見出し画像

「良性じゃないことだけわかった」日のこと。

今年の人間ドックの結果が、6月中旬に自宅に郵送されてきた。
毎年ひっかかっている胆嚢ポリープは、例によって「経過観察してください」の記載。
毎年のことなので、「はいはい、わかってますよー」程度の話だ。

ところが、今年は人生で初めて、腎臓の再検査にかかる紹介状が一緒に届いた。

「腎臓、初めてひっかかったかも?」

その程度の感想だった気がする。
仕事が忙しい時期だったので、さっさと終わらせておこうと思いたち、すぐに予約できた近場の泌尿器科を受診することにした。

6月29日、受診日当日。
やさしい雰囲気のおじいちゃん先生は、テキパキと検査を終えると、ソフトな口調でこう説明してくれた。

うーん、たぶん腎血管筋脂肪腫っていう良性の腫瘍だと思うんだけどねぇ。
エコーだとハッキリわからないから、念のためMRI検査しましょうか。
うちではできないから、紹介状を出すからA病院で受けてきてくださいね。

仕事が忙しい時期なのにスーパー面倒…と思いつつも仕方がない。
自分の身体のことだからね。
仕事の合間をぬって、7月10日に中規模のA病院でMRI検査を受診し、20日におじいちゃん先生の元へ結果を聞きに行くことになった。

そして、迎えた7月20日。
予約時間に病院に行き、ほどなくして、おじいちゃん先生から結果の説明を聞けたのだけれど…。

うーん、MRI検査の結果が届いたんだけどねぇ。
「良性じゃないことだけわかった」けど、悪性なのかそれ以外の何かなのかはわからなかったみたいだねぇ。
手術になることも見越して、紹介状を出すからB病院でCT検査をしましょうか。

おじいちゃん先生の優しい雰囲気とソフトな口調で聞き流しそうになったけど、いま「良性じゃないことだけわかった」って言わなかった?
え?良性じゃない?
しかも、B病院といえば大学病院と同等クラスの大きな病院だ。

青天の霹靂。

…と言えば、ウソになるかもしれない。
正直に書くなら、この3週間ほど、もしかしたら悪性の可能性もあるんだよなぁという気持ちにフタをしておいた…というのが正しいのだろう。

ここにきて、見ないフリをしていたものと、初めてちゃんと向き合わざるをえなくなったのだけれど、最初に頭に浮かんだのは、「あー、仕事どうしよう」「ワンコたちはどうしよう」ということと、「母親に伝えないとだよなぁ。泣くだろうなー…」だった。

こういう時、「死ぬのかな?」とか「私、どうなっちゃうの?」といった自分のことよりも、日常のことや他の人に意外と意識が向くものなんやね。

でも、もしかすると、これも「見ないフリ」をしていただけなのかもしれないけど。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?