株主総会レポ(6197 ソラスト)

有給をとってソラストの株主総会に行ってきた。
株主総会にαはないと思っていたが、最近の株価の下落に目をつぶれなくなったので、他の株主はどのように感じているか温度感を確認したく参加してみた。
単純に理由をつけて仕事を休みたかったのもある。

※以下のレポートは発言を筆者のメモを元に再構成したものであり、不正確な記述がある可能性があること、同社の株式売買を推奨するものではないことを念のため申し添えたい。誰かに怒られたら秒で消す予定だ。


1、会場まで

 よく株主総会で株主から出る文句に、「会場までの道がわかりづらい」「webでやってほしい」「水も出ないのか」がある。

品川駅の改札を出ると、株主総会の案内ボードを持ったスタッフさんがいた。ボードを持った何人かのスタッフさんとは目が合い思わず会釈してしまった。暑い中大変な仕事だと思うしとてもありがたい。隅々まで網羅されているわけではないが、会場にたどり着くための補助としては十分だろう。
もちろんお水とお茶の準備もされていた。
陰湿株主総会おじさんもこれにはニッコリだろう。

2、報告事項

 代表取締役からの挨拶、監査役からの報告のあとに決算説明ビデオの上映があった。決算は計画対比マイナスで着地したが、理由は人件費増、M&AによるPMI(経営統合プロセス)の遅れによるもの、収益性の低下した介護事業所の減損とされていた。
 このあたりは経営資料に記載の通りで正直真新しい話はなかった。(当たり前か)
 今年度中に中期経営計画2025、2030はそれぞれ見直し予定とのこと。

3、株主からの主な事前質問

1、株価が上がらないが上げる努力をしているのか

A、心配をおかけし申し訳ない。遺憾に思っている。株価上昇には業績向上とIRが重要と考えている。医療介護新規取組の各事業に力を入れるとともに、株主との対話を継続していく。
→模範解答だなーと思って聞いていた。質問を潰された株主もいるのではないだろうか。

右肩下がりのチャート。コロナ補助金の剝落で下げているような感じだろうか。


2、女性活躍に向けた取り組みを聞きたい

A、当社は人材の多様性を重視している。女性が職員の9割を占めている。管理職、執行役ともに各社の平均を上回る水準となっている。将来的には役員の社内登用につなげていきたい。
→正直この会社にとってはどうでもいい質問だった(失礼)
 女性が活躍する会社だと思うし、そのうち役員登用されるスタッフも出てくるだろう。

3、具体的にどのような成長を考えているか

A、(執行役より)当社はこれまで国公立病院(以下、あえて公的病院と表記する)の医療事務受託が主な事業だった。今後は民間、クリニックに広げていく。民間病院、クリニックの市況は4倍の市場となっている。特にクリニックは医師を組織的にサポートする体制ができておらず、急な職員の退職に対応できず、人材不足に悩んでいるところもある。そういったニーズに医療事務採用力、育成のノウハウ、リモート等を使って対応していきたい。
→公的から民間へとうたう会社はあまりうまくいっていないような印象を受ける。例えば電子カルテベンダーのソフトマックスが民間、クリニックへ展開をはじめたのは同社のカルテが公的病院に馴染めず、ソフトウェア・サービスにシェアを奪われたことが一因だし、うがった見方かもしれないが公的病院事業があまりうまくいっていないのではないのか。(採算の悪化、公的病院の求める仕様の充足が困難等)
とはいえ、医療事務は談合が起きるような寡占の業界で参入障壁も高く、需要もあるので民間・クリニック回りで十分売上が見込めるだろう。トータルで見れば成長可能性に疑いはない気もするが、公的病院の医療事務受託の状況については今後も注視していきたい要素だ。

4、株主からの質問

1、85のおじいさん

Q、昨年総会に出席しようとしたが、病院の検査と被ってしまったため質問書を送付させていただいた。
 ①自社株買いのお願いをさせていただいたが、速やかに処理をしていただきありがたい。一昨年の秋から株価は下落を続けているが企業の歴史ではよくあること。短期的な状況なので、今後は是正されるだろう。着実な業績をあげてほしい。
 ②他社との提携推進はどうか。SOMPOホールディングスはニチイも子会社になっているしどうだろうか。
 ③介護事業において外国人材の活用を考えたらどうだろうか。渡航費などを補助して呼び込むのはどうか。
(体感5分程度しゃべり続けていた、筆者による要約)

