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【第8回】 野良猫を見るとみんなお持ち帰りしたくなる

第8回 お悩みリスナー: STILLMOMENT さん/ DJ

(お手伝い:吉村 尚子さん)

〈お悩み資料室〉とは?
泖(りゅう)の「お悩み」をお手伝い1名と共に、様々なジャンルの方に直接聞いてもらいます。お悩みは「当日まで内緒」or「事前に公開」を選べます。他者はわたしの悩みや迷いをどんな風に捉え、どんな角度で思考するのか。または、思考しているのか。一緒に考え、あれこれと想像を膨らませます。たぶんお悩みは解決しません。代わりに、きっとなにかが優しくなるでしょう。どうか温かく見守ってください。

※2019年6月12日に公開されたものです

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(左:りゅう 右:STILLMOMENT さん)

りゅう:はい、第8回お悩み資料室です。今回は本拠地である宮城県を飛び出して福島県に出張しております! お悩みリスナーは DJ の STILLMOMENT さんです。

STILLMOMENT:よろしくお願いします。

りゅう:よろしくお願いします! あの、お悩みは当日公開ということで。いきなりですが、スティルさん。動物はお好きですか?

STILLMOMENT:好きか嫌いかで言ったら、好きだと思います。

りゅう:なるほど~。

吉村:うふふふ!

りゅう:初めてスティルさんとお会いしたときに直感で「これ聞いてみたいかも!」って思ったのがあって。音楽とまったく関係ないんですけどいいですか? しかも、話がちょっと飛躍するかもしれないです。

STILLMOMENT:全然大丈夫です!

りゅう:じゃあ、発表します!

STILLMOMENT:お願いします!

りゅう:えっと~。”野良猫を見るとみんなお持ち帰りしたくなる”っていうお悩みなんですけど、共感とかはありますか?

STILLMOMENT:野良猫を見た時に持ち帰りたくなる……。う~ん。そうですね、一回もないですね。

りゅう&吉村:(笑)

りゅう:ですよね(笑)。

STILLMOMENT:そうですね(笑)。

りゅう:なぜこれがお悩みになっているかっていうと……。

STILLMOMENT:はいはい。

りゅう:わたしの職場の近くに野良猫がたくさんいるんですよ。だから、ちょっと遊びたくなるんですよね。

STILLMOMENT:あ、猫と?

りゅう:はい。もともと猫は好きですし家でも飼ってるんですけど、野良猫が外でのびのびと生活してたので、すごく可愛いな~って。そこで、ちょっと仲良くなった猫がいたんですけど、最近見かけなくなっちゃったんですよ。もしかしたら死んじゃったのかもしれない、とか色々考えたりもして。あと、尻尾が折れちゃってて生きるの辛そうだな~って野良猫もよく見かけるんですけど、それは「野良猫だからしょうがない」って思うようにしていて……。

STILLMOMENT:うん、なるほど。それは毎回同じ時間に来るんですか?

りゅう:いるんです。

STILLMOMENT:いるんだ!

りゅう:この前、その尻尾の折れた猫がちょうどわたしの前を通りがかったんですけど、前足をひきづりながら歩いてて「あぁ~足も怪我しちゃったんだ」って思ったのと同時に、わたしが保護したらすぐ病院に連れて行ってあげられるんだけどな~って思ったんです。でも、ぜんぶの野良猫をそうはできないじゃないですか。

STILLMOMENT:うんうん。

りゅう:一方で、わたしの飼っている猫2匹は家の中で貴族のような暮らしをしていて。

STILLMOMENT:それは元々、野良猫だったんですか?

りゅう:一匹はわたしが拾ってきて、もう一匹は両親が一目惚れして買ってきた猫です。捨て猫と温室育ちの猫が一緒に暮らしてます。

STILLMOMENT:なるほど。

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りゅう:生活の差を考えたときに感情のコントロールができなくて、その野良猫たちにどう接するべきかが分からなくなったんですよね。それが野良猫だけで留まればよかったんですけど、いろんな動物に派生していってるんです。

STILLMOMENT:あぁ~。なるほど。

りゅう:たとえば、運転中の話なんですけど。この前、これから屠殺されに行くであろう牛を乗せたトラックとすれ違ったんですよ。一瞬、牛たちを見たときに「すっごい可愛い!」と思ったんですけど、牛が機械的に整列されてるな~と思ったときに、なんだろう、悲しい気持ちになったというか……。わたしはお肉がすごく好きですけど、牛が屠殺されることは考えたくないくせに、”可愛い”とか”可哀想”とか言ってるような単純な感じで「肉が好き」って言うのが、すごく嫌だなって思ったんですよ。

