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【書評】川田浩志『世界一効率がいい 最高の運動』

最近、運動・筋トレで注目されているトレーニング法、HIIT[ヒット]。
一度は耳にしたことがある方が多いのではないでしょうか。

HIITは短い時間で最大限に筋肉に負荷をかけることができ、今回紹介する本のタイトルにもあるように『世界一効率のいい』トレーニングです。筋トレの時間を短くできるので、普段仕事や家事なので忙しくなかなか時間の取れない人におすすめです。

健康を維持するためには、睡眠、食事、そして運動がとても大事になります。ビジネスで成功されている方も運動・筋トレの重要さを訴えている人が多いです。生活の質、仕事の質を向上させるために、ぜひこの『世界一効率がいい 最高の運動』を参考に、日々の生活の隙間時間に運動を取り入れてみて下さい。

今回は、本書でおすすめされているトレーニング法『HIIT』のメリットや、そもそもなぜ運動が必要なのか等、紹介していきます!

本書の基本情報

基本情報

タイトル:『世界一効率がいい 最高の運動』
著者:川田浩志(東海大学医学部内科教授)
出版社:かんき出版
価格:1,500円+税
ページ数:238p
ISBN:978-4-7612-7425-2

押さえておきたいポイント

医学的な立場から見た「運動」のメリット

健康のために「運動」が重要なことは、もう散々言われてきていると思うのでよくご存じかと思います。
医学の世界でも、「運動は万能薬である」と言われているらしく、つまりそれだけ運動は健康的な生活を送る上で欠かせないものと言えるでしょう。

ただ、「運動は健康にいいよ」と言われるだけではモチベーションが上がらないと思います。

なので、まずは運動する意味・メリットを知っておくことが必要です。
「運動にはこんなにいい効果があるんだ」と分かるだけで、多少モチベーションに繋がりますし、逆に運動をしないことが健康を脅かすことになりかねないという事実を知ることで、危機感を持って取り組むことができるかもしれません。

ということで、本書で紹介されている「運動の効用」を簡単に紹介していきます。

運動の主な効用
・ダイエット効果がある。

・肥満、心臓病、脳血管疾患、成人型糖尿病、骨粗しょう症になる可能性を低下させ、死亡率を確実に減少させる。

・がんにかかりにくくなる。

・善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールと中性脂肪を減らす。

・血管年齢が若返り、血圧を改善させる。

・脳の神経細胞を作り出し、認知症リスクを低下させる。

・若さを保つ上で重要なホルモン(成長ホルモン、テストステロン等)の分泌が維持される。

・持久力が上がり、疲れにくくなる。

・基礎代謝が向上して、太りにくくなる。

様々なメリットがありますね。上記は運動の効用の一部です。
本書では各項目について科学的エビデンスを用いながら、もう少し詳しく説明されています。信頼性の高い情報です。

運動は健康的な生活を送る上では必須です。体力向上だけでなく、認知機能や集中力の向上にもつながり、仕事や勉強においても高い効果を発揮することが分かっています。

HIITをおすすめする理由

「健康のために運動しないといけないことはよく分かったけど、そうはいってもやっぱり仕事や家事で忙しくて時間が取れない!」
という方もたくさんいらっしゃるかと思います。

実際に、2015年に内閣府が行った調査で、直近一年間に運動をしなかった人が最も多く掲げている理由に「仕事が忙しくて時間がないから」を選択している人が42.6%いらっしゃいます。
現代人は、本当に忙しいですもんね。8時間+残業を終えてすでにクタクタで、運動する時間も気力もないというのはよく分かります。自分もそうだったので。

そんな時間的拘束によって運動ができないという方に、本書で紹介されているトレーニング法『HIIT』が非常に有効なのです。

HIITとは何なのか、どのようなトレーニングでどのような効果が得られるのか……それを簡単に紹介していきますね。

HIITとは
High Intensity Interval Triainingの頭文字をとったもので、「高強度の負荷のかかる運動と休憩を短い間隔で繰り返すトレーニング」
のことです。

HIITの特徴は
「一定時間だけ集中的に高い負荷をかけ、一定時間休み(もしくは負荷を低くし)、再度負荷をかける。これを非常に短いピッチで繰り返す」
というところです。

高強度かつ高速で運動することによって筋肉が疲れるだけでなく、息が切れます。「息が切れる=酸素を取り込もうとする状態」であり、持久力アップを見込めます。
HIITは筋トレなどの無酸素運動とジョギングなどの有酸素運動とのいいところどりができる運動なんですね。最大酸素摂取量に関わるミトコンドリアの量を増やし質を高めるとともに、心肺機能も高める効果があると言われています。

