見出し画像

牌譜検討⑥(雀聖★★★特別編)

第6回の牌譜検討記事です。

今回はなんと!!
麻雀系Vtuberの勝立香(かつりつか)さんの牌譜を検討していきます!

勝立香さんのYou Tubeチャンネル


検討に入る前に立香さんを簡単に紹介すると、麻雀オタク(褒め言葉)と言っていいほど麻雀への愛がとにかく強いVtuberさんです。

段位戦や友人戦の他、Mリーグなどの同時視聴配信も行っていて、とにかく麻雀に関することを全力で楽しむ配信者さんです!

そして雀魂の段位も先日雀聖3に昇段した実力者でもあります。

今回は、そんな立香さんが魂天を目指す上で必要なことについて取り上げていきたいと思います!

厳しめでも大丈夫というお言葉も頂いているのでビシバシと行きますよ!

ちなみに今回の牌譜はライブ配信中に対局したものを使用しています。

配信で立香さんが話していた思考も検討の参考にしています。

参考にした部分は本文中でも触れています。


最終形までの道筋を考えて方針を定める(優先度★★★★★)

雀聖3という段位が示す通り、その瞬間ごとの選択はしっかりしていて大きなミスは少ないです。

今後は、どのような方針でどんな最終形を目指して手牌を進行していくのか、そしてその方針に進む為にどう打てば最適なのかということを常に考えながら対局を進めて行けるようになるのが課題になるかと思います。


東1局 打9s

3pか4sを切れば嵌2mと辺7sの1シャンテンですが、ほぼ愚形リーチのみになりそうです。

親がダブ東を鳴いている上に早いか高いことが多そうな河をしているので、ここに愚形リーチのみで戦いを挑むのは分が悪そうです。

打9sとして価値のある手牌を目指すのは良い選択だと思います。


次巡 打3p

次巡にツモ6sで索子が両嵌になって再び1シャンテンになりました。

ここでは、更に打1mとしてタンヤオを狙って行くのが良いかなと思います。

打3pとして1シャンテンに取ったとして、赤5sツモ以外は結局さっき嫌った愚形リーチのみになる形なんですよね。

先程9sを切った瞬間ではタンヤオの3シャンテンでしたが、ツモ6sによってタンヤオの2シャンテンになりました。

愚形リーチのみ1シャンテンとタンヤオ3シャンテンの選択で後者の方針を選んだ訳ですから、よりタンヤオの成就率が上がったはずであるタンヤオ2シャンテンとの比較であれば尚更タンヤオを選ぶというのが自然な思考だと思います。


もちろん刻一刻と変化していく状況次第で判断は変わるので『Aという方針を選んだからその後もずっとAを選び続ける』という必要はありません

具体例を1つ挙げるとすると、
『価値が微妙な聴牌を外してより良い聴牌を目指したが、数巡後に同程度の微妙な聴牌になった。しかし、もう聴牌を外しているだけの巡目の余裕がない為、今度はリーチを掛けた。』

このようなことは当然あります。

重要なのは、状況がほぼ変わっていない(orそのように状況が変わることが予想できていた)にも関わらず選択がフラフラしてしまうことを避けるということです。

自分がその局をどのように進めて行きたいのか、意志を持って打牌選択をしていきたいですね。



東4局 打6p

辺張+嵌張の1シャンテンです。
1シャンテンに取るか、辺張あたりを払ってシャンテン戻しをするかの選択です。

2巡目であれば打1pで辺張を払って良形変化や打点上昇をみる方が良いかなと思います。

現状は辺張と外嵌張の1シャンテンなんですが、この部分が良形変化しにくくて聴牌するまでこの1シャンテンの形から変わる機会が少ないんですよね。

もう嵌7mと辺3pと心中!みたいなことになりやすく、聴牌時良形率もかなり低いんじゃないかなと思います。

とはいえ、ドラ1あるので先制愚形リーチ狙いも悪い訳ではないです。
門前でタンヤオを付けるにはまだ少々遠いので、シャンテン戻しをしても打点上昇が凄く期待できるわけでもないですしね。