A、貴重なご意見ありがとうございます。要約すると自社株買いの推進、他社とのアライアンス、介護事業における外国人人材の活用と受け取りました。3つは貴重な意見と考え、真摯に対応していきたい。

→ひたすらに長かったが、ただ話の長いおじいさんと違い、論理構造に破綻のない言葉を紡ぎだしていた。
それゆえに議長も質問を途中で切ることなどをせずに最後まで聞き届けたのではないか。
きっと現役時代は要職につかれていたのだろう。なんのカンペもなしに正直この年齢でこれだけしゃべれることに驚嘆していた。
適度に嫌味も混ぜながら端的に要約する議長も見事だと思った。
こういう名物おじいさん、毎年来ているのだろうし、来なくなったら心配になるから元気でいてほしいものだ。

2、おにいさん

Q、増収増益のためにクリニックに営業活動を広めていくとあったが、進捗を教えてほしい

A、医療事業に携わって59年目になる。着実な経験をもとに学んだことを活用していきたい。4月から民間へビジネスの展開を始めたため、大きな進捗はない。しかし、特にクリニックを主たる顧客にする電子カルテ会社、開業医、コンサルから当社へ採用・派遣のトレーニングについて声かけをもらっている。市場における同分野のニーズがあると認識している。また、今後パートナーシップの締結を検討している。

→クリニックを主たる顧客にする電子カルテ会社(メドレー?)
 コンサル(標準型電子カルテの関連であればデロイト、アクセンチュアあたり?)だろうか。
 こうした会社とのパートナーシップは面白いし、実際実現して発表があれば株価にポジティブな影響があるのだろうか。株価を見てみたが全く反映がされていない。これが実地開催の面白さのひとつだろう。

HyperSBIより発言時刻付近の板と1分足チャート。
実地開催で役員の発言を受けて、脊髄反射で買ったり売ったりしたらαがあるのだろうか。

3、わたし

せっかく参加したし、このまま終わるのもなと思い質問してみた。
Q、2023年度の決算は人件費増でよくなかったと話がありましたが、診療報酬改定、介護報酬改定の影響も考えると、人件費増はこれからが本番になってくると思う。今後の人件費増を吸収するための取り組みを教えてほしい。

A、人材不足ならびにそれに伴う人件費増は広く社会で起きていること。
人件費増には2つの方策で対応している。1つ目は事業での吸収。労働生産性をあげてコストを削減していく。2つ目はお客様に負担をお願いすること。契約更新の際になるが、値上げの交渉を行っている。着実に値上げを推進して収益を拡大していく。

→あがり症なのでマイクを持つと震えてしまう・・・
 場慣れするためにあえて質問しているが、聞き苦しかったら申し訳ない。
 よくない質問だったのでかわされてしまった感じだ。
 値上げ交渉については何号か前の四季報にも記載があった。
 前の質問のように各医療機関への値上げ交渉の進捗を尋ねるなど、具体的な内容に踏み込んだ質問をすべきだったと思う。
 色々反省すべき点が多いが、いい経験にしていきたい。

これで質疑応答は終了。
議案を成立させ、退任役員、新任役員の紹介を済ませて株主総会は閉会となった。

5、まとめ

 株価の推移の割に全然荒れなくてびっくりした。もしかして長期投資家が多くて含み損がさほどないのか、100株ホルダーばかりなのだろうか。
 もっと株価の低迷について株主も役員も言うのかと思っていたが、事前質問のところで完結してしまったような感じがある。
 85歳のおじいちゃんが言うように「今の下落は短期的なもの」と捉える向きが多いのだろうか。
 しかし、今年度中に中期計画の見直しを行うと話があった通り、今の状況が続けばポジティブな形での見直しは期待できないだろうし、大変な状況が続くことに変わりはなさそうだ。

ソラストについて(2024年5月版)より抜粋。

 とはいえ、パートナーシップの締結を検討しているという言葉に釣られて株を買い増してしまった。
 買い増した分は、そこまで長期的な時間軸は想定しておらず、イベントドリブン的なトレードにしていくつもりだ。これでお小遣いになればよいが・・・


株主の温度感をつかむことができたし、たまには株主総会に出てもいいのかもしれない。
できればお土産のあるところで(笑)
今回のトレードがうまく行けば、どこか他社の株主総会へ行くことも考えたい。
ではでは。


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