントでは、NASA宇宙機ミッションの半数に悪影響(ADEOS2は損失)、国際宇宙ステーションでは宇宙飛行士が放射線シェルターに入る、航空機は極航路での被ばくを避けた、ということが起こりました。今回もNASAは大騒ぎでしょう pic.twitter.com/FYeZqkn0Rc
— 片岡龍峰 (@ryuhokataoka) May 11, 2024
さきほどのX5フレアに伴う太陽プロトン現象のせいで、この図の3つのブランチの全てが心配という全く困った宇宙天気イベントになってきました pic.twitter.com/w8viHHsV6C
— 片岡龍峰 (@ryuhokataoka) May 11, 2024
さきほどのX5フレアで、また違う心配が増えてしまいました。太陽からの放射線による被ばくです。現在、活動領域は地球と磁力線がつながる好位置に移動し、高エネルギーにまで加速された陽子が地球方向に大量に降り注いでいます。極航路を通る航空機では、この空気シャワーによる被ばく増がありえます pic.twitter.com/3K8Nw3UxW1
— 片岡龍峰 (@ryuhokataoka) May 11, 2024
磁気嵐の規模の指標であるDst指数のグラフで見て頂くとわかりやすいですが、現在発達中の磁気嵐(下段)は太陽活動23期(1996~2009)最大の磁気嵐2003/11/20(中段)に匹敵し、新潟からオーロラが見られた巨大磁気嵐1958/2/11(上段)とも同レベルで、まさに歴史的な磁気嵐を私たちは目撃しています pic.twitter.com/oQhGmfCbpy
— 片岡龍峰 (@ryuhokataoka) May 11, 2024
太陽風の勢いは増しています。磁場は非常に強く南向き50 nT、高速700 km/s、高密度20 /ccと、さらに非常に大きく磁気嵐を発達させる条件が整っています。これから再び磁気嵐が強まります。このような状況が夕方まで続くと1958年2月のように東北地方や新潟でもオーロラが見られるかもしれません pic.twitter.com/Vn3h5WmC4b
— 片岡龍峰 (@ryuhokataoka) May 11, 2024
巨大磁気嵐で何が起こってしまうのか、宇宙天気災害について私の知っていることは、この本に殆ど全て書きましたので、必要に応じてご覧ください https://t.co/gGdJAvUzBc
— 片岡龍峰 (@ryuhokataoka) May 10, 2024
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