次巡 打2p

先の6pを下家に鳴かれた次巡にツモ7sとなった場面です。

ここで立香さんはシャンテン戻しとなる打2pとしました。
しかし、ここで2シャンテン戻しルートを選ぶなら先程の打6pのところからそちらのルートを選ぶのが自然な思考かなという印象です。
(一応、方針転換する要素が全くないわけではないんですが、そこに触れると本筋から逸れて冗長になるので省略します)

基本的に巡目を消化するほどシャンテン戻しの評価は下がるので、シャンテン戻し有利となるような余程の変化がない限りは、巡目を消化してから【シャンテン維持→シャンテン戻し】という方針転換をすることはないと考えて良いかと思います。

また今回は6pでフリテンを含むため、例えばツモ5pでの中膨れのような普段なら価値のある変化の評価が下がってしまっているんですよね。
それも前巡よりもシャンテン戻しの評価が下がる要因になっています。


今回重要なのは打6pの段階で1シャンテン維持愚形先制リーチルートを取るのか、シャンテン戻しでより価値の高い聴牌を目指すのかの方針をある程度決断しておくということです。

打6pとした2巡目がルート選択の岐路であることに気付けるかどうかというのがポイントです。


※余談ですが辺張を払うなら今回は1pからのが良いです。
2pを残すとツモ2pで9mと雀頭を振り替えてのタンヤオが狙えます。
また、ツモ3pのフリテン3門張やツモ4p7pも採用し得る形なので結構1pと2pの価値に違いはあると思います。
この巡目の安全度の差は、余程自分の手が悪いか安全度が大差でもない限り気にしなくて大丈夫です。


東3局 打北

役牌を含めたトイツが4組あるドラなしの配牌です。
この手を高く仕上げるにはトイトイや七対子が本線、稀に萬子の混一色になるかなといったところでしょう。

私の推奨は打9sですが、打北(南)とほとんど差はないかなと思います。

この手で7sや8sを引いた愚形ターツを採用した場合、だいたい1500か2900の愚形の多い手にしかならないので9sの価値は低いんですよね。

とはいえ北や南も手役に物凄く必要というほどの牌ではないので、そんなに差はないとは思います。

次巡 打9s

次巡に赤5pをツモりました。
これによって萬子の混一色は完全になくなりました。

また赤含みのメンツができたことで、トイツ系の手よりも中を鳴いて手なりで2900や5800を狙うのが本線になったと思います。

そうなると今度は9sくっつきの価値が先程より上がってオタ風の価値が下がります。
打南とするのが良いでしょう。

前巡では手役ルートで少し利用価値のあるオタ風を切って9sくっつきを残しました。

しかし、手役ルートより中ポン手なりルートが本線に変わってオタ風の価値が下がった今巡では、9sくっつきを捨ててオタ風を残すというちぐはぐな切り順になってしまっていますね。

状況①でAという選択をしたとき、状況①よりも更にAが有利であるとする状況②では尚更Aを選んだ方が得になるはずです。

※手なり鳴き進行の場合、孤立の19牌のくっつきの価値が門前進行より高くなります。
なぜなら例え愚形でもターツができるだけで鳴ける牌が増えることと、端よりのターツは良形変化しにくいので門前では弱い代わりに河に捨てられやすく鳴きやすいという要素がある為です。




オーラス 打9m

オーラスで1000点でも和了ればラス回避という状況で役牌暗刻の配牌を貰いました。

普段であれば打9mとして混一色を狙いたい手ですが、オーラスでラス回避を最優先とした方針なら字牌から切るのが良いと思います。

実際は打9mとしても形は作れそうで、うまく混一色になったときに2位やトップを狙えるように9mから切るという選択がないことはないです。

ただ、立香さんはこのときにラス回避を最優先に考えているような主旨の発言をしていました。

もしその通りの方針であるならば字牌から切って9mのくっつきを残す方が方針に合った選択だと思います。

この打9mは方針と打牌がマッチしていない選択だと思います。



東1局

さて、ここでは少し趣向を変えて皆さんなら何を切るかを考えてみて貰おうかと思います。

その際に、何故その牌を切るのかの理由も一緒に考えてみてください。




何を切るか決まりましたか?





