オッペンハイマー

ようやく観ました。クリストファー・ノーラン監督の最新作、映画館でちゃんと観れて良かった。

オッペンハイマーに対する査問委員会みたいな場面と、彼を陥れたロバート・ダウニー・Jr演ずる軍人出身の政治家に対する、大臣就任に向けた聴聞会の場面の二重構造。複雑だけど、一応理解はできた。
最近、こういう複雑な作りの映画を良くみる気がします。

アメリカの原爆開発は、最初はナチスドイツに勝つため、ドイツが先に降伏すると、日本に勝つため、と理由が変わったんですね。

オッペンハイマーを演ずる俳優、あれ、見たことあるなと思ってたけど、キリアン・マーフィーというダークナイトシリーズで、危ない精神科医をやってた個性的な人ですね。難しい役柄を演じきっていて、良かったです。

一番印象的だったのは、オッペンハイマーの妻を演じたエミリー・ブラントでした。激しい気性で、夫を叱咤する。偉大な科学者も、奥さんの尻にはひかれるんですね。

公開前に、日本での原爆投下の場面がないことに一部批判がありましたが、映画をみると、ストーリーの流れからして、オッペンハイマーは後になってその惨状を知るということなので、違和感は感じませんでした。

広島での原爆投下の後でしたか、オッペンハイマーが沢山の聴衆に歓喜の下迎えられるシーンがありましたが、当時のアメリカでは、原爆を開発して日本との戦争を終わらせた彼はヒーローということが分かりました。

さらに、情け無くなるのは、原爆投下の場所を決める会議で、「京都は新婚旅行で行って、素晴らしい街だったから、あそこは外せ」などという政治家の発言。そんな軽いことで、沢山の命の帰趨が決められたんだ〜、って。

やっぱりアメリカは戦争に勝った国で、日本は負けたんだって、見たくない現実を突きつけられますね。弱肉強食の国際政治の世界の厳しさが突きつけられます。

色々いうても、やはり強い者がやりたい放題やる、というのが、悲しいながら現実。私たちも、下手すると、中国語が公用語の国になっちゃうかも(笑)真面目に安全保障についてリアルな現実を直視した上で考えさせる映画と思います。



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