STILLMOMENT:うんうん……。

りゅう:だから、最初はビーガンになろうとしたんです。完全なる菜食主義者! でも、よくよく考えてみたら、わたし一人がビーガンになったところで、動物が食べられることに変わりはないんですよね。そしたら、わたしに出来ることって「ごちそうさま」と「いただきます」をちゃんと言わなきゃいけないなって思ったんですよ……。

STILLMOMENT:そうですね……。

りゅう:っていうところに落ち着いたはいいんですけど。やっぱり、その、トラックに乗せられた牛を見ちゃってるから。肉を前にしたときに、その時の光景を思い出しちゃって。感情のコントロールが難しいというか、うまくできないというか。それで動物っていうものをどう見ているのかとか、聞いてみたいなと思ったんです。わたしは動物園とか水族館も好きなのでよく行くんですけど、野良猫だけじゃなくて色々な動物のおかれている環境とか考えると、”可愛い!”だけではちょっと見られないなっていうお悩みです。

STILLMOMENT:なるほど。いいお悩みですね。

りゅう:本当ですか?

STILLMOMENT:いいお悩みだと思いますよ……。

りゅう:ありがとうございます……。

STILLMOMENT:なんか、動物に対する心持ちとかって、ひいては食だけじゃないって僕は考えていて。たとえば、正直あんまり好きじゃないんですけど、革製品を着たりとか。僕はフェイクで全然いいし。結局そういうところに全部繋がってて、色々な角度によって動物に対する考え方があると思うんですよ。その中で、さっきの話は”食”っていうフェーズになるかなって。

りゅう:うんうん。

STILLMOMENT:僕の家はペットとか飼っちゃダメだったんですよ。ちゃんと世話をしないなら飼うな、みたいな。昔は犬とかも苦手で、噛まれるのがちょっと怖かったんです。でも今はすごい好きですね、犬。

りゅう:他に好きな動物とかいます?

STILLMOMENT:あぁ~……。僕、結構、動物好きかもしれないですね。

りゅう&吉村:(笑)

STILLMOMENT:いっぱいいますね。キャラクターとして好きなのか、動物として好きなのか、ちょっと分からないんですけど。カバは好きですね、凶暴だけど。カバと、ワニと、ペンギンと、クマとか。犬とか猫より全然好きです。あと、あの~、あれとかも好きです。アザラシとか。

りゅう:あぁ~! わかる~~。一番好きなんですよ、アザラシ。

STILLMOMENT:そうなんですか?

りゅう:そうなんです! 家で飼いたいです、本当は。

STILLMOMENT:アザラシですか?

りゅう:はい。旭山動物園の、あの、円柱型の水槽を家の中に作ってアザラシを飼いたいですね。お金持ちになったらやってやろうかなって思ってます。あと、北海道ってすごいんですよ。実はアザラシを楽しめるのが旭山動物園だけじゃないんですよ。アザラシシーパラダイスっていうところがあるんです。

STILLMOMENT&吉村:へぇ~!

りゅう:そこ、アザラシとツーショットを撮れるんですよ。雪の中で一緒に寝っ転がりながら。

吉村:可愛い~!

りゅう:ちなみに、アザラシのフィギュアとか、等身大のクッションも持ってます。どちらも親子セットで。

STILLMOMENT&吉村:へぇ~!

STILLMOMENT:そんなに好きなんですか?

りゅう:めちゃくちゃ好きです!

STILLMOMENT:可愛いですもんね、アザラシ。

りゅう:そういえば、アザラシからまた発展した話がありまして。イヌイットっていう民族、いるじゃないですか。

STILLMOMENT:はいはい。

りゅう:アザラシを食べるんですよね……。

STILLMOMENT:アザラシ食べますよね……。

りゅう:わたし、ドキュメンタリー番組とか好きで。その、イヌイットを特集した番組を観たときにアザラシを捌いてる映像が出てきて、見ていられなかったんです。でも彼らの生活じゃないですか。それって。

吉村:うんうん。

りゅう:でも、わたしのそういう見方って、自分を棚に上げて人間を客観視したがる、一番嫌なやつなんじゃないかって思ったんですよ。人間は生きるために肉を食べなきゃいけないのに。しかも、イヌイットたちの食べなきゃいけない肉はアザラシなのに。わたしって嫌な人間だなと思って。アザラシを食べるから、イヌイットを嫌なやつとして見ちゃう。