それでは解説していきます。




まず、私の推奨打牌は打6sです。

理由はこの数巡の間に67p等を引いて聴牌したときの筋9s待ちリーチがかなり強いと考えるからです。

序盤の安牌の少ない段階ではオリたい人でも現物がなくて字牌や筋19牌に頼ることがしばしばあります。
また現物があっても、まだ自分の和了をみて形を維持するために字牌や筋19牌くらいはと押して来ることも残り巡目が多いほど起こりやすいでしょう。

9sが他家の手牌にあればそれがすぐ河に放たれることが期待できますし、もし山にあったとしても七対子の待ちが山に2枚あれば十分ですね。

このように、運良くすぐに聴牌したときの和了率を高めようというのが打6sの狙いです。



続いて立香さんの打牌を見てみましょう。
立香さんは打9sを選択しました。

配信では『七対子狙いで見た目1枚少ない9sを切る』という話をしていて、この選択も私はあると思います。

受け入れ枚数が少ないほど見た目1枚差の価値は大きくなりますし、序盤に聴牌してしまえば筋9s待ちでなくとも見た目3枚の牌で適当にリーチを掛けてもそれなりに和了れます。

また、出和了しにくい牌であるほど和了率は下がるがツモ和了割合が上がって平均打点が上がるという要素もあります。
ただし、手替わり待ちダマを選択する場合の平均打点はそれより下がるので打ち手の選択に依存するところはありますが。

結論としては、打6sが良いと思っていますが枚数優先で打9sとするのもあるというのが私の考えです。


それに対して、この思考をした人は改善する余地があるよという打牌も紹介します。

それは七対子とメンツ手の両方の可能性を残して天秤に掛ける為に打9sとするという思考です。

なぜこの思考には改善の余地があるかというと、この手はメンツ手になる(する)可能性がほぼないからです。

現状で七対子の1シャンテン、メンツ手の3シャンテンです。

例えばここにツモ5sでメンツ手の2シャンテンになったとします。

愚形を含むかつ鳴けない手なので、打4sとしてメンツ手に寄せることは七対子を2シャンテンに戻してまでやる価値はありません。

また、七対子の1シャンテンを維持しつつメンツ手の2シャンテンに取るには67pを払うしかありません。
しかし、唯一の良形を払って愚形しか残っていないメンツ手の2シャンテンというのも七対子1シャンテンに劣ります。

これ以外のツモパターンでも、七対子の1シャンテンの価値をメンツ手の価値が上回る瞬間がほぼない牌姿なんですよね。
つまり、七対子本線→メンツ手本線と方針を移行するタイミングがないのでメンツ手にはならないということです。

例外は何かを暗刻にしてトイトイと七対子を天秤に掛けるパターンです。

この場合はトイトイからMAX四暗刻狙いでメンツ手にするパターンが存在しますが、その際は67pや6s等の横に使う牌はいらないので、結局それらの形を維持する意味がないんですよね。


以上のことより、七対子としての待ち牌選択の幅を狭めてまでわざわざメンツ手の可能性を残すことにほとんど価値がないと言えるでしょう。
(あくまで今回の牌姿の話です。自然な手順でメンツ手2シャンテンと七対子の1シャンテンが共存できる牌姿も当然あります。)


このメンツ手との天秤という思考は牌効率を少し覚えた段階の人が一番陥りやすいのではと思います。

索子のこの形がメンツ手としてはそこそこ優秀な形で、それを覚えた頃の人ほどこの形から6sを切るのに抵抗があると思うんですよね。

この手は、索子の形と67pの両門とを合わせてパッと見の印象だとメンツ手がありそうに見えてしまうと思います。
しかし、大切なのは次に何をツモったら何を切ってどのように進行するのかを考えて打牌を選択するということです。

