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ロシアの教育改革から学ぶ、選ばれる保育園に求められる【3つの力】

 はい、みなさんこんにちは!男性保育士のRyU先生です。今回のアウトプットのテーマは「ロシアの教育改革に学ぶ、選ばれる保育園に求められること」です。深いテーマですねー。

 今回のインプットは大妻女子大学文学部 コミュニケーション文化学科 教授 森岡 修一先生の『ヴィゴツキーの文化・歴史的理論とロシアの補充教育』を参考文献とさせて頂いています。論文として書いている訳ではないので正式な参考文献の記載の形式でない事はご了承ください。

<これからの選ばれる保育園に必要な【3つの力】>

 まず変えられない事実として、これから少子化の波を受け、昨今乱立とも取れる速度で待機児童の受け皿として新設される保育施設が多々ありますが、あるX点で必ず飽和状態となり利用者が選択し、選ばれなかった施設が淘汰されていく時代が来ます

 その際に求められることが世界を意識した【3つの力】に焦点を当てた保育活動・プレ教育が実施されているかどうかにあるのではないかと思っています。つまりこれからの保育園に求められるのは子どもが将来的にグローバルに活躍できる様な視点での、発達・成長への導きということになるでしょう。

 ではその、グローバルに活躍する為のキーワードとは何かというと、昨今教育改革の中でも取り上げられている「読解力」、「アクティブラーニング」、「協同的問題解決能力」の【3つの力】であると考察されます。

 噛み砕くならば、近年低下が問題視されている「文章を読み解く(他者の意図を正確に捉える)力」、子どもが自ら課題を選択しそれについて主体的に学びを深める「能動的に学習をする力」、友達やグループワークなど「協力をして学びを深めていく力」が求められているのだと解釈して差し支えないと思います。

 「そんな難しいことを保育園や幼稚園でできるものか!?」と思いますか?それは大きな間違いです。こうした力の基盤となる成長と発達を見据えた活動というものは、本来行われていくべきであり、現状も保育者ですら理解できていないだけで日々の活動の中で基盤となる力はしっかりと育まれています。

<保育者の意識が子どもの未来を広く開く鍵>

 例えば読解力の基盤となる力の一つは「絵本を読む」ことで育まれます。乳児さんの頃から絵本の読み聞かせを聞く、絵本に興味を持って、幼児期になってひらがなが読めるようになると、自分の好きな絵本を自分で読み進める。こうした経験が多い子ほど、後に読書量が増え、「読解力」が高くなりやすいと言われています。

 主体的な活動とはつまり、子どもが自分で遊びを選んで楽しんだり、製作や音楽表現などの活動を子どもが主体となって行うことです。カリキュラムによって与えられた活動は、子どもの経験は確かに増えますが、学びの面では不足があることがあります。そこには保育者の力量なども関わってきますが、受動的な活動と、自ら選んで課題に立ち向かう「能動的な活動」とが子どもに与える影響や経験値には大きな差があります。

 また、乳児期の保育者を介した共同製作などで皆で作る喜びを味わい、幼児期になればグループ活動などが始まります。4,5歳児であれば子どもだけの協同製作をしたり、発表会の演目を話し合って決めることも保育者の最低限の援助があれば可能です。また、お友達に何かを教える、自分の得意なことを小さい子にお手本となって見せてあげることでも学びはグンと深まります。
 そうした経験が、多くの日本人の課題となっている「ディベート(討論)」や「自己表現」に繋がり、そこに他者の価値観が混ざり合うことで「協力をして学びを深めていく力」が深まるのです。

 どうでしょう?難しい「読解力」、「アクティブラーニング」、「協同的問題解決能力」という単語を見ただけでは、さも難しい様に感じてしまいますが。保育士や幼稚園教諭が日々の生活や活動にこうした経験を取り込んでいることが理解できたと思います。

 ですが、意識的にそれらの機会を提供するのと、組んだ日案にたまたまそうした活動が含まれていたのでは、子ども達の学びや経験値に天と地ほどの差があるのではないかと思います。保育者の意識が子ども達の未来をより広く開く為の鍵となることを自覚しましょう。

<ロシアの教育改革から学ぶ~日本の教育改革の現状~>

 この論文を読んで思ったことは、今まさにロシアが行っている最中の教育改革。その問題提起となった補充教育の隔たりによる「教育格差」が、日本でも出てきている現状があり、少子化で子どもを預かる施設が縮小することが明らかな中で、保育施設、プレ教育施設において求められることは現行の保育活動に加えて先に挙げた【3つの力】を育む「補充教育の充実」となるのではないか?ということです。

 ただしこれには、選ぶ施設によって教育格差がより拡大するというリスクが残っており、それを解決する為には所得や補充教育に対する意識の差を無くすことが必要です。つまりはロシアの様に国を挙げた抜本的な教育改革が必要であるということになります。

 こうした問題に対して日本も危機意識を持っており同時期に改定された「保育所保育指針」、「幼稚園教育要領」、「幼保連携認定こども園保育・教育要領」では小学校だけでなく高校生の学びの基盤をも見据えた、基盤となる活動を取り入れることが大切であるとそれぞれに盛り込まれる様になりました。

<ロシアでは「教育格差の撤廃」に国を挙げて取り組み続けている>

 ロシアではそうした世帯収入や塾、習い事による普通教育に加えた「補充教育」の格差が、教育格差に繋がっている状態にあるとしました。それらの問題に対して様々な機関からの提言もあり国として、格差の撤廃に向けて2014年には教育への予算案の改正が行われ、子どもの補充教育の地域発展プログラムの作成など、教育改革が推し進められています。

 現段階は教育改革の過程の第一段階『構想』段階が完了した状態であるとされており、すでにロシアは更に一歩前進をした第二段階に足を踏み入れようとしています。それは『構想』という、国家の方針を定め基盤を作り上げる施策を継続し、十分なモニタリングを行いながら調整をしていく段階です。

 構想とは国の教育改革における「骨格」と表現をしており、そこに教育制度の見直しや、地域水準や所得格差による補充教育の隔たりのないインフラの整備や、補充教員の育成など「血液」や「肉体」といった物を具体化していくことが重要であると締めくくっています。

 このようにロシアでは子どもの平等的な補充教育の普及、それに伴う補充教諭の育成や普通教諭の再教育プログラムにも力を入れている状態にあり、教育改革の進度としては日本は後れを取っているのではないかと感じました。

<まとめ>

 今回はロシアの教育改革から、今後予想される保育施設に求められるであろう【3つの力】について考察し、少子化で保育施設が縮小される時に、保護者から選ばれる「生き残る保育園」を実現する為に必要な意識うことにも言及してみました。

 正直、この論文自体が継続的な教育改革の変遷を辿る研究の総括のような位置づけだったので、内容にはほぼ触れていません。もし、より詳しくロシアの教育改革の内容などについて学びたい方は参考とした論文に目を通してみてください。

 では、また学ぼうね!



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保育士りゅう先生

 保育士りゅう先生(「RyU先生」で子育てに関する記事の執筆を依頼を受けてしていました)

 保育現場で5年間正職員として働き、学生時代やライター活動時にも子どもとの関りがあるアルバイトをしていました。

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