【第2回】 わたしは多趣味のはずだけど、もしかしたら無趣味かもしれない
第2回 お悩みリスナー:深村 千夏さん/セラピスト
(お手伝い:吉村 尚子さん)
〈お悩み資料室〉とは?
泖(りゅう)の「お悩み」をお手伝い1名と共に、様々なジャンルの方に直接聞いてもらいます。お悩みは「当日まで内緒」or「事前に公開」を選べます。他者はわたしの悩みや迷いをどんな風に捉え、どんな角度で思考するのか。または、思考しているのか。一緒に考え、あれこれと想像を膨らませます。たぶんお悩みは解決しません。代わりに、きっとなにかが優しくなるでしょう。どうか温かく見守ってください。
※2019年4月20日に公開されたものです
(左:りゅう 右:深村 千夏さん)
りゅう:はい、はじまりますよ~! 第2回〈お悩み資料室〉でございます! 第2回目のお悩みリスナーは〈お悩み資料室〉が立ち上がる瞬間を共にした、深村 千夏さんです。
深村&吉村:わぁ~~~い(パチパチパチ)!!
深村:いつもお世話になっております~。
りゅう:お世話になっております~。ここのところ週3~4日ペースで会ってますね(笑)。しかも、会うのはファミレスが多いという。サイゼリヤ大好き人間ですよ、私たち。
深村:今月でいうと何回来てるんだろうねぇ~(笑)。
りゅう:ほんとだねぇ~(笑)。あと、わたしはいつも深村さんを「ハーンさん」と呼んでるので、今回の〈お悩み資料室〉でも「ハーンさん」って呼んでもいいですか?
深村:はい、そうですね。わたしも、りゅうさんをいつも「チャーさん」と呼んでるので「チャーさん」と呼ばせていただきます。
りゅう:もちろん~! よろしくお願いします!
深村:なんか照れるなぁ~(笑)。
吉村:うふふ~!
りゅう:では、早速お悩みを聞いてもらいましょう。事前にポロッと公開してしまったのですが(笑)。それでも、やっぱりハーンさんにお聞きしたい! じゃじゃんっ! ”わたしは多趣味のはずだけど、もしかしたら無趣味かもしれない” です。ご存知の通り、わたし、多趣味だと思うんですよ。
深村:そうだね。色んなことに興味持ってるよね。
りゅう:でも、ふと気づいたの。趣味のほとんどが自分の表現活動に移行してるなって。まず「自分の趣味って何だろう」って考えた時にね、一つはスクラップブックを作ることかな~って思ったの。雑誌がすごく好きだから。直感で「これは!」って思ったページのものとか記事はスクラップして取っておいてるのね。これ、実はわたしが高校生の頃からやってるんですよ。最初はファッション誌のスクラップから始まって「これ可愛い。欲しいけど買えない」とか欲求の報われなさがスクラップブック作りに……。
深村:衝動をぶつけてたのね。
りゅう:そうそう。今はファッション誌もそうだけど、ライフスタイル誌とか、何かしら気になった雑誌のページは全部スクラップしてるの。これはね、長くスクラップしてて発見したんだけど……。雑誌ってプロの仕事がたくさん詰まってるなぁ~、って。服・文字・写真・デザイン・ライティング・企画・構成とかさ。それに気づいたら、ものすごく光り輝いて見えて、取っておかずにはいられなくなったんだよね。最初は純粋に自分の好きなものが詰まったスクラップブックを後で見て楽しむために作ってたのに、今は制作の情報採集が目的になってるところもあるから「これは趣味と言えるのだろうか」って思ったわけです。で、次にNBA観戦ね。
深村:チャーさん、好きよねぇ~(笑)。
りゅう:そうなの~。いつも観てるでしょう(笑)?