筋肉をつけることと、持久力を上げること、有酸素運動と無酸素運動の両方のメリットを得られる画期的な方法なのです。しかも、「20秒動く→10秒休憩→20秒動く→10秒休憩…」というのを約4分~8分程度行うだけで十分に筋肉を追い込むことができ、効果を得られることができます。時間効率もとてもいいトレーニング法です。

HIITのメリットをいくつか紹介します。

HIITのメリット
➀短時間で高い効果を得られる
⇒「1分のHIIT」は「45分の持続的運動」と同様の効果があることが研究から分かっています。

②アンチエイジング効果
⇒ミトコンドリアのエネルギー産生を活発化し、血糖値を下げる遺伝子をより発現させる効果。遺伝子の読み取り方(発現)が変わる。

③敏捷性が上がる
⇒HIITは敏捷性に関わる速筋も効率よく鍛えられる。速筋は加齢により衰えやすい。

④ダイエット効果
⇒食欲を抑える効果
⇒アフターバーン効果(エネルギーとして脂肪が優先して使われる)
⇒脂肪を燃やし、筋肉の発達も可能になるため、リバウンドしにくい。

⑤死亡リスクを下げる
⇒座りっぱなしはテロメアを短くし、死亡リスクが高くなる。短時間のHIITでそれを防ぐことができる。

⑥血糖値を下げる
⇒HIITを行うことで、血糖値に影響を及ぼすといわれる「最大酸素摂取量の増加」と「細胞へのグルコースの取り込み促進」に期待ができる。

⑦高血圧を防ぐ
⇒6秒間のHIITを10セット行うだけで、収縮期血圧が9%も低下。

⑧善玉が増え、悪玉が減る
⇒HIITが悪玉コレステロールを有意に低下させるという研究結果やHIITはより善玉コレステロール値を上昇させるというメタ解析結果が報告されている。

⑨認知機能の上昇
⇒有酸素運動が脳細胞を増やす。情報処理スピードが上がったという研究結果もある。

⑩結果が出やすく継続性が高い
⇒時間効率がよく、刺激が変わり、かる挑戦的な要素がHIITには含まれているため、楽しんで取り組める。

いかがでしょうか。筋力アップだけでなく、持久力の向上、認知機能の向上、ダイエット効果、美容効果まであるとなってはやらない手はないでしょう。しかも、HIITは他の運動と比べてかかる時間が少なく、楽しんでできると言われています。

HIITはジムなどにある専用器具を使って行うこともできますが、器具を使わず自宅でも気軽に行うことができます。本書では自宅でできるトレーニングを中心に紹介されているので、ぜひ参考にしてみて下さい。
今まで継続的な運動に挫折してきた人も、ぜひHIITで運動習慣を身に付けていきましょう!

HIITの効果を高める食事術

運動がとても大事で、中でもHIITは非常に高い効果があるという事は分かったと思います。しかし、「運動」だけでは筋肉はつきませんし、必要以上にカロリーを摂取していたらダイエットにもなりません。

運動効果を得るには栄養が必要です。つまり食事もある程度気を付ける必要があります。

本書ではHIITの効果を高める食事として、「地中海食」をおすすめしています。

地中海食の特徴
➀オリーブオイルをよく使う。

②旬の野菜や果物を毎食食べる。

③主食となるパンやパスタには全粒粉を使う。

④魚と肉と豆類をバランスよく食べる。

⑤ハーブやスパイス、ニンニクなどをよく使う。

⑥ナッツや種(タネ)類をよく食べる。

以上が地中海食の特徴です。これらを意識して日々の食事に取り入れていくとよりHIITの効果が高まるでしょうし、さらなるダイエット効果も期待できます。

本書では、なぜ地中海食がいいのかについて、科学的な根拠も示されていますので興味のある方は是非読んでみて下さい。

まとめ

HIITの素晴らしさが伝わったならなによりです。

私自身もなかなか忙しくて筋トレの時間が取れないことに悩んでいましたが、HIITの存在を知ってからは1日約10分程度のトレーニングを継続して行えるようになりました。時間が短いからと言って、強度は高めなのでもちろんしんどくはあるのですが、10分なら何とかなる!と思えるので、続けられています。

HIITは多忙な現代人にとって、とても効率の良い画期的な方法であると言えます。
ぜひ、日々の生活にHIITを取り入れて、健康的で活力のある日々を過ごしましょう!

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