駅馬車
ジョン・フォード監督による西部劇の名作としてあまりにも有名。昔買ったDVDをようやく観ました。
専門的にはカットがすごいとか、色々と見どころがあるようなのですが、確かに、白黒の映画ですが迫力のある映像です。
ジョン・ウェインも、若々しくて精悍でカッコいいです。
脚本も見せ場を盛り上げる作りです。アパッチ族によって別の町などが次々とやられたという報が寄せられ、彼らが近付い来るという恐怖感が後半に向けて段々と強められます。
駅馬車に乗り合わせる乗客たちも、様々なキャラクターの面々です。アル中の中年医者、ウイスキー売りのオジサン、金持ちの嫌みな商人、貴婦人、貴婦人に色目を使うあやしげなギャンブラー、娼婦に加え、そして逃走中の伝説のガンマン、リンゴ・キッド(ジョン・ウェイン)が途中から駅馬車に乗り込みます。休憩のときにも、娼婦を席を一緒にしたくないという差別意識をもろだしにする人もいれば、娼婦をさりげなく助けるキッド。やっぱり、ご婦人を守るのが西部男なのだ、というアメリカの文化なのでしょう。
後半では、駅馬車がアパッチ族に襲撃される最大の山場を迎えます。もちろん、CGはありませんが、なかなかの迫力。駅馬車を疾走させながら、馬にのって追いかけてくるアパッチ族の戦士たちと、矢とライフルや銃で激しい戦いが繰り広げられます。馬から転げ落ちるアパッチたちも、実際に演じていると思われます。マッドマックスー怒りのデスロードーでの走るトラックを追いかけながら戦うシーンは、どうやら駅馬車の戦闘シーンの影響をうけたものだろうということに気付かされました。
最後には、駅馬車がアパッチ族との戦いをしのいで次の町につくと、リンゴ・キッドを待ち受けていたならず者3人とキッドとのガンファイトがあり、クライマックスです。銃を撃ち合うシーンがあるかと思いきやそれはなく、ならず者とキッドが向き合った後、キッドはいきなり前の地面に飛び込み、寝そべった姿勢からライフルで相手を撃ちます。
しかし、その結果は、映像では表現されず、ただ、キッドを待っている娼婦のところに、キッドが無事でやってくるというシーンによって決闘の結末を観客は理解する。なんとも憎い映像表現ですね。
ストーリー展開、会話、アクションの迫力、さりげなくくどくない映像表現などなど、どれをとっても見事な映画です。