最終形までどのような手牌進行をしていくのかということを考えておくと、パッと見の印象に思考が引っ張られることなく打牌選択ができるようになるかと思います。


同局 8sスルー

先程より少し巡目が経過して6mを暗刻にしています。

この8sはポンした方が良いですね。
立香さんもスルーした後にポンだったかなと振り返っていました。


この直前の6mが暗刻になったときに、七対子MAXで6mをツモ切るかトイトイ系狙いで6mを残すかの選択で後者を選んでこの形になっていると思うんですよね。

七対子の1シャンテンの受け入れを狭めてまでトイトイ系の2シャンテンも残しているわけですから、何かしらのメリットがそこにないといけません。

考えられる主なメリットは以下の2つです。

・鳴けることによって、七対子とはシャンテン数が1つ遠い分の速度の遅れをカバーできる
・MAX打点で四暗刻が狙える

8sをスルーするということは、前者のメリットは受けないということになります。

つまり四暗刻を強く狙っている場合のみ、6m暗刻残し→8sスルーというルート選択が方針と合っていると言えるでしょう。


しかしこのとき立香さんからは四暗刻を狙っているような発言は特になかったので、四暗刻を強く見てスルーしたわけではないように思います。

これは予測になりますが七対子があることと、67pの両門があってメンツ手のリーチも狙えそうという感覚からスルーという選択になったのではないかと思います。

しかし、先述の通り67pの両門を使ったメンツ手になる進行はほぼありません。
67pは形の上では両門であるものの、両門としては機能していない牌と言えます。

67p→南北

両門として機能していないのですから、その部分をこのように字牌に置き換えても攻撃面での手牌価値はほとんど同じでしょう。

そして、この形だったら立香さんが8sをポンしていた可能性も高くなるんじゃないかと思うのですがどうでしょうか。

8sをスルーしてもリーチまで行けるのではないか、という風に67pの両門があることでその見た目の印象に思考が引っ張られてしまっているのではと感じました。


この局の最終形です。
受け入れ8枚のメンツ手の1シャンテンになりました。
フォロー牌の3mをツモる前、メンツ手1シャンテンになった瞬間では受け入れは6枚でした。

2巡目に七対子の1シャンテンになったときの受け入れ枚数は9(8)枚だったわけですから、手牌価値は全然上がっていませんよね。

メンツ手3シャンテンから、6m暗刻を残したり途中で2枚切れになった7pを残すなど七対子の受け入れを狭めてまで頑張ってメンツ手の1シャンテンに辿り着いたのに、です。

これが67pの両門を使ったメンツ手が七対子の1シャンテンの価値を上回るタイミングがほぼないと言っていた理由です。


この最終形はたまたまこうなったのではありません。
2巡目の段階で、67pを使ったメンツ手進行をすればこうなる可能性が高いことは牌姿から予測可能なものです。

その瞬間での見た目の印象等で打牌選択をすると気付いたときには『思ってたんと違う…』みたいなことになる可能性があります。
だからこそ最終形や先の展開を予測して局を進行していくことが重要だと私は考えています。


鳴き判断(優先度★★★)

立香さんは副露率がやや低めな打ち手です。
鳴きはうまく使えば強力な武器になるので、できれば使いこなして行きたいところです。

しかし鳴き判断はその瞬間の鳴くか鳴かないかだけではなく、それまでや鳴いた後の手組みや押し引き判断などとセットで考えなくてはならないので非常に難しい技術だと私は思っています。

私も決して鳴きは上手くないのですが、考え方について参考になるところがあればということでいくつかの場面を取り上げていきます。


東4局 2pスルー

これはチーが良いかなと思います。

鳴き判断は基本的に鳴いたときとスルーしたとき(※注)との比較で考えます。

(※注『鳴く前』ではなく『スルーした後』です。この二つは似ているようで違います。)