深村:うん、観てるわ(笑)。
りゅう:暇さえあれば、いっつも観てるんですよ。NBA。でもね、それもこの間、制作の方にベクトルが向かっちゃって……。何を作ったかっていうと、NBA選手の顔だけのイラストを描いた厚紙に割り箸をくっ付けて、割り箸人形にしたんだよね。実際は一人で遊ぶために作ったものの、表現者である自分が何かを生み出した時点で「作品」になってしまうんじゃないかって気付いたの。そのとき「うわ、いよいよ趣味の線引きが分かんなくなってきたな」って思ったんですよ。本を読むのも好きなんだけど、それも制作に活きてて。音楽も好きなんだけど、いつの間にかそれも制作に活きてて。っていうのがあって、どれが自分の趣味なのか分かんなくなったんだよね。「やばい、無趣味かも」って。自分の趣味を「仕事」って意識した時に、趣味のほとんどが「仕事」になってしまうんだよね。
(写真:NBA選手の割り箸人形劇場の様子)
深村&吉村:いい話じゃない?
りゅう:いい話なんだけどさ。世間では「わたしは無趣味だ」って落ち込む人もいるわけじゃないですか。たぶん、それに陥ってると思うの。あと、まだ見ぬ新しい「何か」に出会いたいのかもしれない。
深村:でも、世間一般的に「無趣味だ」って悩む人のポイントって「本当にない」からだと思うの。
りゅう:「本当にない」っていうのが、どういう状態なのか分からない……。
深村:たとえば、仕事しかやることがないとか、何か一つに偏ってる状態ってことなんじゃないかなぁ~。でも、チャーさんの場合は逆でさ。趣味がありすぎるが故に一周回って無趣味なんじゃないかって思うの。それは、きっと表裏一体だと思うんだよね~。
りゅう:なるほどね~。一周回ったわけかぁ~。
深村:考えすぎちゃって「これって趣味と言えるのかしら」みたいな疑問が生まれちゃってるわけじゃない? たぶん「本当にない」人が落ち込む理由と、チャーさんが落ち込む理由って、ちょっと質が違う気がしたの。
吉村:自分の作品制作とかに関係のない何かが欲しいってことだよね。つまり、新たに趣味を作りたいって気持ちがあるという。
りゅう:そうですね~。でも、今まで言った趣味って仕事に繋がるかもって分かっていてもストレスは全然ないんですよ。何より、楽しいから! 何気ない時に「あ、これ使えるわ」って。なんか、やりたくなっちゃうんですよ。好きだからこそ、無性に。「NBA選手の顔を描きたい!」とかね。
深村:それはチャーさんが表現者である限り、新しい趣味が見つかったとしても最終的には作品制作に繋がっちゃうんじゃないかなぁ~。むしろ間口とか、チャンネルがどんどん広がってる方が逆に強みになるよね。だって、いろんな要素を知ってたりとか、自分の引き出しが増えれば増えるほど、一つの引き出しじゃなくて「これだったら、こっちもいけるな」みたいなパターンを組み合わせることで新しいものが生まれたりするんじゃないかなぁ。って思うと、表現活動をしている側面がこれから先も続くのであれば、きっと良いことよ!
りゅう:うわぁ~! なんか元気出てきたぁ~!
深村&吉村:(笑)
深村:今日ね、ちょうど新しい『spectator』買ったの~。
りゅう&吉村:ほうほう。
深村:「わび・さび」についての特集なんだけど、空いてる時間に読んでたらさ。ブライアン・イーノがね、こんなこと言ってたの。あれもこれも取り入れるというのはアメリカ的な考えで、一つだけ残すというのが東洋の伝統的な哲学なんじゃないかって。今回のチャーさんのお悩みを聞いて思ったんだけど、多趣味のおかげで、あれもこれもを知り尽くした最後に自分が何か一つ「これ!」っていうのが残ったら、すごくかっこよくない?
りゅう:なるほどね!