STILLMOMENT:なるほど~。

りゅう:アザラシの毛皮とかも纏っているだけで「こいつら何なんだ!」みたいな。民俗学的に見られなくなってますね。そうなってくると自分が人としても劣っている気がしてくるんですよね。それこそ、自分の価値観だけを押し付けてしまう、みたいな。

吉村:うんうん。

りゅう:それから動物に対して、”好き”とか”可愛い”ってちゃんと言えないです。好きっていうなら、ちゃんと食物連鎖とかを考えたうえで受け入れたいなって。わたしたちが生きていく中で、動物が人間の生活に組み込まれるのは仕方ないなとか、色々なことを考えるんだけど、最終的に動物に対して”可哀想”で終わってしまうんですよね。でも、それって人間独特の上から目線でもあるんじゃないかとも思うんです。人間に食べられるために動物が育てられるって、よく考えたら残酷だとも思っちゃって。

STILLMOMENT:いや~。そういう授業もありますもんね、農業系の学校だと。農業大学にいった僕の友達が言ってたんですけど、鶏を育てて、殺して、食べるっていう授業があるみたいです。

りゅう:自分で育てて……。

STILLMOMENT:それは命に対してすごい考えますね。

吉村:うんうん。

りゅう:みんな、どうやって感情をコントロールしてるんだろう。尚子さんとかは、こういうの考えることありますか?

吉村:あるあるある。けど、栄養素として頂かなくちゃいけないっていうのはあるし……。

STILLMOMENT:たしかに。

吉村:ベジタリアンとかビーガンになれば、動物への感情はシンプルになって、心も軽くなるのかもしれないけど。わたしは、人間って生きるために肉を食べる必要のある生き物だと思ってるから。

りゅう:うんうん。

吉村:お肉を頂かなきゃいけないっていうのは生まれながらの仕方のないことで。そうなると「動物、可愛い!」って思う気持ちのままだと、どうしても矛盾は生じちゃうから。それは本当に感謝するしかないなっていう……。

STILLMOMENT:うんうん。

りゅう:動物園とかに行って「可愛い、可愛い」って言ってるけど、動物園の動物たちは檻に入れられて、安全だけど大草原の食物連鎖を経験しないで終わってしまうのかっていうところも考えちゃいます。水族館でしっかり訓練された芸とか見て、わたしは「可愛い~!」って言ってるけど、動物たちはエサを食べるのにただ必死なだけで……。

STILLMOMENT:なるほどなるほど。

りゅう:やっぱりどこか、素直に可愛いって言っていいのかな、って色々考えちゃうんですよね。野良猫のお話からかなり飛躍するんですけど。でも、すべてをたどると「野良猫は可哀想」っていう考え方に繋がるんじゃないかっていう。

STILLMOMENT&吉村:うんうん。

りゅう:わたしがお金持ちですごい人だったら、みんな救済できるのかもしれないですけど。でもわたしは普通の人間でしかないから、無力さも感じます。

吉村:合成肉とかできたらその悩みはちょっとは解決しそうだけど、それじゃ根本的に解決にはならないような気がするし……。

りゅう:そうですよね~。

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STILLMOMENT:僕の育った梁川町に、”伊達鶏”っていう銘柄鶏がいて唐揚げがすごい美味しくて有名なんです。で、地鶏とか銘柄鶏とはちょっと違うブロイラー(※短期生産を目的として育てられる鶏。若鶏ともいうみたいです)の話になるんですけど。

りゅう&吉村:うんうん。

STILLMOMENT:ブロイラーが育てられる仕組みって、それこそ、本当にもう、なんだろ……。結構リアルっていうか……。僕が調べた限りなんですけど、とりあえず端的にいうと、ヒヨコにプロテインみたいなものを食べさせて成長を促進させるんですよ。だから、人間が食べる頃合いに育っても、その鶏たちの心臓のサイズって、子どもみたいに小さいらしいです……。

りゅう&吉村:えぇ~……。

STILLMOMENT:人間の食べられる大きさにはしてるけど、それって実は自然の育ち方じゃないっていう。養豚とか、牛はよく分かんないですけど。でも大概、流通してるのってブロイラーだったりするじゃないですか。