今回は鳴いたときの速度上昇が結構大きく、スルーして門前で頑張っても速度低下の割にそこまで高くなりそうもないので鳴くのが良いかなと思います。

また2pから鳴くメリットとして、この後の手牌進行のどのタイミングで他家の攻めを受けてもある程度対応することができる形になることが確定するんですよね。

どういうことかと言いますと…

まず、2pを鳴くと1シャンテンですね。
この打点のない1シャンテンではリーチにほぼ押せないので基本的に降りることになります。

2pから鳴くと西のトイツが手牌に残るのでベタオリ成功率が上がります。
西は生牌とはいえそれなりに安全ですから、ないよりは有った方が守備力は高くなりますね。

これは25mを鳴いて西バックの聴牌になったときも同様です。

1シャンテンのときよりは多少マシとはいえ、西バックの聴牌ではあまり押せません。
どこかでオリる判断をすることもありますが、西のトイツがある分やはりベタオリ成功率はそこそこあります。

もう一つの聴牌形である西をポンした25mのケースでは、西を消費してしまったので守備力は下がっているものの、良形聴牌ならリーチを受けても結構押すことができます。

守備力が低くなってもあまりオリない手なのであれば問題ありませんね。

つまり、2pから鳴くと押す価値が低い形では必ず西のトイツが残っていて、西のトイツがないときは押す価値のある手になっている訳です。


これが西からポンした場合は話が変わります。

西からのポンでは1シャンテンの段階で守備力が低くなりますし、その後25mから埋まった聴牌も安くて守備力の低い愚形聴牌になってしまいます。

【オリたいけど安牌がないから押した方がマシ】という状況が生まれやすいんですよね。

(これはあくまで西よりも2pからの方が鳴きやすいという話であって、西からはスルーした方が良いという話ではないです)

このように、鳴いた後の最終形までどのようなルートを通ってどんな展開が予測できるのかを考えて鳴き判断を行うと鳴きの精度は高くなるのではないかと思います。



東3局 2mチー打3p

これはスルーが良いと思います。

鳴くと聴牌時良形率が下がってかなり愚形聴牌になりやすくなるのが理由です。

現状は雀頭がない形なのですが、牌理上シャンテンが進むほど雀頭がつくりにくくなるんですよね。

しかも雀頭はメンツと違って基本的に鳴いてつくることができないので、聴牌までに自力のツモでなんとかしないと単騎待ちになってしまいます。

そして何よりマンズの連続形の部分が雀頭をつくりやすい形なので、2mチーをして連続形を壊してしまうと一気に単騎聴牌率が上がってしまうんですよね。


仮に2mを1枚スルーしても258mは枚数がまだまだ残っているので自力でなんとかできることも多いです。

また例えば自力で2mをツモって234567mのようにした場合、仮に単騎聴牌になっても147258mで三門張に変化する余地が残ります。

このように雀頭がないときは、雀頭をつくりやすい複合部分を聴牌しない鳴きで消費することについては少し慎重になっても良いかなと思います。

雀頭をつくりやすい複合形の例を他にあげると、66778みたいなものもありますね。


2mスルーが良いと思うのはもう一つ理由があります。
それはそこそこ4cm聴牌になってしまい守備力が崩壊するということです。

2mを鳴くと1シャンテンになる訳ですが、自力で聴牌する前に14sが上家から打たれた場合はチー聴を取った方が良いんですよね。

愚形だろうが聴牌と1シャンテンには大きな差がありますし、14sをスルーしたところで大して良形率が上がる訳ではないですから。

そして14sをチーした後はたぶん【567m北】の北単騎とかになるんですが、もう良形変化がほとんどない形なんですよね。

4枚しかない1000点の愚形聴牌で地獄の果てまで…というルートに乗る未来がそこそこ起きるのが2mチーです。


1シャンテンと聴牌はその価値が大差なので、基本的に1シャンテン→聴牌の鳴きはした方が得なことが多いです。
(既に1副露以上して門前の権利を失った後の話)

つまり2シャンテン→1シャンテンになる鳴きをした後は、鳴ける牌さえ出れば1シャンテン→聴牌の鳴きをすることが多いという風に考えることができます。
2つの鳴きはある程度セットで発生して、その分だけ手牌が短くなる可能性があると予測できる訳ですね。