深村:それって、たくさんのことを知り尽くした上で厳選されたものになるんじゃないかって気がして。そう思うと、色んなことに興味・関心があるっていうのは、絶対強みになると思うんですけどねぇ~。
りゅう:そこはね、自分の悪くないところだなって思っている。
深村:でしょでしょ? でもね、実際、わたしも趣味を聞かれるとすごい困るんだよね……。
りゅう:ご趣味、聞きたい……。
深村:えっと~(笑)。落語を聴くことですかねぇ~。あと、ラジオを聴くことかな~。でもね、一方で、好きなものにリスペクトがありすぎてさ。「わたしぐらいのレベルでは恐れ多くて趣味だなんて言えません」って思っちゃって、人に言いづらいことがあるの。
りゅう&吉村:わかる、わかる。
深村:愛がありすぎると、おいそれと言えなかったりもして。けど、周りに影響を与えないような、自分一人の問題で済む趣味だったら言いやすいのかなと思ったのね。「ボーっとすることです」とか「一人旅が好きです」とかさ。
吉村:うん。無難ね。
深村:でも「果たしてそれでいいのか」とも思ったりして。本当に情熱を注ぎたいものがあるはずなのに、それが言えないなんて悲しいなぁって。
りゅう:たしかに。趣味を聞かれた時に「落語が好き」とか言っちゃうと、周りの人からある程度のレベルを求められる傾向はあるかも。伝統芸能はさ、過去と現在の偉人たちが歴史を連綿と紡いでる分「自分なんかが好きなんて言っていいのか?」って迷っちゃうよね。
深村:もっとすごく詳しい人がいるのに、ってね。
りゅう:でもさ、純粋に好きなものは好きって言っていいはずなんだよね。きっと。
深村:そうなんだよねぇ~。
りゅう:ハーンさんほど詳しくないけど、落語って最高のエンターテイメントだなって思う。
深村:すごいです。もう、すごいんです!!
りゅう:バイトの面接を受けた時の話なんですけど。わたしね、面接の直前まで、ず~っと落語を聞いてたんです。何でかっていうと、落語家さんたちの声って、すごい落ち着くんですよ。たぶん、ちょっと緊張してたから自分を落ち着かせたかったんだと思います(笑)。で、その落語を聴いてたテンションのまま面接してもらったんですけど、わたしが座っている真向かいに、面接官の方が一人いたんです。その方に「もう一人来るので、ちょっと待っててくださいね」って言われた時、わたしは「はい」って答えるはずだったのに「へいっ!」って言っちゃって。「あたしゃ与太郎かい?」ってなりましたよ。
深村:与太さんになってたね(笑)。
りゅう:ここで言いたいのは、そこまで影響を及ぼすものって素直に「好きなんだな」なんて思うわけですよ。わたし、能も好きなんだけどね。落語にも言えることだと思うんだけど、「有限から無限を見出す」ものに、これ以上ない魅力を感じるの。そんな素晴らしい芸能を生み出した昔の人って、わたしは本当に尊敬するんだよねぇ。
吉村:うんうん。
深村:やっぱり落語って耳で聴くだけじゃないと思うのね。ある種、自分もその世界の中に混ざってるわけですよ。想像力を働かせたりとか、自分の体験を持ってして、さらに物語が膨らむものなので。たぶん、チャーさんの面接の時は、降りちゃってたんだろうね、何かが(笑)。
一同:(笑)
深村:それって、いい楽しみ方ですよね!
りゅう:落語を演劇っていうジャンルで語るとさ、演者が「何か」を演じてるのは変わらないよね。でも、他の舞台と違うのは、下半身を使わずに上半身だけで全てを表現しようとするじゃない。しかも、ひとつの舞台を一人で。上半身だけで、しかもたった一人で演じるって、ものすごい芸能を日本人は編み出したなって思う。
深村:すごいですよ~。一人で映画を作ってる感じだよね。最近は、アニメとか漫画の影響もあって、落語ブームがきてるらしいけどさ。昔から落語ブームは浮き沈みを繰り返しているんだけど、きっと落語は無くならないなって、わたしは確信してるの! 落語には、時代や世代を問わない普遍的な面白さがあると思うんだけどね。それがずーっと長く愛されている理由の一つだし、そこにはみんなの感情を動かす大切なものが込められてるので……。みんなが知ってる『笑点』とかが入り口でもいいので、そこから噺を聞いて落語が好きになってもらえれば、万々歳って感じですね。そして、ゆくゆくは寄席の楽しさを知っていただけたら…… 。
りゅう:ハーンさんの落語を見る目線って、もはや協会の人だよね。ここまでくると趣味って言えるのかな。趣味って言葉が、軽いのかなぁ。
深村:趣味の定義って、そもそも何なんでしょう?