りゅう&吉村:うんうんうん。

STILLMOMENT:そうなると、屠殺されるけど自然にのびのびと良い育ちをした鶏は、お肉が柔らかいとかで結局値段が高くなる。お金をかければ、そういうのは食べられるけど……。だからビジネスの側面もやっぱりあるわけで。実際にブロイラーを調べて思ったのは、結構、なんか、エグいんだな~って。

りゅう:そっか……。

STILLMOMENT:消費者にたどり着くまで、流通する途中に関わる人たちがいるわけじゃないですか。そのビジネスがなくなることで職を失う人たちもいるし。なんか、こう、話が壮大になっちゃいますけど。だから理解するっていうか。感謝することと同時に理解を深めて、自分の体の中に消化させるっていうのが一番大事じゃないかな、と。

りゅう:なるほど……。わたし、生産者の方たちを蔑ろにしてたかも。

STILLMOMENT:うんうん。

吉村:わたしの友達の実家がお肉屋さんなんだけど。やっぱり、最近、ベジタリアンが増えてるらしくって……。その友達は「動物を殺して食べるのが罪」っていう風に救いようのない感じで言われちゃうと、家業をすごい否定されているような気がして、ちょっと悲しい気持ちになるって言ってたの。確かにそうだよね、って思うのよ。最近はそういうところに切り込んだドキュメンタリーとかも結構あるみたいよ。

STILLMOMENT:ドキュメンタリーでいうと、僕、動物関係ですごいなって思ったのがあって。『VICE』っていう、サブカルの中でも有名なデジタルメディアがあるんですけど、読んだことあります?

りゅう:はい! わたし、アイヌの文身に興味あって。ちょうど、その記事をVICEで読みました。

STILLMOMENT:僕がそこで見たのは、福島第一原発の10キロ圏内に住む松村さんて男の人なんですけど、その人はもともと牧場とか畜産業みたいなのを仕事にしてたみたいなんですよ。松村さんは「原発被害を受けた俺ら人間は国からお金もらって生活を保証してもらえるけど、結局誰がこいつらの面倒みんの?」って言ってて。つまり「命は人間も動物も平等だから、牛とか、そういうやつらの面倒は俺がみる。みんなの面倒は見れないけど、出来る範囲は自分が面倒みるんだ」って。そのインタビュー、めちゃくちゃいいっすよ。

りゅう:へぇ~! 見たい! なんか、その、使命感に痺れますね……。

STILLMOMENT:ちょー最高っすよ。ちょー最高。まじでかっこいい。

りゅう:わたし、ちょっと思ったんですけど、野良猫とかに対しても一方的に見てるんじゃないかって思いました。野良猫も「別に怪我してるからって、痛いけど助けてもらうほどじゃないけどね」って思ってるかもしれないし。生産者の方にしても「わたしたちは誇りを持って消費者のあなたたちに届けてますよ」っていう愛とかプライドとか、あるはずですよね。

STILLMOMENT:でも、僕たち、鶏とか豚とかは食べますけど、猫は食べないじゃないですか。こういう言い方したら良くないかもしれないけど、人間が犬とか猫を飼うメリットを考えたら、生活に寄り添って人間を癒してきたわけじゃないですか。

りゅう&吉村:うんうん。

STILLMOMENT:番犬とか、色々な目的もあると思うんですけど。猫と犬を飼うっていうのは、すごいシンプルに言うと、わたしたちを癒してくれるもので……。でも”癒し”って考えた時に、野良の場合は、人間の自分を認識してるかどうかっていうより”癒す”フィールドのもっと遠い外側にいるじゃないですか。だからそれを自分が飼ってる猫と同じ距離感で見ちゃうと、そうなっちゃうと思うんですよ。

りゅう:なるほど。

STILLMOMENT:もしかしたら野良は人間とあんまり接してこなかった分、生まれたときから人間と暮らしている猫とか犬とは考え方とかも違うかも。分かんないですけど。僕は猫じゃないから。

りゅう&吉村:(笑)

吉村:なんか、全然違う話になっちゃうんだけど……。

りゅう:どうぞどうぞ。

吉村:今の日本って、”独身=寂しい人”みたいに扱う傾向があるじゃない。ある程度の年齢を重ねて結婚していない人は可哀想、みたいな。なんとか結婚させてあげなきゃって周りが思ってしまう感じ。

りゅう&STILLMOMENT:うんうん。

吉村:でも、それってすごい余計なお世話だと思うの。生涯一人でいたい人だってたくさんいるし。

りゅう:ですね。

吉村:だから、すごく結婚したい人と、独身を貫きたい人は、根本的に考え方が全く違うから、そのフィルターでものの見方をみられて押し付けられても、ただただ迷惑っていう……。

STILLMOMENT:たしかに。

吉村:野良猫もそう思ってるかもね。

STILLMOMENT:それはあると思います。「好きで野良やってますよ、わたしは」っていう。

吉村:そうそうそう!

