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アロマンティック/アセクシュアル(Aro/Ace)にも多様性があるという話。

11月1日、Twitter【Aro/Ace調査2020(@aroace_survey )】で『アロマンティック/アセクシュアル・スペクトラム調査2020 概要報告』がされました。

今回は、その調査結果から、私の個人的な感想を少しだけ書いていこうと思います。

ここで使われる用語
アセクシュアル(Aceと表記)
性的に惹かれない、性的な魅力を感じない、性的欲求/性欲が他者に向かない(説明によっては+恋愛感情がない)
アロマンティック(Aroと表記)
恋愛的に惹かれない。恋愛感情を抱かない。
デミセクシュアル/デミロマンティック
他者と情緒的につながり(信頼関係)がある場合のみ性的/恋愛的に惹かれることがある。
グレイ(ア)セクシュアル/(ア)ロマンティック
セクシュアルとアセクシュアル/ロマンティックとアロマンティックのどこかに位置するあり方。
リスセクシュアル/リスロマンティック
性的/恋愛的に惹かれるが、その感情を返してほしいとは感じない、またはパートナー関係になることにこだわらない。
性自認
自分の性別に関する認識、捉え方。
性的指向/恋愛的指向
性的/恋愛的にどの性別に惹かれるのか、惹かれないのか。
性的に惹かれる
性的な魅力を感じる、他者に性行為欲求を向ける。

*Aro/Ace調査2020さんの資料からそのまま引用しています。

調査結果から見るAro/Aceの多様性

性自認

性自認は、自分の性別をどう捉えているか、ということです。
恋愛的/性的に他者に惹かれない、というアロマンティック/アセクシュアルの方は、自身の性別をどう捉えているのでしょうか。

〇出生時の性別と、現在自分が捉えている性別が「一致」しているか☟


〇出生時の性別と現在の自分が捉えている性別が「一致」してるか
⇒「思わない」、「分からない」人


性自認が一致している人が多いのは結構意外でした。
アロマンティック/アセクシュアルの人は、もう少しXジェンダーの人が多いイメージを勝手に持っていましたが、そういうわけではなさそうですね。

ちなみに、私はアセクシュアルのXジェンダー(中でも無性)自認です。
Xジェンダーを自認している理由は、性別や「男らしさ」「女らしさ」に縛られたくないという思いが一番にあります。また、恋愛的/性的に惹かれないということから、自分は男性ではない気がすると思ったのも理由の一つです。
自分の場合、アセクシュアルであることがXジェンダーと結びついていた感じなのですが、よく考えればそれだけではないですね。性自認が一致しようと、恋愛的にも性的にも他者に惹かれない可能性は大いにあります。少し考えてみれば当たり前のことなのですが、自分の考えだけになるとやはりこういう偏った思考をしがちです。

「どちらも使わない」という回答がXジェンダーに次いで多い点も興味深いですね。男性でも女性でもない、だけどあえてXジェンダーという言葉を使わず、「どちらでもない」と表現する方もいます。これは、Xジェンダーの認識の違いや用語の認知度が関わっているように思います。
「男でも女でもない=Xジェンダー」と安易に決めつけてしまう事は危険だと思いました。

恋愛的指向

〇「付き合いたい」と思うことがあるか×恋愛的指向☟


〇独占したいと感じるか×恋愛指向☟


これは、とても興味深い結果でしたし、個人的にはこの結果に少しほっとしました。
恋愛的に惹かれないアロマンティックの方でも、「付き合いたい」と思ったことがある人がいる、というところに注目したいです。自分自身も「恋愛感情が分からない」という理由でアロマンティックを自認していましたが、ぼんやりと「この人と生きていきたいな」と思ったことはありました。でも、これを恋愛感情と呼べるのか、と考えたときに、どうしてもそう言い切れない自分がいました。
相手に対するこの気持ちは恋愛感情とは違うかもしれないし、性的欲求を抱くわけでもない。でも、一緒に居たいと思う。
こんな感情は時々持っていました。
なので、アロマンティックの中でも付き合いたいと少しでも思う方が少なからずいるようで少し安心しました。
「恋愛感情」をどう定義するかによって変わってくるような気がしますね。自分はやっぱり恋愛感情というのをまだはっきりと自覚できずにいます。でも、「一緒にいたい」という自分の気持ちは大切にしてあげてもいいのかなと、この調査結果から思えるようになりました。

性的指向と性欲

〇自分に”性欲”があると思うか☟


これに関しても、個人的には安心感を覚えた結果でした。
「アセクシュアル」を自認していると、なぜか「自分は性欲を持ってはいけないんだ」と自分に謎の抑圧をしてしまってることがありました。それは、時に罪悪感につながることもありました。
アセクシュアルは”他者に性的に惹かれない”だけで、性欲がないとは言っていません。ここを勘違いしないようにしたいなと思います。アセクシュアル自認でない方は、”性欲がない”という勘違いをしがちだと思うので、それは「人によって違う」ということを理解してもらう必要があるなと感じました。

〇他の人と性行為をしようと思うことがあるか×性的指向☟


〇他の人を性的な意味で魅力的だと感じたことがあるか☟


〇性的な意味で魅力的だと感じる際、その人と性的な行為をしたいと思うか×性的指向☟


アセクシュアルでも、性行為をしようと思ったことがある方が一定数おられるようです。
「アセクシュアル=性的に惹かれない=性行為ができない」
と思っている方がいらっしゃるようですが、必ずしもそういうわけではありません。
アセクシュアルの方の中でも性嫌悪を抱いていない方もいらっしゃいますし、「好きな相手の気持ちを尊重して」「子どもが欲しいから」「純粋に身体的なつながりを感じたい」などの理由・目的で性行為に前向きな方もいらっしゃいます。決して、必ずしも「できない」わけではないという事は理解してもらいたいなと思いました。
ただ、本当に性嫌悪があってできない、したくないと思っておられる方もいらっしゃるので、ちゃんと性行為に及ぶ際は合意が必要ですね。これはアセクシュアルに限った話ではないですが…。
「アセクシュアルだから」といって決めつけてしまわないようにしたいものです。

まとめ

今回は、特にアロマンティック/アセクシュアルの「性自認」「恋愛的指向」「性的指向」というところを見ていきました。

この項目だけでもかなりの多様性があることがデータから分かりました。
当事者の方には、アセクシュアルだから、アロマンティックだからといって、自分自身を縛り付ける必要はないということを伝えていきたいですね。そもそも、性自認や性的指向が揺れ動く(変化する)ことだってあり得ます。
同質性があることに安心感を覚えることもありますが、「違い」があることでも安心感が得られるのではないかと思います。自分自身、今回の結果でアセクシュアルの中でもかなりの多様性があることが知れて、ほっとしました。アセクシュアルを自認しているからと言って、自分の思う「アセクシュアル像」に縛られなくてもいいんだと思えました。

これは、アロマンティック/アセクシュアルに限った話ではありません。
シスジェンダーや異性愛者だったとしても、そこには多様性があります。
多様性を受け入れることで社会的に作られた「らしさ」から解放され、自分らしさを認められるようになり、自由に生きることができます。

今回の調査結果は個人的にはとても勇気づけられました。
同じ性自認や性的指向の中でも、こんなにも多様性があるんだということをもっと多くの人に知ってもらえたらいいなと思いました。

今回、調査してくださった方々、また調査に参加してくださった方々、本当にありがとうございました!!

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