りゅう:実は調べたんですよ~! ネットなんだけどね。一応ね、意味は3つあるみたいだよ。
(1)仕事を職業としてでなく個人が楽しみとしている事柄
(2)どういうものに美しさや面白さを感じるかというその人の感覚の在り方、好みの傾向
(3)物事の持っている味わい
って聞くと「趣味って、めっちゃいい言葉じゃん」って思うんだよね。でも、最近は「この趣味を答えると、相手に良い印象を与えますよ」っていう婚活マニュアルみたいなものが男女別であるらしくて。反対に、相手に悪い印象を与える趣味っていうのもあるみたい。
吉村:婚活マニュアル的な好印象のためだけに「趣味はお料理です」って言っちゃう人がいると、本当にお料理を趣味にしている人が可哀想よね……。
りゅう:わたしもそう思うんですよ。好きの範囲で趣味を語るのが難しいなと思って。どのぐらい好きだと趣味になるのか、とか。
深村:でも、そこは言ったもん勝ちなところがあるから、さじ加減はその人自身に委ねられてるよね。趣味を、さっきの2番目の意味で考えた時に、その人のパーソナルな部分が見えるってことじゃないですか。それに関して言うと、路上で「一目見てあなたを言葉で表します」みたいなのあるじゃない?
りゅう:そういうのあんまり好きじゃない……。書かれる言葉が「心」「道」「愛」「感謝」とかさ。
深村:わたしも、ちょっと苦手意識があって。表層でしか判断してないんだろうなって感じちゃうんだよね。その人のことを知るって、すごく時間がかかるはずなのにさ。何でそんなインスタントにその人を把握しようとしてるんだろう、って。たとえ、何か書いてもらったとしても「あなたは私の何を知ったつもりでいるの?」って、わたしは疑問に思っちゃう気がする。やっぱり表面的な趣味だけで人間性を判断されるのは嫌だなぁ~って思うのよ。
りゅう:「あなたの名前を、わたしの感性で書きます」みたいなのも苦手。あと、逆も然りで。とある交流会で初対面の人に、自分自身のことを「主に文字を使って表現活動してます」って簡単に説明したら、「今度機会があったら、わたしのことをイメージして何か書いてください!」って言われたことがあって。たぶん、その人は特に深く考えずにそう言ったんだろうと思うんだけど、心の中で愕然としたのね。「子どもが生まれたから命名書を書いて!」とかは喜んで書かせてもらうんですけど、「わたしの雰囲気を言葉とか文字にして!」って言われると、なんか、もう、ウンザリしちゃうんだよね。
深村&吉村:うんうん。
りゅう:わたしは占い師じゃないし、霊感もないし、スピリチュアル系はよく分かんないからさ。そんなわたしに、有り難いお言葉とか文字を求められてもなぁ~って思ったりもするのよ。やっぱり、一所懸命もがき苦しみながら生きている人を漢字一字とか言葉一つで表したりとかって、安易にはできないんだよね。それを生業にしている書家さんとか書道家さんを否定するわけではないけど、わたしは別にやらなくていいかなって感じ。
深村:わたし、表面だけで把握しようとしてる人を見かけると、その人の判断を惑わしたくなったりもするの。そういう意味でも色んなことに興味があるって財産だと思うんだよね。「あなたからはこう見えてるかもしれないけど、本当は違うぜ!」ってことをアピールできれば、「この人ってこうだったんだ、オレ/アタシ間違ってた!」って気づいてくれるんじゃないかな~って。
吉村:あと、無趣味であることに変な罪悪感を持つ必要はあるのか、っていうのもある。
りゅう&深村:本当ですね~。
深村:それって、夢の話と一緒な感じが……。夢がないとダメなんですか、みたいな。「夢を持つのがいい!」っていう世の中の風潮がすごいじゃないですか。夢を持った方がいいのは、よく分かるんです。目指すものとか、憧れられるものとか、目標があるってことはモチベーションに繋がるし。だけど、その時々の気持ちとかによって「別に夢なんて無くったっていいじゃん!」って思うの。夢のない人を否定する人もいるじゃないですか。物申したい!