STILLMOMENT:好きでグレてるよ、って。

吉村:そうそう。「保護されて束縛されるくらいなら自由に死んでいったほうがマシだわ」みたいな。

りゅう:めちゃくちゃかっこいい、それ。

STILLMOMENT:たまに、すごい警戒心の強い猫とかいるじゃないですか。僕は「たぶん、そいつはグレてんだな」って思うようにしてて。

りゅう&吉村:(笑)

吉村:尖ってんだな、と。

STILLMOMENT:この辺はお前のシマか、ってね。

りゅう&吉村:(笑)

STILLMOMENT:野良猫のいる地域って地元にもやっぱりあったし。うちのばあちゃんとかは野良猫と毎日闘ってるんで。

吉村:えぇ~!

りゅう:どういうことですか(笑)?

STILLMOMENT:勝手に野良猫が家の中に入ってくるらしくて。

りゅう:いつも家のどこかが開いてたりするんですか?

STILLMOMENT:ばあちゃんは「閉めてる」って言ってるんですけど、たぶん閉めてないんですよ。

りゅう&吉村:(笑)

STILLMOMENT:怖い話になっちゃいますからね、こうなると。閉めてるのに入ってくるって。

吉村:生きてる猫じゃないかもしれない。

STILLMOMENT:ばあちゃん、何を見てんだ……。

りゅう:すごい(笑)。

STILLMOMENT:採った野菜とかを玄関に置いておくと、猫がかっつぁいたり(※=引っ掻いたり)するみたいで。ばあちゃんはいつも猫と闘ってます。トムとジェリーみたいな。

一同:(笑)

吉村:まさに弱肉強食。

りゅう:猫も楽しくなってきてるんじゃないですか?

STILLMOMENT:そう! だから、それって猫から見たら、構ってくれるからそうしてるのかもしれないし。ばあちゃんから見たら、すげぇ迷惑だろうし。

りゅう&吉村:(笑)

STILLMOMENT:実家の周り、すごい野良猫が多くて。

りゅう&吉村:へぇ~!

りゅう:野良猫が多い地域って、平和っていうか、治安のいいイメージがあります。

吉村:最近、野良猫が多いところって減った気がする。すごく貴重な地域なんじゃない?

りゅう:貴重かもしれないですね。

吉村:なんか、すごくいい環境だね!

りゅう:うんうん! なんか、いいお話聞けましたね。これ文字起こしするときに泣いちゃいそう……。

STILLMOMENT:まじですか。泣かないでください……。

りゅう:(笑)。おかげさまで、結構、世界がひらけました。

STILLMOMENT:まじですか。

吉村:おぉ~~。

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STILLMOMENT:僕、お洋服が好きなんですけど。さっきの生産者の話の中で、やっぱり意識するのはお洋服のことで……。

りゅう:うんうん。

STILLMOMENT:日本て、ファストファッションが……。

りゅう:おぉ~っ! すごい!

STILLMOMENT:

吉村:うふふふふ!

STILLMOMENT:なんか、別にメイドインジャパンが全てじゃないと思うんですけど。たとえば、バングラデシュとかの話で、少し前の記事なんですけど、実はその裏側に強制労働があったりとか。それでコストを抑えて、流通して、新興国の人たちに洋服を納めて……。ファッションが強制労働の上に成り立ってたりすると、それはちょっと違うんじゃないかなって思ったりします。だったら僕は、作り手とその想いが見えるお洋服を選んだり、っていうところを意識したいですね。

りゅう:うんうん。

STILLMOMENT:生きるうえでの選択っていうのを、色々なセクションで理解を深めていくと良いんじゃないかなって。

りゅう:そうですね。これも今はどうか分からない話ですけど、ちょっと前のニュースだと中国の現場がすごく酷い労働環境だったりとか。でも、わたしはファストファッションが日本に上陸したときに、嬉しい気持ちがあったんですよ。素敵な服を安く買える、っていうのが嬉しかったんですけど。なんでこんなに安いんだろうって考えた先に、そういう実情を知った時「消費者を馬鹿にするな!」と思いまして。

吉村:ちょうどさっき、りゅうさんと車の中でこういう話したのよ~!

