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【湖南市若者まちづくり課】キックオフセミナー第3回「SDGs表現論」

こんにちは。
立命館大学の豊田です。

今回は、現在行われている「(仮称)湖南市若者まちづくり課」のキックオフセミナー第3回「SDGs表現論」についてお伝えします。

※第3回は「留フェロONLINEカレッジ~Summer~」の一環としてオンラインとのハイブリッドで開催しました。さらに、新型コロナウイルス感染拡大により開催当日に滋賀県が政府に対し、緊急事態宣言の要請を出したことから、より一層3密を避けた状況でのセミナー実施となりました。

湖南市若者まちづくり課とは

「若者まちづくり課」は、学生など若者が主体的にまちづくりに参加できる「たまり場」を作り上げることを目的に今年度から始動しています。湖南市は、滋賀県南部に位置し、自然に恵まれた地域です。「エネルギー」をテーマに市町村として滋賀県内で唯一、SDGs未来都市に認定されています。「若者まちづくり課」では、そのような湖南市を盛り上げようという若者とセミナーやワークショップを通じて湖南市の未来を考えます。

第1部|SDGsの最前線

 第1部では、一般社団法人インパクトラボ・代表理事で、グローバルな学びのコミュニティ・留学フェローシップの滋賀プロジェクトコーディネーターの上田隼也より、「SDGsの最前線」というタイトルでSDGsのイントロダクションがありました。
 上田さんは、SDGsの研究室としてインパクトラボを法人化しています。自治体や学校などのSDGsの政策・企画などに関わっており、所属する立命館ではSDGsの取り組みを主導しています。その他にもSDGsに関して、様々な分野で関わっているという立場からSDGsのいまについて話しました。

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 改めてご存知の方も多いと思いますが、SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の略で、世界共通の社会問題解決の目標として注目されています。最近では、企業や行政がSDGsに取り組んでいるとしてロゴマークを見ることも多いです。17個のゴールについても簡単に説明があり、SDGsはただのスローガンではなく、定期的にモニタリングするシステムもあって指標としてターゲットが定められていることがわかりました。これらを踏まえて、既存の取り組みをとりあえずSDGsに当てはまったら良い訳ではなく、SDGsを通して自分の取り組みに何が足りていないのかを整理する指標にするべきだと説明がありました。

 また、世界共通の目標ということで、地域や国によって注目されるゴールが違うことも特徴としてあり、コンセプトは「誰一人取り残さない社会」とされています。誰1人とは具体的に誰なのかということですが、ここが状況によって残される人がそれぞれの人によって解釈が異なっているということが私たちにとってSDGsの理解を難しくしているとのことです。貧困家庭や車椅子の人...SDGsは一つの視点に縛られないことが必要です。ここで例として、日本の教育について説明されました。日本は教育の分野でSDGsでは、世界的に見て高い評価がありますが、私たちの普段の教育活動に目を向けるとコロナ禍で本当に質の高い教育が担保されているのかと言われたら、日本で教育を受ける身からすると完璧だとは言えないと思います。

 他にもSDGsの包摂性の重要性を説明されました。どれか一つだけを切り取るわけではなく、相互性や繋がりを理解する必要があるということです。

 また、私たちの住む滋賀県内での認知度や理解度は80%を超え、普及・啓発をする時代は徐々に終わりつつあることを挙げ、これからは行動していかなければならないというお話がありました。そのためにどのような政策や企画、ムーブメントを作っていくかを上田さん自身としても考えているそうです。
 上田さんから、なぜ私たちがSDGsを行動に移すことが難しいのかについて、SDGsに関する2つの思考法の違いについて説明がありました。

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 SDGs思考はバックキャスティング。私たちの行動はフォアキャスティング。実現したい未来から逆算して現在を考え、現在を起点に一歩ずつ実現したい未来に向けて足元を見ながらコツコツ行動する。この矛盾するふたつの思考法に戸惑う人が多いけれど、これができると社会課題の解決に向けて「トランスフォーム(変革)」できるといいます。

 ここからSDGsで行動するとは?という次の問いとして立命館大学・教授の山中司先生へバトンタッチしました。

第2部|SDGs表現論

 立命館大学・教授の山中司先生からは「SDGs表現論」というタイトルで、SDGsに取り組むスタンスを教えていただきました。「SDGs表現論」は、立命館大学の一般教養科目として2019年秋から開講されており、その後JMOOCのオンライン授業や書籍として展開されています。

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 New Normal、VUCA(Volatility,Uncertainly,Conplexity,Ambiguity)という言葉をあげて、「21世紀はどうなるかわからない」という言葉からスタートしました。しかし、こんな時代でも成功する人がいる事実を無視してはいけない、問題は自分がどう行動するかだとお話しされました。

 英語の教員という立場から、「移民はネイティブのように英語を話せるわけではない」という例を用いて、大人はどんなに頑張っても若者の発想はできない。だから若者が大人にはない発想で行動して欲しいと若者まちづくり課に参加した学生へのメッセージとこのセミナーへの想いを伝えました。

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 SDGsに取り組むということで、山中先生のお話ではいくつかキーワードが出てきました。

アジャイル」:とりあえずやってみて不具合があったらすぐにアップデートする。つまり完璧になる時まで待つのではなく、思い立った時にやってみる。そしてやりながら直せばいい。
プロジェクト」:やりたいことを具体的に決めてプロジェクトとして実行する。プロジェクトは一つに決める必要はない。やれる人は全部やる、広く深くが大切。何をやるかと言えば興味・関心のあることをやったらいい。それは全部SDGsに繋がっている。

 つまり、SDGsに取り組むとは態度こそが本質だと山中先生はおっしゃっていました。「発言なしは存在なし」「アピールしてなんぼ」「人と同じではならない」とどのメッセージもとてもインパクトのあるものですが、山中先生のお話しを聞いているとどれも納得してしまいます。例えば、今できることをやろうというとき、山中先生はこんなことをおっしゃっていました。「船が沈みそうな時、あなたはどうしますか?何もせずただ考えるのではなく、とりあえず浮きそうなものに捕まってみたりしますよね。」今、私たちの目の前にある社会課題やSDGsに取り組むことへのハードルを感じてしまいがちですが、そう考えると取り組むことが当たり前の選択肢としてあり、あとは私たちがそれをどんな態度でどう捉えるのか次第なようにも感じました。

最後に

 最後までお読みいただきありがとうございました。
 今回は、会場に約30名、オンラインで約20名の方にご参加いただきました。参加者の皆さんは上田さんと山中先生の熱いお話に釘付けになっており、SDGsに向けて行動してみたいという想いを持った方も多いのではないかと思います。全3回のキックオフセミナーでは、学びの部分が多かったのですが、これから若者まちづくり課では、実際に地域で行動する機会を提供していきます。今後もnoteなどSNSで発信していきますのでぜひチェックしていただければ幸いです!

※本セミナーはSDGs表現論のダイジェストとして行われました。興味を持たれた方はぜひ参考文献も合わせてご覧ください。参考文献はこちら

湖南市若者まちづくり課の詳細はこちらを参照ください。

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