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【書評】ケリー・マクゴニガル『スタンフォードの自分を変える教室』

今回は、アメリカの超有名大学スタンフォード大学で教鞭をとっておられる、ケリー・マクゴニガルさんの『スタンフォードの自分を変える教室』の紹介をします。

大学名が入っている本は、それだけで信頼性が高い気がして、ついつい手に取ってしまいます。実際に豊富なエビデンスを基に、自分を変える方法を提示されているので非常に信頼性が高いです。あのメンタリストDaiGoさんもよくお勧めしている本でもあります。

「自分を変えたい!」と思っていても、なかなか変えられない人が多いのが実際のところだと思います。この本は、様々な研究結果を基に書かれているので再現性が高く、且つ、実践しやすい内容になっているので、「自分を変えたいけど変えられないでいる」そんな人におすすめです!

今回は本書の中でも特におすすめな内容と、全体的な感想を書いていきたいと思います。

本書の基本情報

基本情報

タイトル:『スタンフォードの自分を変える教室』
著者:ケリー・マクゴニガル(スタンフォード大学心理学者)
出版社:大和書房
価格:1,600円+税(←単行本価格。文庫本も出ています)
ページ数:342p
ISBN:978-4-479-79363-2

紹介文

一度きりの人生が最高の人生に変わる講義
心理学、脳科学から経済学まで最新の科学を盛り込み、受講者の97%に影響を与えた「奇跡の授業」を完全書籍化!
『タイム』他全米各紙誌絶賛の世界的ベストセラー。

引用元:『スタンフォードの自分を変える教室』(本の帯より)

おすすめポイント

科学的エビデンスが豊富で信頼性が高い

本書の特徴は様々な実験・研究結果が豊富に載っていることです。

人間はどういうときに意志力が弱まるのか。
意志力が高まるタイミング。

など、心理学や脳科学などの知見を得た科学的エビデンスが充実しています。

疲れているとき、ストレスが溜まっているときに意志力が弱まる。

一度失敗してしまうと、もっとダメになりたくなる(どうにでもなれ効果)

良くも悪くも意志力は感染する。

以上のような意志力に関する情報がたくさん載っています。こういう時に意志力が下がりやすいから、このように対処したらいい、という事が実験結果から明確に示されているので安心して取り組めると思います。

モラルライセンジング

特に私が面白いと思った章が、第4章の「罪のライセンス」です。

ここでは「モラルライセンジング」について書かれています。
モラルライセンジングとは、良いことをした後に悪いことをしたくなる衝動に駆られることを言います。

例を挙げてみましょう。

寄付金の依頼を受けたとき、自分が以前に気前よく寄付したことを思いだした人たちは、そのような過去のよい行いを思い出さなかった人たちに比べ、寄付した金額が6割も低いという結果が出ている。

エクササイズをちゃんと行ったときには自分を「よし」と褒め、サボったときには「ダメ」とけなしていたりすると、今日はトレーニングにっても、明日はさぼる可能性が高くなる。

いかがでしょうか。「モラルライセンジング」のイメージなんとなくできましたか?

これは「良いこと」、これは「悪いこと」といったように、様々な行動に善悪の判断を持ちこんでしまうと、「良いこと」をした後に気分がよくなってしまって、少しくらい「悪いこと」をしてもいいやと気持ちが緩んでしまうのです。

ダイエットのために体を動かした後に、「今日は頑張った!」と自分に言い聞かせて運動で消費したカロリー以上のものを食べてしまう、という経験をしたことがある人いませんか?

良いことをした後は気が緩みやすい、ということを理解しておくだけでも、強い意志を保つのに効果があるかもしれません。

個人的に「モラルライセンジング」は教育の場面でも応用できると思っています。「良いこと」を褒め、「悪いこと」をしたら叱る、といったように機械的に褒めたり叱ったりする人が多いですが、褒めたことによって相手の気が緩んでしまうということを知っておくと、その後の対応がよりよくなると思います。そもそも、褒める、叱るという行為自体が相手の意志力を弱めている可能性もあるので、褒め方やしかり方についても見直すことが必要になるでしょう。

各章ごとにエクササイズがあり、取り組みやすい

意志力を高める方法が分かっても、それを実際に実践していかないと、本を読んだだけでは意志力は鍛えられません。

この本は以下のように各章の最後にポイントとエクササイズが載っています。

【マイクロスコープ】
・自分の「言い訳」を知る
・「あとで取り返せる」と思っていませんか?
・誘惑の「キーワード」を見つける

【意志力の実験】
・「なぜ」を考えれば姿勢が変わる
・「明日も同じ行動をする」と考える

各章のエクササイズをそれぞれ1週間程度続けてもらうと効果が出てくると思いますし、自分に合った方法も分かってくると思います。

とにかく実践あるのみです。97%もの人に効果があったと言われるエクササイズなので、効果が出ると信じて愚直に実践し、意志力を鍛えていきましょう!!

まとめ

人間はどういうときに意志力が低下してしまうのかというのがよく分かる内容でした。基本的に、何の対策もしていなければ人間は誘惑に抗うことができません。その事実を知れるだけでもとてもよい本だと思います。

自分の意志力を鍛えるのはもちろん、家庭や会社での教育でも非常に役に立つ内容だと思いますので、ぜひ色んなところで応用してみて下さい。

人はなりたい自分を思い描くのは得意ですが、それを実現する力は弱いです。この本を読んで、強い意志力を身に付け、「なりたい自分」を手に入れましょう!!

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