なので1副露2シャンテンの手牌では、その2シャンテン→1シャンテンになる鳴きの段階で最終形を踏まえて鳴き判断を考える必要があるということです。

この鳴き判断でもやはり最終形とその局の展開を予測するということが必要になるんですね。


とはいえ1副露2シャンテンからシャンテンが進む鳴きをスルーした方が良いような手牌では、そもそも最初の1副露目の段階でスルー が有利になることも多いです。
なので1副露2シャンテンで2副露目をスルーした方が良いという状況はレアケースではあると思います。

ちなみに今回の東は鳴いても鳴かなくてもどっちも有りくらいの微妙なラインというのが私の感覚です。


実は2mチーをしても安い4cm愚形聴牌にならないルートもあるんですよね。
それは混一色まで一気に寄せて打点を付けてしまうことです。

打点さえあれば愚形聴牌でもある程度押せる訳ですから、守備力の低さはあまり気にする必要はなくなります。

また混一色前提なら14sは鳴かないので、手牌が短くなって守備力が低下することも減らすことができます。


とはいえ、2mチーをした混一色ルートは満貫になりにくく3900止まりなことが多いんですよね。

また字牌が少なく守備力が低い為、2mチーからの混一色ルートは【3900に打点を上げる為に守備力の低い手牌で聴牌巡目を大きく遅らせる】というパターンになりがちでちょっと微妙な進行かなという印象です。


同局 打9m

これは鳴き判断とは違うのですが、ここは23sを払って混一色まで仕上げたいですね。

先程、2mチーからの混一色ルートは微妙と言ったばかりですが、このツモ北では話が変わります。

理由は以下の2つです。
・満貫が現実的になった。
・巡目が早い

北が重なったことで満貫のポン聴が取れる1シャンテンになりました。
重なる前と比べて満貫成就率が跳ね上がっています。

また2mチーの段階では混一色への受け入れ枚数はあまり多くなく、混一色の1シャンテンになるまでに無駄ヅモで巡目をそこそこ消費する可能性もありました。

しかし、すぐに北を重ねたことで混一色にするまでの巡目的猶予が発生しています。
この巡目なら聴牌を外しても十分見合うだけの価値があるでしょう。

以上の理由により、この手は混一色を狙って満貫まで仕上げたい勝負手に昇格したと私は判断します。


ちなみに立香さんは迷うことなく打9mとして聴牌を取っていました。
恐らく北ポンで満貫聴牌ということに気付いていない様子で、そもそも1000点の良形聴牌と満貫の1シャンテンのどちらを選ぶかという比較自体が行われていないのかなと思います。

どちらの選択をするにしろ、見えている情報を正しく取得した上で選択したいところですね。


押し引き判断(優先度★★★★)


東4局 打6m

親リーチを受けて現物は2mのみ、残りは全て無筋という状況です。

ここで立香さんは打6mを選択しました。

恐らく、現物が1枚しかなく次巡すぐ手詰まるのならここで1枚押して1シャンテンには取ろうという意図だと思います。

6mを通せば2枚ある3枚も通しやすくなって、ベタオリ成功率も上がりますしね。

もちろんそのような方針を取ることもあります。
しかし今回はそれをするには自分の手牌価値が低すぎるので、打2mで気合いで降りる方が良さそうです。

打6mとするとくっつき形の1シャンテンになります。
本来、くっつき形の1シャンテンは聴牌になる受け入れが広いのでそれなりに価値があるのですが、今回はくっつき候補が非常に弱いです。