りゅう&吉村:あっ!『ものもうすぅ~』!
りゅう:これはね、今回のお悩みをハーンさんに聞く直前に3人でご飯を食べたんですけど。その時の会話の流れで、立ち上がったユニットです。『ものもうす』。補足しておくと、ちょっと物申したいことがある時に登場して、つたないながらも魂込めたラップで世の中の平和を祈る集団です。わたしたち、色んなところに物申したいことが多すぎまして……。ところで、『ものもうす』の表記はアルファベットにする?
深村:そうね(笑)!
りゅう:も、の、もお、す、う? ちょっと紙に書いてみていい? M…、O…、N…、O…、M…、O…、S…、U…、U…。おっ…!
深村&吉村:かわいい…(笑)。
りゅう:ちか・あやか(※りゅうの本名です)・なおこで。チカ・モースー、アヤ・モースー、ナオ・モースー?
吉村:すごくいいね~(笑)。
深村:三姉妹の設定でどうですか? モースー・シスターズ~!
りゅう&吉村:いいね~!
吉村:すごくいい~。物申したい~。
深村:生まれちゃったね。
りゅう:わたしたちが物申しに行ったところには、グラフィティとか書いていく? バンクシーを参考に。
深村:神出鬼没! 闇に塗れる感じでね。
吉村:闇、いいねぇ~。
りゅう:そして闇に消える『MONOMOSUU』。
深村:物を申すだけ申して消えていくのね(笑)。
吉村:かっこいい……。いい、それ……。すごくいい……。必要……。
りゅう:「田舎にあんまり本屋がねぇ!『装苑』一冊しか入荷しねぇ!」みたいな(笑)。
深村:「欲しい本が見当たらねぇ~!」(笑)。
一同:(笑)
吉村:とにかく物申したい、という。いいね!
りゅう:あとさ、小さい頃って大人たちから頻繁に夢を聞かれるじゃないですか。ハーンさんの小さい頃の夢って何だったの?
深村:わたし、実は幼稚園の時から音楽教室に通っていて。鍵盤を引くのが好きだったから、ピアノの先生とか、ピアニストになりたいと思ってた気がする。
りゅう:そうなんだ! 尚子さんは?
吉村:最初に覚えてる憧れの職業は、公園清掃の人。
りゅう&深村:なぜ? いつ頃?
吉村:幼稚園に入る前ぐらいだったと思う……。公園で遊んでた時に見てたからかもしれないけどゴミ拾いしてる方を「かっこいい!」と思って、ゴミ拾いごっこして遊んでた。
りゅう&深村:ごっこ(笑)。
深村:チャーさんは?
りゅう:表向きはお花屋さんって言ってたんですけど、本当のところは魔女ですね。
深村&吉村:あぁ~……(何度も頷く)。
りゅう:小学校の図書館に『魔女図鑑』ていうのがあって。結構、分厚いんだけどね。あれは何回も読んだなぁ~。あり得ない材料を使った薬の作り方とかも書いてあって。魔女はどういう家に住んでるとかね。小学生時代はバイブルにしてましたよ。いまでも魔女に憧れはあるなぁ~。
深村:それで言うと、今のチャーさんて細かいパーマかけてるから、髪ほどくとR&Bシンガーみたいにもなるけど魔女にも見えるわ。小さい時の記憶がずっと水面下で続いてるのかもしれないね。
吉村:実はそうかもね~。
りゅう:こわっ!