STILLMOMENT:そうなんすか!?

りゅう:そうそうそう! ちょっとびっくりしました。

吉村:今度、サステイナブル消費の講座みたいなのがあって。わたし、それに行くんだけどね。工場が崩れたとか、生産者側の事件があったりして、それをきっかけに作られたドキュメンタリー映画があるの。講座の中でその映画の上映があるんだけど、ずっと観たかった映画でようやく観れるのが嬉しくて! その流れで、ここに来る途中の車内でファッションの話になったの。

STILLMOMENT:なるほど。

りゅう:わたしと尚子さん、どちらも物持ちがいいっていう共通点があったんですよ。服を長く着るって、流行だけじゃなくてちゃんと奥側とかを考えないと、すぐ捨てちゃったりとかするんじゃないかな~とかいう話もしてて。

吉村:うんうん。

りゅう:わたし、小学5年生で買ってもらったトレーナーを今でも着てるんです。当時はこんなに長く着ると思わずに選んだんですけど(笑)。でも長く着てるから、それだけ思い入れもあるわけで。そんなトレーナーを周りから今でも「いいね!」って褒められると、やっぱりすごいテンション上がるんですよね。

STILLMOMENT:分かります、分かります。

りゅう:ずっと着てるってことが自慢になる、というか。服の特徴とか、自分がその服の好きなところとか、そういう話もしたくなるんですよ。逆に、世の中には、そういうストーリーを語られることがない服もあるのかなって思うと、少し悲しくなったりもします。なので、サステイナブル系の服とか興味あるんですよね。

吉村:そうそうそう。わたしはなるべくサステイナブルな服を選ぶようにしてるのよね。

STILLMOMENT:なるほど!

りゅう:スティルさんは、お洋服に何かこだわりはありますか?

STILLMOMENT:だいぶ、今と昔では変わってきたなっていうのはありますね。数年前のPOPEYEのワードローブ特集を読んだときに、ボロボロのシャンブレーシャツを着てる、おっちゃんがいたんです。どこのシャツかは忘れましたけど、肩がすごいボロボロになって15cmくらいの穴が開いてたんですよ。

りゅう&吉村:うんうんうん。

STILLMOMENT:その記事で「なんでそんなボロボロのシャツ着てんの?」って聞いてたんです。そしたら、そのおっちゃんは「いや、別に、ボロボロだけど、まだ着れると思うし気に入ってるから。俺がこの服を着なくなるときは、このシャツが死ぬか、俺が死ぬかどっちかだ」って。

吉村:かっこいい!

STILLMOMENT:かっこいいっすよね! すごくいいなと思って。僕はそれに結構共感したんですよ。

りゅう:俺が死ぬか、シャツが死ぬか……。

吉村:かっこいい。

STILLMOMENT:安く選んで色々なお洋服を着るっていうのも一つの価値観ですけど、物を長く大事にしていく方が僕は好きだなって。そういうお洋服を大事にしていく中でも、経年劣化と切り分けたうえで、100%のコンディションが10%くらいになっても、ファッションとして楽しめるっていう感覚を持ってる人ってすごく良いなと思いますね。

りゅう&吉村:うんうん。

STILLMOMENT:でも、いいお洋服とか、サスティナブルな生産方式のものを選んだとしても、たとえばですけど、取れないシミがついたら着なくなるっていうのは、結局、感覚的には意味がなくなっちゃうじゃないですか。

吉村:そうそうそう!

STILLMOMENT:だから、以前、クリーニングに出してもシミが取れなかったセーターがあるんですけど、僕はそれを勲章的な扱いにして着てます(笑)。大事に着る、大事に扱うっていうこともプラスαしていくっていうのは、選択(洗濯)した後、自分がどういう風にそのお洋服たちを扱うかっていうところも大事なんじゃないかと。うん。

りゅう:野良も、動物も、衣食住も、理解を深めて、そこに自分がどう向き合っていくか、ですね。今回は感動の連続でした。そして、笑いもあり。まるでクレヨンしんちゃんの映画みたい。

STILLMOMENT:そうですね!

りゅう:めちゃくちゃいい回……。

吉村:うん。めちゃくちゃいい回……。

STILLMOMENT:そうなんですか?

吉村:うん。そんな予感。

-終-

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