まずソーズ部分は元々くっつきとして弱い上にフリテンを含んでいてほとんど価値がありません。

マンズ部分は中膨れで一見頼りになりそうですが、14mが5枚見えていてかなり弱くなっています。

打点がある訳でもなく、残り巡目も少なくなっていますね。

唯一ツモ4mでの聴牌なら押し返す価値があるかもしれませんが、逆に言えば残り2枚の4mツモくらいしかまともな聴牌にならない1シャンテンです。

ここまで手牌価値が低いと気合い降りを選択した方がマシでしょう。



もともと立香さんは押し引き判断がかなり守備寄りで降り過ぎてしまうタイプでしたが、最近では押すべき手をしっかり押せることが増えて来ました。

その分、今度は降りるべき手を押してしまうことが増えているのだと思います。

しかし、これは悪いことではありません。

押し引き判断に最適なバランスがあるとして、いきなりその最適解を完璧に理解することは普通の人間には不可能です。

ときには押し過ぎたりときには降り過ぎたりしながら、徐々に最適なバランスへと寄せていく。
そういった試行錯誤が必要なものだと私は思っています。



まとめ

牌譜を見た印象として、現段階でも十分聖3坂と勝負できる高い雀力があると感じました。

しかし確実に魂天へと到達する為には、瞬間瞬間の点での判断だけではなく1局単位での1本の線として考える力が求められてくると思います。

そのためには
・最終形やその局の展開を予測して最適な方針を立てる
・立てた方針に対して最適な選択を選べるようにする

これらの技術が必要になるでしょう。

少し余談になりますが、麻雀では打牌は自由だという話題があったりしますよね。
私もそう思います。

しかしこの自由というのはどのように対局を進めていくか、その方針の立て方が自由であるという意味だと私は認識しています。

方針を立てずになんとなく打牌すること、立てた方針とマッチしていない選択をすることは自由な打牌ではなく単なる技術不足です。

私自身、自由に打つことを好む人間なので自戒の意味を込めてこのように考えるようにしています。



今回はけっこう辛口で記事を書いたと思います。

ただそれも、立香さんの麻雀に対する熱意や向上心の高さを知っているからこそです。

配信初期の頃と比べても、本当に強くなっていると感じました。

その強さは、聖2残り1ptという降段崖っぷちから6000ptを稼いで聖3へと昇段したことからも分かりますね!

↓↓↓崖っぷちの瞬間(ショート)↓↓↓


今の実力、そしてその成長力の高さから間違いなく魂天に到達できる人だと思います。

是非、応援して魂天になる瞬間をみんなで見届けましょう!

勝立香さんのTwitterアカウント
@KATSURiTSUKA_MJ

勝立香さんのYou Tubeチャンネル


最後に、こんな人に立香さんの配信はオススメというのを紹介したいと思います!

・雀士〜雀豪までの人
→配信を楽しみながら麻雀を学ぶことができる!

・雀聖の人
→雀聖坂の大変さを立香さんと共有して楽しめる!

・魂天の人
→どんどん強くなっていく立香さんの成長を応援できる!

・Mリーグ等の見る雀が中心の人
→同時視聴配信で一緒に試合を見て盛り上がれる!

・ラジオ感覚で配信を聞きたい人
→いつも明るく楽しんで配信をしているので、聞いているだけで楽しくなれる!

とにかく、どんな人にもオススメできる魅力のある方なのでまだ配信見たことないよ〜という方は是非一度遊びに行ってみて下さい!



そしてこれがホントに最後!
私自身の宣伝もさせて下さい!

この度、第5期MSリーグの選手としてエントリー致しました!

MSリーグとは48名の参加者が優勝を目指して熱い試合を繰り広げる、私設の個人リーグです。
毎週月・金曜日の21時から各日2試合を行いますので、犬カルビを応援して頂けると嬉しいです!

もちろん、私の応援でなくてもMSリーグに興味を持って頂けるだけで嬉しいです☺️

記念すべき第1節の試合は5/8(月)に行われる予定です!

宜しくお願い致します!


MSリーグ公式Twitterアカウント
@MS__League__


犬カルビTwitterアカウント
@random_number_a


最後までお読み頂きありがとうございます!

もし記事がおもしろいと思って頂けたら、スキを押したりサポートをして下さるととても励みになります!


記事を読んで頂きありがとうございます! よろしければサポートで応援して貰えると次回記事作成への励みになります!