深村:あとさ、仕事を頑張ったお父さんが定年を迎えた途端に亡くなってしまうっていう話をよく聞くのね。そういう人って仕事に偏りすぎてたんだと思うの、きっと。自分が心血注いでたものが急に奪われてしまった時に「あれ? 俺、何もねぇ」みたいな虚無を感じて、意気消沈して、最終的に生きる活力みたいなものが失われてしまうんだろうけど……。そうじゃなければいい気がするよ。多趣味だと、やることがいっぱいあるからさ。暇にもならないし。
りゅう:それも問題なんですよ。暇にならないの、わたし(笑)。
吉村:忙しい?
りゅう:忙しい。毎日忙しい。
深村:充実してるね~。リア充ですよ!
りゅう:これが噂のリア充ですか! 今まさにNBAのシーズン中だから、わたしもこの時期が一番忙しい! だってね、観戦するだけで丸一日使う時があるんですよ。いや、それでも足りない時もあるんですよ(笑)。あとでゆっくり観ようと思うと何試合か溜まっちゃうし。一試合って2~3時間あるから。それにプラスして、新しい試合とかもどんどん出てくるもんなぁ……。
深村:それで言ったら落語も無限なんですよ。新作もどんどん増えるし、古典は落語家さんによって違う表現になるし、師弟関係のドラマもあって泣けてくるし……。なんか、もう、追いかけようがなくて。「生きている間に全部を網羅するのはもう無理だ、お手上げだ!」ってなるわけですよね。
りゅう:おそろしいねぇ~、趣味って。
深村:深淵ですよ、本当に。
りゅう:ちなみに、なおこさんの趣味って聞いたら困りますか?
吉村:いやぁー、本当に困る~(笑)。それこそ、趣味の範囲がわからないっていうのはあるかもしれない。けど今、純粋に趣味って言えるのは、太極拳。
りゅう&深村:うわぁ~~~! 太極拳、いい!
吉村:作品制作に全く繋がりはない、本当に趣味。太極拳をやってると、趣味ってこういうことかなぁ~って思う。
深村:それって独学ですか?
吉村:習ってるのよ。
りゅう&深村:太極拳やりたい!
吉村:ぜひ一緒に太極拳を習いましょう。公園とかでやるのがいいの!
りゅう:3人でやりましょ。『MONOMOSUU』で。これ、趣味にしましょう。
深村:それを趣味にすればいいんだ!
りゅう:どうしよう!
深村&吉村:趣味ができた!
吉村:あとは全部、本業ってことにすればいいんじゃないかしら。
深村:全てを肥やしにするんだ! それ以外のあらゆることを!
りゅう:無趣味は悪くないってことを確認できただけで、今日はすごく良い時間だった。
深村:「無趣味で何が悪いんじゃ!」ってことですよ。
りゅう:ただ、多趣味を一周した無趣味の方がちょっと世界が広がるよ、ってことだよね。
深村:そうだね。虚無感が辛くなければ、オッケー!
りゅう:本当にありがとう……。わたし、これから太極拳とか『MONOMOSUU』の活動を頑張りたい……。
吉村:一緒にやろう!
深村:興味持ったことはやってみよう!
りゅう:なんなら『MONOMOSUU』のダンスに、太極拳を取り入れたい。
吉村:ほほぉ~。
深村:なんだか、活動がすごく楽しみになってきた!
吉村:物申そう!
一同:(笑)
りゅう:お後がよろしいようで(笑)。それでは、第2回〈お悩み資料室〉これにて終了とさせていただきます。ありがとうございました~!
深村&吉村:ありがとうございました~!
- 終 -
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